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2023年12月1-8日号 トップインタビュー マイステイズ・ホテル・マネジメントビジネスマネジメント 部長アートホテル大阪ベイタワー・空庭温泉OSAKA BAY TOWER 総支配人 守屋 浩二 氏

トップインタビュー マイステイズ・ホテル・マネジメントビジネスマネジメント 部長アートホテル大阪ベイタワー・空庭温泉OSAKA BAY TOWER 総支配人 守屋 浩二 氏

【月刊HOTERES 2023年12月号】
2023年12月07日(木)
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売上至上の考え方から利益率確保へ意識を転換

----コロナ禍からアフターコロナまでの営業状況の推移はいかがですか。

 ベイエリアに立地するためコロナ禍では USJの営業状況に左右されました。また、3~4割がインバウンド需要だったので、客室稼働が10~20%という厳しい状況もありました。レストランもクローズしましたが、その中でも新たな需要の取り組みとして2020年からデリバリーを開始し、新規顧客獲得、一定の認知度を上げることができたかと思います。

 こうしたコロナ禍を経て、全国旅行支援などの政府の支援策もありゲストが戻り、宿泊と合わせてレストランも活性化してきました。いまは2019年を超える売り上げと利益構造の再構築を目標に取り組んでいます。
 
 2023年度は稼働率80%まで回復し、2019年比ではADR16%UP、宴会も96%ほど回復し、ホテル売上では2 019年を超す勢いまで成長いたしました。
 宿泊では新たな取り組みとして着任早々に全室禁煙化を実施しました。これにより稼働とレートが安定し、教育団体の受注がしやすくなりますので。

----さまざまな需要を取り込むお考えなのですね。そのほか重視されていることは。

 ホテル運用において利益構造の仕組みの意識は高めたいと思っております。 特に客室部門では一定のADR、販売価格を維持することを重視しています。稼動重視で価格を下げて販売する時期もありましたが、物価高騰や市場価値の変化もあり、ニーズに合わせた価格設定に注視しています。いまは OTA等販売価格の比較もできることから、価格を下げすぎると、繁忙時期での価格設定や本来のターゲットとは違う利用層の需要により、チャンスロスの懸念もあります。稼働率が多少落ちたとしても ADRを維持すればあまり影響がないことをスタッフに再度教えているところです。
 
----総支配人は GOPをいかにして生み出していくかを考える役割だと思いますが、どのように舵取りしていくお考えですか。

 フルサービスのホテルで一定のサービスをアルバイトだけで安定的にできるかというとそうでもなく、社員や長く勤められた方のベテラン的な知見も必要です。その人を確保、維持するために、他の経費を再度見直しできないかと考えています。
 
 例えばレストランであれば食材が高騰しているので、それにあった商品価値の再値付けや SDGsに視野を向けたフードロスによる原価管理など、いままでのコスパ重視から良いものは一定の価格を設定することによって利益を確保することが重要です。原価計算はビュッフェ、鉄板焼、カフェ、和食で考え方も違うので、店舗に合わせた利益を確保する考え方を浸透させるよう総料理長とレストラン支配人も含めてマネージャーや料理長たちにも店舗別のミーティングで課題の共通認識を行なっております。
 
 また、時間帯によってプロモーションを変えるのも一つの方法です。例えば鉄板焼であれば、大阪は激戦区なのでランチはマーケット相場より少し単価を落としてでも回転を優先させ、ディナーはランチとは逆に高単価を狙っていくように接待や顧客の方々向けのメニュー開発も必要と見ています。

----そこで利益の最大化を目指すということですね。

 私も以前であれば、売り上げを上げないと利益が出ないという発想でしたが、コロナ禍において利益を出すには何をするべきかを考えるマインドを持つようになりました。しかし、実際に取り組むにはそもそもの考え方、意識改革が必要となります。口頭では感情論に双方なりがちになりますので、数値的根拠、蓋然性をもって人件費やKPI、時間帯別利益などを分析して提示したところ、驚くスタッフが多かったですね。売り上げが上がっていて儲かっていると思っていた鉄板焼が実は時間帯で見てみると利益ギリギリとか。 

----スタッフに理解してもらうためには数字を細かく見せて、考え方を変えてもらえるよう落とし込んでいくわけですね。

 利益が出るとほかでお金を使えるようになりますので、削った分はちゃんと投資する。もちろんすべて投資はしませんが、プロモーションを仕掛けたり、スタッフのモチベーションアップや新規顧客の獲得にもつながるよう、一定の利益を確保した上で新しい取り組みを実施しています。そうすることにより、今まで以上の成果が成し遂げられるかと見込んでいます。
 
 私が着任して最初の2~3カ月は、この人は何を言っているのだろう?というスタッフの反応が多かったです。しかし、なぜ必要かも徐々に理解が進み、いまは積極的にこうしたいというフラッシュアイディアも各店舗からでてくるようになりました。

----最近はかなりプレスリリースを出されるようになりましたね。

 アートホテル大阪ベイタワーの規模になると、独自で情報発信する必要があると思っています。いろいろな企画や取り組みを行なうもそれを発信しなければ、世間には広がりませんので、情報発信することでメディアにも認知され、情報が拡散されます。その効果もあってか、直近ではテレビ取材が 3本入りました。これを繰り返していくと、自分たちの意見が取り入られて情報発信につながる⇒来館者が増加⇒売上アップ⇒評価も高まる、というループが構築されますのでスタッフも意識や価値観が高まり、スキルが上がっていきます。
 
 こうした成功体験からスタッフたちからもアイデアが積極的に出るようになってきています。2カ月に1回、企画会議を行なっていますが、売りたいプランやその理由、利益についてもより具体性を帯びてきて、良い効果が生まれています。

----現場スタッフもこういうプランだったらもっと売れるという発想ができると、より強いチームになると思いますね。

 企画部門が単なる制作屋にならずにきちんとエリアの情報をキャッチし、何が必要でその企画が現場スタッフに実現できるかどうかをブラッシュアップするやり取りができれば、理想のかたちになっていくと思います。商品開発では企画にかかわる各人を尊敬し、意見を尊重して価値を高めていくことが重要です。もともと当ホテルのスタッフはそういった気持ちが強いので、きっかけさえ作ればサービス部門と調理部門、マーケティング部門、さらに宿泊部門も巻き込み、全社的な取り組みを実施することが可能だと思っています。

 

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