福永 ホテルの人手不足はますます深刻な問題となっていますので、表面的な情報ではつかめない魅力を感じていただきたいですね。今の世代は“しんどいことはいや”と頭ごなしに決めてしまう人もいますが、“しんどいけどやりがいがある”ということをもっと知っていただきたいですね。私も、大学で講義をしているのですが、受講生の半分ちかくが男性です。このケースはこれまでに初めての経験です。講義を進めていくうちに、当初は結婚式をする、しないの質問に対して半々の割合でした。ところが前期試験の感想欄に、“結婚式のことを知ったら自分も結婚式をやってみたいと思った”という言葉が寄せられていました。また、ホテル・サービス産業への就職の希望ではありませんでしたが、“就職先に検討してみようと思った”という言葉も書かれていました。基本的な知識も必要ですが、講義を通して若い世代が感じたことの成長の方がとても大切なことだと思います。
髙田 講義をしていて細かすぎるかな？ と思うこともありますが、少しでも多くの役立つ情報を伝えていきたいという思いで教壇に立っています。実践を背景にしたものですから、就職したときにすぐに役立てることができることでしょう。またホテル、観光に限らず、様々な教養を身に着ける機会を作っていきたいと思っています。例えば後期から始まる少人数ゼミでは、ホテル以外に世界遺産から歴史・文化・背景といったことを学ぶ場も設けます。世界から訪れるお客様と接するには様々な知識が必要で、そのきっかけを作り教養を深めるのも4 年生大学で学ぶ意義になると思っています。先ほど述べた奈良での観光勉強会で実感したのですが、単なる名勝地案内だけでなく、その背景までを理解し説明することが、より求められます。学生時代にそういったことが出来る素地を作れるようにしていきたいと考えています。
福永 若い世代は、ホテルに宿泊したり、ホテルで食事をしたりする機会も少なく、ホテルや観光から縁遠くなっています。知らない世界だけに足が遠のいていることもあるのでしょう。業界で働く人びとが魅力を発信していくことで少しずつ変わっていくのかもしれません。ぜひとも、ホテルのスペシャリストとして、ホテル業界を目指す次世代を多く輩出されますことを願っております。本日はありがとうございました。
学校法人 中内学園 流通科学大学
人間社会学部 観光学科 特任教授 髙田 宏 氏
1981年㈱ロイヤルホテル入社。営業企画、経営企画を経て1994年フロント課長。その後も主としてマーケティング畑でキャリアを積み、2002年広報室長、2006年営業企画部長。2008年都市センターホテル東京総支配人、2011年ロイヤルホテル執行役員に就任と共にリーガロイヤルホテル東京総支配人、2014年リーガロイヤルホテル大阪副総支配人、2015年登大路ホテル奈良総支配人。2018年3月定年を機に退職し、現在は流通科学大学人間社会学部教授。
㈱フェイス 代表取締役
福永 有利子 氏
レストラン・ゲストハウスのウエディングプランナーから各現場の管理職としてマネジメントを担い、確実に業績を伸ばしてきた。2003年にウエディングプランナー養成スクール講師を始め、2006年から2015年まで大学にて非常勤講師として教壇に立つ。2006年堂島ホテル婚礼部長、2008年同ホテル副総支配人。2009年に㈱フェイスを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。現在は、全国のホテルやゲストハウスにて成約率向上を目的としたトレーニングや、集客戦略立案・実践支援などのコンサルティングに加え、会場のビジュアル改善や各種販促ツールの制作など、ウエディング事業の収益改善に向けた業務支援を幅広く行なっている。また、現役ウエディングプランナーの人材育成や専門学校生やウエディング業界への転職希望者などを対象としたスクールも開講。今後は、ウエディング業界を超えて、ホテル・ホスピタリティ業界にて、人材育成マネジメントを広く担っていく。2018年4月から神戸国際大学客員教授。著書 ： 『ウエディングプランナーじゃない、アカンのは上司や！ 悩める管理職のアメムチ１９の育成術』
