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新春特別企画  FB コントロールの重要性を改めて考える

EL.F&B コントロールオフィス 望月良雄 氏、ホテル辰巳屋株式会社 取締役総支配人 藤田徳三氏

【月刊HOTERES 2016年01月号】
2016年01月08日(金)
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EL.F&B コントロールオフィスの望月良雄氏による連載『F&B コントロール』は本誌11 月27 日発売号で全7 回の連載を終えたが、2016 年を迎えるにあたりその重要性及び効果について改めて取り上げてみる。今回は望月良雄氏、ホテル経営においてFBC を導入しているホテル辰巳屋取締役総支配人の藤田徳三氏から、FBC の理論と実用法について語っていただいた。

●インタビュー
あなたのホテルの部門別損益を正しく算出していますか。
実際原価を的確に把握していますか?
 

EL.F&B コントロールオフィス
望月良雄
〈Profile〉20 年以上にわたりFB コントロール業務に従事。元㈱ロイヤルパークホテル取締役総務部長。現在はFBC にかかわるコンサルティング業務を中心に活動中。

人件費の按分いかんで
真のコストが見えなくなる
 
「単にコストを下げることだけが目的ではなく原価の構造と仕組みをよく把握して効率よく運用していくことがFBC(Food and Beverage Control)の肝となります」そう話すのは望月良雄氏だ。同氏によるとFB コントロールでは、原価を食材原価だけに限定せず、製造原価としてとらえることが大切であり、労務費も含めた原価を算出する必要があるとする。
 
「コスト管理とは文字通り経費を管理することであって、単純に食材原価を下げることではありません。FB 業務の実績を判断する際は、原価率を基準に考えますが、ただ材料の仕入れ値を下げるだけでは大きな改善は見られないでしょう。原価率を変えるには、業務の仕組みや構造を把握することから始めなければいけません。そこで注目したいのが調理部門の人件費です。例えば館内の飲食施設にそれぞれフルキッチンを設け調理担当者がいるとしましょう。それでは人件費はどんどんふくれあがってしまいます。この仕組みを変えて、メインキッチンシステムを取り入れ、集約型調理を実施すれば、人も集約されて食材も統一化、さらには食材の回転もよくなり、常に新鮮なものを使った料理を提供することができるのです。ホテル側にもお客さまにもメリットが生じます」
 
望月氏によるとこれこそがFBC の目的でもあるのだという。
 
「一方で集約型調理の場合は、人件費の按分が見逃してはならないポイントになります。ホテル全体として人件費をとらえた場合、部門別損益は欠かせない指標です。ところがホテルの料飲部門では、人件費の按分の考え方が難しくなっています。例えばコーヒーショップの厨房で、バーで提供する料理やルームサービスの料理もつくっているとしたらどのように按分するのか。和食レストランの料理人が宴会料理をつくったケースなど…。これらの場合は複雑に人件費負担が絡まっているだけに正確なコストが算出できないのです。そんな状況で、各店舗の収益率を判断するのは正しいこととは言えないでしょう。正確なコストを把握するためにもFBC システムの考え方が不可欠なのです」

FBC は最終的には顧客に還元できる
 
また、原価率の考え方にも意外な落とし穴があると望月氏は釘を刺す。
 
「うちのホテルは、きちんとレシピで原価管理をしているので大丈夫とおっしゃる経営者もいると思いますが、レシピ表による原価管理はいわゆる標準原価というものです。もちろんこれも大事な指標となりますが、実際にはロスを含めた実際原価の方が重要になります。一般的に無駄やロスは調理の過程で出ると思われがちですが、現実はどちらかというと売る側の責任で発生していることが少なくありません。企画担当者が集客のために立案したイベントやフェア、限定メニューなどさまざまな企画商品を提案するために材料をそろえ、仕込みもしなければなりません。
 
FBC の観点からすると、売れても売れなくても用意しなければならない原価はロスにつながります。標準原価では原価率30%で採算が取れているように見えても、実際原価でみると45%かかってしまったというケースも少なくないのが実状です」
このように考えると、FBC は調理関係者だけのことではなく、実は経営者はもとより企画担当者にもかかわってくる概念なのだ。これを現場に浸透させることで、最終的にはその成果をゲストに還元し、結果として売り上げを伸ばして収益の改善を図れるという好循環が可能になるに違いない。
(文・アクセント)
 
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