今回取り上げるのは福岡県において福岡市、北九州市に次ぐ第3 の都市である久留米市である。県南部を代表する中心都市だ。政令指定都市である上位2 市との人口規模格差は大きいが、人口30 万人規模の都市であり、人口規模の小さい都市が比較的多い九州地方においては存在感のあるマーケットであることから、取り上げることとした。以下に県南部のマーケットと共に久留米市のマーケットを見ていこう。
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- マーケットポテンシャル
福岡県全体のマクロなマーケット状況は前回の福岡市編を参照していただきたい。久留米市は人口30 万2191 人（2013 年3 月末）を有する中核都市である。福岡県の人口に占めるシェアは6.0％。県内において第3 位の人口ボリュームを有している。人口97 万人を擁する第2 位の北九州市には大きく劣後しているものの、九州地方全体で見ると人口30 万人以上を抱える都市は8 都市のみであり、宮崎市などの県庁所在地である都市に匹敵するレベルのマーケットボリュームと言える。九州地方において一定の存在感がある都市と言えるだろう。
久留米市が位置する福岡県南部の主要都市を見ると、久留米市の次に県の南端に位置する大牟田市が12 万2617人で続いており、それ以降は柳川市が7 万530 人、八女市が6 万8245 人、小郡市が5 万8984 人となっている。久留米市と大牟田市のみが10 万人以上の人口規模を抱え、久留米市は福岡県南部において最も大きい人口規模を抱える中心都市となっていることが分かる。
過去5 年間の人口増加率（13 年／08 年）を見ると、久留米市は▲ 0.5％で微減となった。県南部の主要都市を見ると筑後市（0.6％）、小郡市（0.1％）の2 市が微増である以外はすべて減少傾向だ。久留米市よりさらに南部の都市の減少幅が大きい。広域商圏ではマーケットシュリンクが加速していると言える。
久留米市の年齢構造を見ると、若年人口比率は19.5％、適齢期人口比率は24.9％であり、若年人口比は全国レベル（若年人口比18.0％、適齢期人口比25.1％）を上回り、適齢期人口比は全国レベルをやや下回った。県南部の主要都市では小郡市の若年人口比率が21.6％と最も高く、その他には筑後市が20.3％、柳川市が18.5％、うきは市が18.2％と全国レベルを上回っている。比較的若いマーケットが存在すると言えるだろう。一方、適齢期人口比率はすべての主要都市が全国レベルを下回る結果となった。若年人口比率の高い都市でも全国レベルを下回っており、適齢期になると他地域へ流出していると考えられる。
久留米市の高齢者比率（65 歳以上人口比率） は22.2％であり、全国レベル（23. 0％）より若干低いレベルになっている。県南部の主要都市では若年人口比率の高い小郡市と筑後市が全国レベルを下回っている。大牟田市、みやま市で30％を越えているものの、全般的に見て30％を越えて高齢化が進展している都市は比較的少ない。
将来推計人口を見ると、久留米市はすでに減少フェーズに入っており、2030年頃には2010 年人口の89.0％になると推計された。県南部で最も人口規模を維持できると推計されているのは小郡市であり、筑後市、うきは市も比較的緩やかな人口減少になっている。その以外の都市は将来的に2010 年人口の30％～ 40％の減少になると推計されている。久留米市と大牟田市の人口規模が県南部で1 位、2 位であることに変化はないが、人口10 万人未満の都市ではランクが変動していくだろう。小郡市は将来的に八女市、柳川市の人口を上回り人口規模ランクが入れ替わる可能性がある。
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