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レポート 

知られざる豪州ワインの銘醸地、グラニットベルトへの期待

【月刊HOTERES 2016年09月号】
2016年09月23日(金)
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取材に訪れた7 月上旬はオーストラリアの初冬にあたる。日中28℃まであがった気温は夜には2℃までさがった。この「1 日の中に四季がある」といわれる気候がワインのブドウ育成には適している。

2015 年、日本のワインの輸入量は前年に比してプラス3%。その主な輸出国はチリ、フランス、イタリア、スペイン、米国、オーストラリア……の順であった。この6 位を占めるオーストラリアはワイン産出量世界第6 位、輸出量は世界第4 位というワイン大国でもある。そのオーストラリアにおいて、いまだ日本に知られていない注目のワイン産地があるという。オーストラリアはクイーンズランド州グラニットベルトへ飛んだ。
文/秋山 都 写真/ Glen Eaton
 
秋山 都 Miyako Akiyama
オーストラリアワインの輸入・販売を手掛ける㈱WINETREE取締役。前『東京カレンダー』編集長。『セブンシーズ』『Harper’sBAZAAR 日本版』などライフスタイル誌、ファッション誌の編集長を歴任した経験から、ワイン、フードビジネスとメディアの橋渡しや飲食業のコンサルに取り組む。

いわゆるニューワールド系(広義ではヨーロッパ以外)のワインへの注目が高まったのは90 年代初頭。カリフオルニアワインのブームに引き続き、オーストラリア、チリ、アルゼンチンなどへの興味と認知度がぐっと深まった90 年代後半、オーストラリアのワインといえば「安くて、うまい」が合言葉だった。振り返れば、オーストラリアでワインの商業醸造が始まったのは1800 年代初頭のこと。以来200 余年にわたって、60 以上のワイン産地で100 種以上のブドウが栽培されてきたが、そのワインが「安うま」から「(値段にかかわらず)うまい」ワインに変わってきたのはここ10 年ほどのことだろう。その間にはバロッサ・ヴァレー、ヤラ・ヴァレー、ハンター・ヴァレー、マーガレット・リヴァーなど多くの有名産地がメディアに取り上げられ、脚光を浴びてきた。しかしながら、この大陸にはまだまだ日本の市場に知られていない銘醸地が存在している。
 
グラニットベルトは豪州最後の銘醸地?
それが今回、注目するグラニットベルトだ。グラニットベルトが位置するのはクイーンズランド州である。クイーンズランド州といえばグレートバリアリーフやゴールドコースト、ケアンズといったビーチリゾートの印象が強いが、果たして上質なワインが生産できるのだろうか。
 
「グラニットベルトがなぜワインの銘醸地なのか? それはまずこの冷涼な気候に理由があります。ここ、グラニットベルトは内陸部にあり、海抜は600 ~ 1,000m 超と高いのが特徴。亜熱帯にもかかわらず冬の朝晩は氷点下になるほど。1日の中に四季があるような、この寒暖差がブドウをワイン向けに仕上げてくれるんです」と教えてくれたのは、グラニットベルトのワイナリーではもっとも長い歴史を持つバランディーン・エステートの第三代当主アンジェロ・プリージ氏だ。この一帯はグレート・ディバイディング山地(大分水嶺)の西部内陸に位置するため、太平洋からの湿度の影響は低く、ブドウにとってよい成育環境が広がるのだそうだ。
 
 ここでのブドウ栽培の歴史は古く、最初に植樹されたのは1870 年代だという。以降、イタリアからの移民を中心にコミュニティが形成され、いまは50 以上のワイナリーが点在するワイン産地となった。主にシャルドネやシラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨンが栽培されているが、いまこの地でもっとも注目されているのがヴェルデーリョ、フィアーノ、ネッビオーロ、サペラヴィといったオルタナティブ品種である。

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