ログイン
検索
  • TOP  > 
  • 記事一覧  > 
  • 新年号SPECIAL INTERVIEW  ㈱三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長 執行役員 ㈱三越伊勢丹 代表取締役社長 執行役員 大西 洋 氏
新年号SPECIAL INTERVIEW  ㈱三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長 執行役員 ㈱三越伊勢丹 代表取締役社長 執行役員 大西 洋 氏

ダイバーシティーで企業を動かす ユニークな人材のチームが求められる時代

【月刊HOTERES 2017年01月号】
2017年01月12日(木)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

株式会社三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長執行役員、株式会社三越伊勢丹代表取締役社長執行役員を務める大西洋氏は、時代の転換点に立つ百貨店ビジネスにイノベーションを起こすため、さまざまな視点から新しいチャレンジを続けている。Plan・Do・See と合弁会社、株式会社三越伊勢丹プラン・ドゥー・シーを設立したことで、そのビジョンは従来の百貨店の枠組みを超えた領域にまで広がりを見せている。また、ホテル業界と同様に、百貨店業界も人材の問題が深刻化しているが、その打開策についても大西氏は新しい発想で取り組みを進めている。大きく変化する時代の中で、企業を動かすチームには何が求められるのだろうか。

百貨店は「絶対的価値」の高いモノ、コトを
自分の手で創らなければならない
 
□百貨店を取り巻く現在の環境について、どのような見方をしていますか。
 
日本のGDPの60%から70%が消費によって生み出されていると言われています。日本のGDP は約500 兆円ですから、300 兆円から350 兆円が消費から生まれ、その内の約140 兆円が小売業によるものです。小売業の中で百貨店はと言うと約6兆円ですから、4%程度なんですね。この140 兆円というのはかなりコンクリートされた金額であり、急激な増減はまず考えられません。
 
そのため業態間の競争はますます激化することになります。過去には小売業の中で百貨店が10 兆円売っていた時代もあったのですが、その頃に比べて現在は数字的に見ても百貨店の存在感が小さくなり、お客さまの評価も下がってきてしまっているということが根本的な問題としてあると思います。なぜそういった問題が生じてしまっているのかを考えてみるといろいろと要因はあるのですが、一番にはやはり「価格と価値のバランス」でしょうか。たとえばファストファッションの原価率は40%から50%ですから、モノの原価に対して2倍の上代をつけているんですね。それに対して百貨店の原価率は、25%から30%です。このことが価格と価値のバランス————私たちは「絶対的価値」と呼んでいるのですが————に差を生じさせているのだと思います。
 
消費者がファストファッションを買うのは安いからではなく、「この品物が、この価格で買えるのか」という絶対的価値で判断しているからでしょう。その面で百貨店はずっと甘んじてきてしまった。従って百貨店事業を立て直すためには、お客さまに評価される絶対的価値の高いモノ、コトを創っていかなければならないということになります。
 
たとえば百貨店が衣料品を売る場合、消化仕入れという方法で、品物を仕入れて、売れなくなるとアパレルメーカーに返品します。三越伊勢丹の場合、これまで買い取り品は7%から10%ほど取り扱っていたのですが、今後はもっと本格的に取り組んでいこうと自社開発商品づくりをスタートさせています。自分たちの手で、お客さまに絶対的価値の高い商品を提案していくのです。百貨店はこの方向性を追求していかない限り、おそらく再生できないと思っています。
 
□他の業態と戦っていけるモノ、コトを揃えなければ話が始まらないということで、その準備を整えたのですね。
 
もう一つの側面として、消費支出の内訳を見てみると、モノとコトが半分ずつになっている点が挙げられます。消費がコトにも向かっているにもかかわらず、百貨店が売っているのは80%から90%がモノになってしまっているのです。つまりこのカテゴリーバランスを変えていく必要があるということです。これまで百貨店はこの部分についても、いわゆる場所貸し的な方法を続けてきました。これからはそのやり方から脱却し、自分たちで売場も見ながらモノとコトのバランスを取りながら売っていくというスタンスをベースにしていきたいと考えています。

月刊HOTERES[ホテレス]最新号
2024年03月15日号
2024年03月15日号
本体6,600円(税込)
【特集】ホテルの未来〜マネジメント人材の育て方〜
【TOP RUNNER】
デュシット・インターナショナル 京都地区エリア総統括支配人…

■業界人必読ニュース

■アクセスランキング

  • 昨日
  • 1週間
  • 1ヶ月
CLOSE