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新年号SPECIAL INTERVIEW 日本総合研究所会長 多摩大学名誉学長・事業構想大学院大学学長 野田一夫氏

日本の最大のウィークポイントは 「高等教育の軽視」にある

【月刊HOTERES 2017年01月号】
2017年01月12日(木)
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野田一夫氏は、「観光」という名を冠した学科が1968 年に、日本で初めて立教大学で発足した際、40 歳の若さで初代学科長に任ぜられ、以来、今日まですでに半世紀以上にわたって、わが国の観光業界への“ 厳しく、かつ温かい助言者”としての存在を保持されてきている。一方、わが国では、戦後の奇跡的経済成長に伴う観光産業の持続的成長の象徴的成果の一つとして、2008 年に観光庁が設置され、以降、過去約半世紀の間に観光系各種産業も力強い成長を遂げ続けている。そこで本誌では、現在の観光産業全般にかかわる諸問題について、氏独特の厳しくも、かつ温かい視座でのご意見を伺う機会を得た。今後、グローバルな観点からも観光大国を目指す、わが国観光産業の関係者にとって至言となることは疑う余地のないところである。

ホテルのプロのセンスより
素人のセンスが求められる時代
 
□今のホテル業界にとって、将来不安はすべて「人材不足の問題に尽きる」と言ってもいいと思います。これからのホテル経営には、どのような資質と知識を持った人材が求められるはずとお考えでしょうか。
 
 ただ今のご質問に対してすぐに頭に浮かんだのは、わが家の三男・豊加の顔です。果たして貴誌のご要望にかなうかどうかと懸念しながら、私見を披歴させていただきます。私の三男の豊加(注:株式会社Plan Do See 代表取締役の野田豊加氏)は、大学を卒業するや某外資系企業に就職はしたのですが、4~5 年後のある日の社内会議の席上で、日ごろからウマの合わなかった一人の重役に食ってかかったために、つぶれそうな店の責任者に左遷されたそうです。
 
 だが生来負けず嫌いな彼は、本社に予算など一切ねだらず、総知を働かせながら仲間たちを督励して努力した結果黒字を達成するや、本社に辞表を提出し、さっさと退社しました。実は彼には、どうしてもやりたいことがありました。それは「結婚式の革命」。というのは、入社後にある同僚が結婚し、彼が生まれて初めて結婚式というものに招待された日、帰宅するや彼は大声で僕に、「お父さん、結婚式の祝いの会ってみんなあんなにバカバカしいの…。僕たち仲間は全員まとめて末席に座らせられているのに、新郎新婦の隣には変な親父がでかいツラして座って、全くくだらない挨拶をするは…、冷たくまずい料理が出てくるは…、生かさない音楽が流されつづくのは…、もうこりこりだ」と怒り狂っていたものです。しかし、それが彼の人生の転機となり、結婚式の改革という“ 大望” を抱いて彼は、勇んで会社に辞表を提出しました。典型的な三男坊らしく行動力も茶目っ気のある彼は、先輩や同輩の間では、親の私が考えていたよりはるかに人気も信用もあったようで、彼の「伝統的結婚式の改革を目指すための小さいながら、限りなく生かすレストラン」の開業に期待し賛同してくれた知人・先輩・友人・後輩からの寄付金と出資金はなんと約3000 万円に達したそうです。
 
 それに「…開業の資金が集まり過ぎちゃった。お母さんも、今出資して置くといいよ…」という甘えに母親がへそくりの中から出した500 万円を加えた合計約3500 万円が、20 数年後の現在年商300 億円になんなんとする企業の創業資金になろうとは、恐らく当時本人すら考えていなかったでしょう。ちなみに、Plan Do See という社名の名づけ親は、父親の僕。
 
□旧来のホテルには固定観念があるので、なかなか新しいアイデアが生まれてこないのだと思います。野田豊加氏のようにブライダルというほかのビジネスをやっていた人の方が、ホテルを創るにあたって新しいことにチャレンジできる。独自のスタイルを実現することができる力を持っているということでしょう。
 
 彼は社会人になって最初に外資系企業に入社したときに、「社長も仲間もいいのだけれど、一人だけ生意気な上司がいる」と私に報告するんですよ。入社した会社で、社員として忠実に仕事をして出世しようなどという考えはないのです。だから言いたいことを言ってしまう。私の友人たちにも「父親の友達なら、自分にとってはおじさんだ」という感覚で気安く接してしまいます。
 
 ところがそういう性格がかえって皆から好かれるようで、接客業に向いているのではないでしょうか。それほど堅苦しい時代ではなくなってきていますしね。脱サラして起業するときも、先輩や友人が資金面で協力してくれたからこそビジネスを始めることができたのです。会社を辞めた人間に協力してくれるなどということは、普通はあまりないのではないでしょうか。本人はとにかく自分に自信を持っていて、お客さまがホテルに対して期待しているものに応えられるという感覚を、はじめから持っているのだと思います。
 

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