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第十四回 ㈱バルニバービ 佐藤 裕久  それでもなお一杯のカフェの力を信じますか?

第十四回  IOT が進む時代の対策は?

【月刊HOTERES 2018年02月号】
2018年02月16日(金)
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不都合が生じないギリギリまで権限を細分化
 
2001 年9 月11 日アメリカ同時多発テロ事件が起きました。あの(多分)世界一の防衛力を持つであろう米国にもかかわらず、なす術もなく自身のシンボルの一つである世界貿易センタービル2 棟が航空機突入により破壊されました。
 
当然のことですが、民間旅客機がコースを外れ高度を変え飛行したことを当局が把握できていなかったわけがありません。けれどマニュアル外の事態に即時対応指示が出せなかった…そのことにより米国国防省は組織形態の変更を行ないました。不都合が生じないギリギリまで権限を細分化し、同じく細分化した組織に権限を移譲する。何事かが起きたときの指示を最速で行なえる組織に再編したのです。
 
徹底的に緊急事態のシミュレーションを行ない、誤謬リスクを極限まで小さくし、考え方・対処手法を共有し誰が判断しても共通認識・共有利益につながる結果へ導く。巨大な組織でありながら部門部門の責任者が最速の判断、アクションを行なえる。これはまさしくわれわれが目指す飲食店舗の在り方です。
 
本部が一括管理し、スーパーバイザーなるものが管理という名の監視を行なう、そんな組織からオリジナルな発想やアクションが生まれるはずはありません。そうではなく、人と人とが織りなす営みの中で交わされるやりとりにこそサービス業・飲食業の醍醐味があるはずです。
 
ずいぶん前の話ですが、ある飲食業の会社を訪問したときのことです。その社長が僕に見せてくれたもの、それは関西の事務所にいながら東京の事務所内が見渡せるカメラのモニター画面でした。
 
これは管理ではなく監視だ。
 
『これで管理をしているんですよ』…僕はその画面を見たとき、目眩がしそうになりました。これは管理ではなく監視だ。一体何をしたいというのだ? ずっとカメラで映し出される環境で仕事をさせられるスタッフの心は? それを見る経営者の心の在り方は? そこにもし信頼関係というものが存在するのであればそのカメラの持つ意味は?切なくて悲しくて…何だか混乱したままその会社を後にしました。
 
もちろん防犯上およびトラブル対応のためわれわれも店頭レジ周りには防犯カメラを設置しています。けれどその画像は不測の事態以外、再生されることはなく“ 記録と消去” が繰り返し行なわれます。仲間を守るために、理不尽なことに対処できるように機能しているのです。
 
もしわれわれの組織において仲間との信頼関係が存在しないのならばそれは人が生み出す、その場で生まれる特別な『良きこと』すらも『悪しきこと』と同時に否定することになります。それならばボタンを押せば出てくる一定の意思を持たない回答で十分です。『AI は多分、計算ミスや犯罪を犯しません』というより、そうプログラミングされています(とりあえず今の所はされているはずです)。けれど細分化された権限を行使できる各担当責任者であるなら彼らはオリジナルな決定をして行くはずです。そしてその結論には賛否両論があることもまれではありません。各人が独自の思いで決断するのですから当然です。
 
けれどその可能性にわれわれは掛けています。AI が今後はじき出してくるビッグデータ的最優秀な回答を参考にしつつ、己の経験や思いを込めた決断をしていく。これを実現できる、もしくは実現できやすい組織の在り方が目指すべき形です。
 
18 人の代表取締役
 
そんなわれわれには現在14 社18 人の代表取締役と23人の取締役がいます。彼らが基本的に各人の思いを実現する体制になっています。まだまだ不完全で、ぎこちないですが歩み出せています。前回の和食の店長もその1 人です。一歩間違えると不快感を与えたり、折角お客さまが書かれていた絵を台無しにしかねない、というひょっとすると要らぬお節介や時に問題にさえなりかねないそんなチャレンジをわれわれは支持し、万が一そういう事態に陥った場合は本部がその責を負担する。なぜならその権限を与える人事を行なったのは本部であり、われわれの思いを託したわけですから。有機的なつながりが独自の個性を持って化学反応を起こし、さらに進化していく。われわれはそんなことを思い夢想しています。
 

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