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トップインタビュー マンテンホテル㈱ 代表取締役社長 大谷吉治 氏

北陸の地に根を下ろすことで、 現場に目が行き届いた経営を進めていく

【月刊HOTERES 2016年02月号】
2016年02月12日(金)
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福井マンテンホテル駅前(パース)

ホテル業界では全国的に人手不足の問題が深刻です。同ホテルのオープン準備に際し、そのあたりの状況はいかがでしょうか。
 
 現在は、ちょうどスタッフの募集に入っている段階です。宿泊特化型ですので、当社の募集としてはフロント関係と朝食スタッフのみですが、反応は思った以上に良いです。
 
 課題は外注でお願いすることになっている客室整備やリネンです。客室整備は、当社が契約する外注業者さんがスタッフを集められるかどうかにかかっています。この分野は北陸地域でも人手不足が表面化しており、実際、当社が運営する既存のホテルでも、アジア系の外国人スタッフの割合が増えてきております。リネンも、オイル価格の下落で乾燥機などの燃料費は下がってきましたが、やはり人手不足は深刻です。
 
北陸新幹線の効果は
北陸3県すべてに浸透
 
昨年春に開通した北陸新幹線の影響で、北陸のホテル業界、特に金沢は景気が好調だと聞きます。「金沢マンテンホテル駅前」ではいかがでしょうか?
 
 確かに北陸新幹線の開通の後、金沢は高稼働率のホテルが増えてきています。国内旅行者だけでなく、首都圏から流れてくるインバウンドも増えました。東京のホテルがインバウンドを収容しきれない状況になっており、訪日して東京、京都に行き、あとはどこか地方にという流れの一つです。北陸では金沢や飛騨高山などが、ヨーロッパの方たちに観光地として特に人気があるようです。
 
「金沢マンテンホテル駅前」は1999年の開業時の客室が551 室でした。当初の計画では600 室ほどでしたが、当時は石川県(能美市)出身の松井秀喜選手が大人気で、その背番号「55」にあやかって551 室にしました。当時は室料も5500 円、朝食も550 円とそろえていました(笑)。
 
 その館内を2 年前、北陸新幹線による観光客需要を見越して全面改装し、シングルを減らしてツインとダブルを増やして509 室にしました。それでも北陸最大級の客室数なのですが、宿泊稼働率は現状9 割弱あります。このホテルは庭も広くて立派に造っていますが、今から思うと庭を小さくし、その分を駐車場にしておけばよかったな、と(笑)。客室数が多いですから、朝食用のレストランも150 席ほど設けました。利用者が多いですからバイキング式では対応できず、献立を選択できる定食スタイルをとっています。例えば和食の定食ですと、焼き魚をいくつかから選択、みそ汁も白みそと赤みその二択、ご飯も大・中・小のものを選べる、という組み合わせです。サラダとドリンクだけはバイキング式をとっておりますけれども。
 
東京ではインバウンドによる需要から、7000 ~ 8000 円で泊まれたホテルも2 万円ほどに上昇しています。金沢市も北陸新幹線の開業後、シティホテルで4000 円ほど料金を上げてきているところも見られるようです。
 
逆に金沢のシティホテルはリーマンショック以降に値段を下げ過ぎていました。その後もさらにインターネットでの価格競争に巻き込まれて下げてしまい、私どもが運営するビジネスホテルと、価格面での垣根がなくなっていました。シティホテルとして健全な事業性が成り立つ値付けではなかったのです。それが北陸新幹線のおかげでやっと適正価格に戻りつつあるのです。
 
 一方で、ビジネスホテルの中にも、2~ 3 万円という価格をつけるところがあるようです。
 
 このことで「金沢の街はビジネスホテルでもこんなに高いのか」という評判につながり、リピーターの人たちを減らすことになるのでは、と行政の方々ともども、心配しております。
 
金沢以外のマンテンホテルの現状はいかがですか?
 
 やはり北陸新幹線の影響で向上しています。とある機関が北陸新幹線の開業前に行なったビジネスホテルの年間稼働率データでは、地域別で富山は金沢より7%ほど低く、福井は金沢より15%ほど低い数字でした。HOTERESさんによる全国ホテルの稼働率データでも、福井はかなり低い数字だったはずです。
 
 でも、現在の富山は金沢からの流れを受けて好調です。何しろ富山は海の幸に加え、立山黒部アルペンルートと黒部峡谷トロッコ電車があり、ゴールデンウイーク明けから秋までは素晴らしい観光地ですから。
 
 また、私どもはたまに福井の旅館組合さんのところへごあいさつに伺うのですが、その際、「北陸新幹線で来た観光客が、金沢がいっぱいのため福井にお泊まりになっている」という話を聞いております。実際、富山や高岡のマンテンホテルも、それと同じご利益をいただいております。

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