ホテル業界の関係者や公益社団法人国際観光施設協会の会員らが今年も一堂に集結。150 人超が青山ダイヤモンドホールに集まり、会場は熱を帯びていた
弊社発行の「決定版 必ず成功するホテルリノベーションPART8」刊行記念シンポジウムが、去る10 月15 日に業界関係者150 人超を集め、青山ダイヤモンドホール(東京都港区)で開催された。同シリーズと歩調を合わせてきた当シンポジウムも8 回目。今回もホテルリノベーションの実践と周辺事情に精通した論客をパネリストに迎え、活発な意見のやり取りが行なわれた。本稿では、シンポジウムの様子と議論のポイントを紹介する。
本誌 長谷川 耕平





国内で話題の著名なパネリストたち
開始に先立ち、弊社代表取締役社長・太田進が主催者あいさつを行なった。太田は「この会が開催される数週間前に、フランス・パリを訪問した。ジュルジュサンクやペニンシュラなど、名門ホテルを見て回り、改めてデザインや空間が売りになっていると感じた」。
今回のパネリストは5 人。ゲストハウス型ホテル「GRIDS秋葉原」を手掛けたUDS ㈱の寳田陵執行役員は昨年に続き登場。三井デザインテック㈱からは、「三井ガーデンホテル京都新町別邸」で、京都デザイン賞を受賞した山口昭彦チーフデザイナー。ヒルトン東京のダイニングフロア「TSUNOHAZU(つのはず)」をデザインしたNAO Taniyama& Associates の谷山直義代表。国内外の数々のプロジェクトに携わる㈱日建スペースデザインの安藤勢津子デザインパートナー。世界最大のイタリアタイルメーカーである日本法人、㈱マラッツィ・ジャパンの玉岡雅代代表取締役。モデレーターを務めたのは弊社専務取締役経営調査室室長・村上実で、第一部はホテルデザインの最新トレンド、第二部は民泊や東京五輪に向けた動きなどに触れた。


ホテルデザインに求められていること
日建スペースデザインの安藤氏は「以前に比べ、事業主からは“ 地元に根ざしたデザイン” を要求されることが増えた」とコメント。また改修だけで40 プロジェクトを抱えていることを明かした。
マラッツィ・ジャパンの玉岡氏は「タイルで機能性と意匠性を高めたいという要望が増えている。大阪の某ホテルで既に大規模改修を進行中」。色・風合い・デザイン・形状・組み合わせによって、サスティナブルなオリジナル空間が誕生する。また、タイルはメンテナンスが簡単で、いつまでもきれいな状態に保つことができるという。
三井デザインテックの山口氏は「2 ~ 3 年前から、(客室を見ての)感想を求められるようになった。単なるデザインだけでなく、客室フロアや施設全体を把握したコンサルティングが求められている」。同社は“ モノ” をデザインするのではなく、“ コト” をデザインする。コンサルティングの段階で、クライアントのニーズや同じ視点でデザインするべきものをとらえ、その空間に新たな価値を創造していくことを大切にしているという。
USDの寳田氏は「現場担当者がバブル時代を知らないため、“ ぜいたく” を知らない。本物と偽物の違いを分からない方も多く、われわれが伝えていく必要がある」。また、ホテル事業主から新しい提案を求められていることが増えていると話し、4 月に誕生したゲストハウス型ホテル「ホテルエディット横濱」のような次世代のホテルづくりが今後、増えていくことをにおわせた。
一方で、NAO Taniyama & Associates の谷山氏は、国内外での建築を担当する。海外デザイナーの立場で日本のデザインを見た場合「内輪の雰囲気が漂っている」と述べ、既成イメージの打破が、今の日本のデザインに必要ではないかと提言した。
アジェンダ
<前半>
●世界のホテルのデザイントレンド
●各パネリストの会社近況
●国内ホテル業界の好調要因の印象
●ホテルリノベーションの実感
<後半>
●リノベーションの原資となるキャ
ペックス、リザーブの引き当て状況
●実際のリノベーションに関するデザ
インコンセプトのトレンド
●民泊などの一般住宅やオフィスから
のホテルへのコンバージョンについて
●東京オリンピック・パラリンピック
開催に向けての新たな動き
【協賛企業】
大塚製薬 ㈱
ルートロンアスカ ㈱