このシリーズでは、トラディショナルからトレンドまで、幅広い情報をお届けします。ホテル・レストランでのサービスやマナー、ウエディング・イベントパーティの創つくり方、ライフスタイルにおけるニューヨーカーの感性などさまざまな視点からの最新情報です。日本人の感性と世界をリードするニューヨーカーの感性とうまく融合することで、「ZEN OMOTENASHI」は世界中から称賛を得ることでしょう。

 
　フローラルデザインは、幾何学的な観点から理論を立証できます。
 
　生活空間に安定を求めるという条件を設定し、3 つの赤いバラをデザインするとき、どこに位置づけたらいいのか、明確に分かります。ただし、最終的に行き着くのは、その先にあります。人々にとって、「Theory 理論」は感性の大切さを立証するための前段階であり、立証するための根拠ともいえます。
 
「Sensibility 感性」は、社会、家族、企業での人として追求するべき価値あるものではないでしょうか。豊かな社会があり、幸せな家族があり、成長企業がありますが、常に安定しているわけではありません。そういうとき、人々は自身の心に問い、語りかけます。
 
　人に与えられた最終兵器は、「理論にとどまらない育成可能な無限の感性」であり、そのツールはまさに「お花」です。
 
あらゆる空間に存在する花
 
　お花はわたしたちの生活空間でどのように存在するのか、ご一緒に考えてみましょう。ありとあらゆる空間に存在するのがお分かりでしょうか。命の誕生からお別れのときまで、さまざまな場面で登場します。
 
　人から人にお花を贈るとき、お部屋に飾っておもてなしをするとき、ヘアーや服に装っておしゃれを楽しむとき。これまでのことを思い出してみましょう。ウエデイングに招かれたとき、テーブルトップにお花、BRIDE がブーケを持ちGROOM はポケットにブートニア。ケーキにもフラワーデコレーション。会場空間にはお花のオブジェが。友人のお誕生日には、アレンジや花束を。上司の退職祝い、卒業式のときの演壇にはお花が飾ってありませんでしたか？
 
マイケルジャクソンの急死
 
　ときは2009 年6 月のことでした。全米が震撼とした日。テレビなどで報道され、知ってはいたのですが、身近に感じるほどではありませんでした。
 
　その翌日、お天気もよく、お散歩ついでにメトロポリタンの別館に出向き、のんびりとした休日。マンハッタンのセントラルパーク沿いのメトロポリタン美術館は有名で、多くの観光客で賑わっていますが、ここ別館はあまり知られていないため、ゆっくりとした時間を過ごせるので大好きな場所です。コートヤードのテーブルでカフェを飲みながら庭を眺め、そして青空を眺め…ぜいたくなときが流れます。
 
　半日もいたら充分なところですので、帰りはバスで帰ってみようかと、乗り場まで徒歩でテクテクと。ハーレム地区を南に下っていくバスからの街並みも楽しく、窓からの景色を楽しんでいました。そのとき…、横断歩道を横切る大勢の人々？ この人たちは何？
 
　もしかしてと、とっさに、バスから降りることをドライバーに宣言！ もしかして…というのは、このあたりに確かアポロシアターがあったことを思い出したのです。
 
　やはり、そうでした。降りたバス停から5 分ほどのところのアポロシアターに、続々と人々が集まっていたのです。劇場入口のところに、マイケルジャクソンの幼少期のころからの写真に加え、多くの献花。花々で埋め尽くされていきます。
 
　ポリスが見守る中、多くのファンがマイケルジャクソン流ダンスを踊り、TV局も中継に。
 
　壁には、誰でもサインできるようになっていましたので、わたくしもすぐに書き込み、帰路につきました。マイケルジャクソンと言えば、アポロシアター。こんな身近にあったなんて…、そして、すべての手向けたお花には、多くのファンのメッセージが託されていることを感じたときでもありました。