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インタビューレポート 蒲郡クラシックホテル

蒲郡クラシックホテルの90周年記念事業の集大成、一棟貸し宿泊施設「THE COVE」「茶寮 鶯宿亭」誕生

2025年12月09日(火)
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 呉竹荘グループが運営する蒲郡クラシックホテル(愛知県蒲郡市)は、90周年記念事業の集大成として2025年6月に一棟貸しの宿泊施設「THE COVE」、茶室付き宿泊施設の「茶寮 鶯宿亭」をリニューアルオープン。本稿では有形文化財に登録をされた両施設改装の背景や狙い、見どころについて株式会社呉竹荘ホールディングス 西日本エリア 執行役員 統括総支配人の安川 貴也氏に伺った。
 

統括総支配人の安川 貴也氏
統括総支配人の安川 貴也氏

 1934年に開業をし、日本を代表するクラシックホテルである蒲郡クラシックホテルは、2024年3月時に90周年を迎えるにあたり、次の100周年を万全の状態で迎えるべく準備期間として位置づけていた。
 これまで、運営会社が時代とともに移り変わっていたことから自ホテルのルーツを探るとともに、90周年の軌跡をまとめたパンフレットを記念事業として制作。その過程で、本館に隣接する有形文化財の料亭「竹島」(現・THE COVE)および茶室「鶯宿亭」(現・茶寮 鶯宿亭)のリノベーションを手掛けるようになったと統括総支配人の安川 貴也氏は話す。

90周年の軌跡をまとめた記念パンフレット。表紙には次の100周年へ向けた90周年記念ロゴを組み込み制作
90周年の軌跡をまとめた記念パンフレット。表紙には次の100周年へ向けた90周年記念ロゴを組み込み制作

「ホテルの歴史を紐解くにあたり、昭和9年(1934年)に建てられたホテルであり、過去にはオイルショックでクローズしたこともあるため、ホテル内にはあまり開業当時の資料が残っていない状況でした。そこで、支配人に就任した2016年の折に『歴史を探る会』を設立し、図書館や博物館など地域からの協力をいただきながらルーツを探ってきました。今回の90周年を機に、次の100周年に向けてこれらの歴史を1冊にまとめることにしたのです」

「歴史を探る会」の取り組みがメディアで報じられた際、大昔に同ホテルに勤めていたスタッフの遺品などからホテルに縁のある品々の報告を地域住民から受け取り、歴史を紐解く上で大きく参考になったという。
 そして、100周年への準備として、利用人数が減少傾向にあった料亭「竹島」と茶室「鶯宿亭」の施設の改装に踏み切った。両施設とも約6か月の短期間の工事期間で宿泊が可能な仕様へとリノベーション。補助金を活用して大規模なコストをかけて投資をし、料亭「竹島」は「THE COVE」として、隣接する茶室「鶯宿亭」は「茶寮 鶯宿亭」として、デザイン設計はそれぞれ乃村工藝社、地元工務店のMilkyHouse社が担ったものだ。

「登録有形文化財に登録されていたこともあり、外観を含めて建築当初の趣を残しつつ、新しい価値にチャレンジをしたいという思いから誕生しました。大人のための1棟貸しの施設として、内装は木の温もりを感じさせる意匠・構造を残しつつデザイン。無色透明で肌に優しいアルカリ性単純温泉である『美白泉』の運び湯を楽しめるお風呂を新たに設け、両施設ともにゆったりと楽しむことができます。『THE COVE』は三河湾や竹島、『茶寮 鶯宿亭』は四季折々の景色を眺望とし、入浴中や入浴後も涼みながら眺めることができ、非日常感を体感できます」

「THE COVE」ではハーブや花を焚いて全身を蒸気で温めるトルコの伝統的な蒸し風呂「ハマム浴」を導入。「茶寮 鶯宿亭」はサウナを設けてセルフロウリュを楽しめ、昔ながらの茶室が備わっていることからゲスト自身が茶を点てることも可能だ。加えて、それぞれ1室あたりの清掃時間は約5時間と入念に時間をかけて整えていることも特徴の一つ。
 リニューアル後、両施設とも国内のシニア層やレジャー層の需要を獲得し、2食付きプランで「THE COVE」は1人当たり9万8000円~、「茶寮 鶯宿亭」は1人当たり6万円~と高単価で販売しているもののその人気ぶりが口コミで広がり、高稼働で推移していると話す。

「今回の成功を経て、本館のフルリノベーションに着手することが決定しました。今年度から営業を続けながら段階的にリノベーションをし、客室は水回りを含めて刷新します。また、2期計画で本館の方も美白泉の天然温泉を楽しめるよう企画をしているところです」

 クラシックホテルの大規模改装が近年、さまざまなメディアで取り上げられているが、同ホテル新生への挑戦に期待したい。

 

「THE COVE」外観、1916年(大正5年)に建築された木造・瓦葺・平屋建ての施設をリノベーション
「THE COVE」外観、1916年(大正5年)に建築された木造・瓦葺・平屋建ての施設をリノベーション
「THE COVE」の副寝室、内装は昔の趣を残しながらデザインされ、三河湾や竹島の景観を楽しめる
「THE COVE」の副寝室、内装は昔の趣を残しながらデザインされ、三河湾や竹島の景観を楽しめる
「茶寮 鶯宿亭」の寝室、数寄屋風書院造の趣を残した内装デザインで整えた
「茶寮 鶯宿亭」の寝室、数寄屋風書院造の趣を残した内装デザインで整えた
2025年11月に行われた「茶寮 鶯宿亭」の第2期改装工事で誕生した竹塀と竹デッキ
2025年11月に行われた「茶寮 鶯宿亭」の第2期改装工事で誕生した竹塀と竹デッキ

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取材・文 オータパブリケイションズ 臼井 usui@ohtapub.co.jp

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