パネルセッション「トップホテリエの視点」
アジア太平洋地域を代表するホテル業界の国際カンファレンス「アジアホテル産業カンファレンス&展示会:AHICE(エーハイス)」は、2025年9月4日 グランドプリンスホテル高輪にて、「AHICE Far East Asia」を開催した。
オーストラリアのホテル業界誌「HM マガジン」が主催するAHICEは、2010年から定期的に開催されているイベントで、これまでにオーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ハワイ、フィジー、モルディブ、東京で実施してきた。東京は昨年に次いで二度目の開催となった。参加メンバーは、国内外の主要ホテルグループ、投資会社、デベロッパー、オーナー、アセットマネージャーなど、約250名の参加者が一堂に会し、基調講演、パネルディスカッション、ガラパーティなどを通じて活発な議論が交わされた。
活況な日本のホテル開発とホテルオペレーターの視点
パネルセッション「トップホテリエの視点」ではAHICEグループ会長で「HMマガジン」編集長のJames Wilkinson氏をモデレーターに、クリスチャン・ボーダ―氏(アスコット・ジャパン代表取締役社長)、 ディーン・ダニエルズ氏(アコーホテルズ ジャパン㈱代表取締役兼VPオペレーションズ)、マーク・ローナー氏(ファーイースト・ホスピタリティ COO)、 ビクター・大隅氏(西武プリンスホテルズ&リゾーツ 米州地域プレジデント)らが、今後のホテルビジネスで不可欠とされるキーワード「サスティナビリティ」「リゾート」「ハイバリューカスタマー」についてそれぞれの意見を交わした。ホテル&サービスアパートメントを展開するアスコット・ジャパンのクリスチャン・ボーダ―氏は「展開するサービスアパートメント(21軒)の6割はホテル利用なので、ホテルセクターを伸ばしていくことが重要な戦略になる。そこで、一度宿泊すればのちの長期滞在につながるようなアクションで成長を促している」とし、来年以降も軒数を増やしていくことを明かした。
また別のセッション「日本におけるホテル開発の展望」では、アコーホテルズ ジャパン、IHGホテル&リゾーツ、TRUNK HOTEL、スターウッド ホテルズ&リゾーツ、パンパシフィックホテル&リゾーツらが、自社の現状と今後の展開、それぞれの視点で今後の開発地とその理由を述べた際に、日本のリゾートエリアに商機があるとした上で、「外国人が興味のある」かつ「行政自体が誘致にポジティブである」エリアであれば、われわれは経済効果に貢献できるとした。
「ホテリエQ&A」では、西武・プリンスホテルズワールドワイド代表取締役社長 金田佳季氏が、2017年に買収し事業化しているStayWell Hospitality Group(SWHG)とのグローバル展開以降「ロンドンのアカトキやN.Y.のキタノホテルほか多彩なカテゴリを運営。国内においては品川地区の開発を機にさらに飛躍する」とし、「100年企業である当社ならではの“日本をオリジン”としたグローバルホテルチェーンを目指す」と述べた。また、温故知新CEO 松山和樹氏はコンサルファームからホテル運営者に転身したときに、「ホスピタリティ事業の面白さとポテンシャル、何よりもIT化がどんなに進んでも接遇の重要性は無くならないことに魅せられ現在に至る」など述べながら、同社が全国で運営するユニークな11施設を紹介。それぞれの視点で、日本のホテル事業の課題と展望をまとめた。
AHICE Far East Asiaは、2026年9月には京都での開催が決定しており、日本は3年連続となる予定。