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第10 回 観光施設メディアラボ 公益社団法人国際観光施設協会編 第10 回

第2 回「たびむすび」 旅館「海月」女将 江﨑貴久氏 講演会 公益社団法人国際観光施設協会  染田寿稔

【週刊ホテルレストラン2016年05月20日号】
2016年05月20日(金)
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 公益社団法人 国際観光施設教会 旅館観光地分科会の活動の基軸である「滞在して楽しい観光地づくり」の一貫として、全国で観光にかかわる方々やまちづくりや観光に興味を持つ一般の人を対象に広く公開するセミナー「たびむすび」の第2 回目を、4 月13 日に丸の内二丁目ビルの「三菱地所設計スタジオ」で開催しました。ひとは、なぜ旅をするのか? 素敵な自分を発見するたび をテーマに、江﨑貴久さんを鳥羽市からお招きし、講演を行なっていただきました。

「素敵な自分を発見するたび」
地域の自然を守り 観光を持続させるエコツーリズム
 
オズ代表取締役・㈲ 菊乃代表取締役
三重大学大学院生物資源学研究科課程
江﨑貴久さん
 
江﨑さんは、旅館の女将・ツアーガイドなど幾つもの顔を持つエネルギッシュな方です。一見全く異なる仕事をしていると思われがちですが、実は私鳥羽の魅力・伊勢志摩の魅力を伝えることで人を幸せにする仕事をしていますと、話を切り出されました。
 
 江﨑さんは、「観光は「らしさ」+「ならでは」でできている」と言います。「らしさ」は地域資源、「ならでは」とは光る仕掛けです。この「らしさ」と「ならでは」が合わさって、地域の魅力ができていると。その魅力が観光資源ということです。光る仕掛けは、優れた技術や今だけ・ここだけ・あなただけといった希少性、人気や愛されていること、それらが伝わる自分なりの方法だと。
 
 鳥羽市に生まれ、大学を卒業後東京のファッション業界へ進んだ江﨑さんでしたが、ある日一念発起し、実家である旅館「海月」の女将となることを決断します。しかし帰ってみると、景色を見て泊まって、伊勢エビを食べて帰るだけの旅? の現実が待っていました。落胆し悶々と過ごす中、有志との語らいの中で「鳥羽を、ここの観光を何とかしたい!」との募る思いから、自分らでやってしまえと思い立ち、鳥羽の海と島の魅力を“ 五感で楽しむ”「海島遊民くらぶ」を2000 年に立ち上げました。旅の形を変えようと、思い及んだというわけです。
 
 鳥羽らしさの残った地域である離島をフィールドに、自然や生活文化を通して環境と観光、教育と環境を一体化させたエコツアーを展開しています。当初100 人程度であった客数は徐々に人気が広まり、2013 年には2700人余りに達しました。彼女たちの取り組みは鳥羽地域に広まり、現在では着地型ツアー・プログラムを五つの団体が実施し、年間3300 本以上のツアーにより約3 万8000 人もの観光客を導引するまでに成長させました。

私たちの活動理念を紹介する映像をYouTube「旅するこころ2016」で見ることができます。 株式会社サポート 染田寿稔

 
 江﨑さんは、観光による地域振興の二つの起点として「宝物さがし」と「地域の声」を示されました。どういうところが面白いのか、なぜ面白いのか、地域にどうすれば喜んで貰えるのか、など面白いと思う宝物さがしであり、何か面白いことが潜んではいないか、どうすれば課題解決に近づけるのか、どう仕上げれば面白くなるかの課題やニーズが地域の声です。言い換えれば、誇りから作るという起点から、誇りを作るという起点になると言います。
 
 また、江﨑さんの取り組みが鳥羽市の経済に及ぼした効果についての説明では、ツアー外で消費された経済効果が観光客一人平均1030 円(ツアーを含む合計2773 円/人)と分析しています。これが、観光に連携しづらかった商店や町内も“ おもてなし” に賛同する動きにつながり、アワビ醤油の商品化、真珠最中の復活、周辺飲食店と連携したがるエージェントも増えてきました。さらには、海島遊民くらぶの客に親切に接する町の人がでてきて、町の人々も自分の素敵さに気づくという流れができてきたとのことです。
 
 江﨑さんが考える普遍的で持続可能な観光まちづくりの仕組みとは、地形・地理・自然の恵みを受け、美しい景観の中で漁業・農業・林業をはじめとする産業を営む人の暮らしがあり、その営みや暮らしによってもたらされる魅力を基に観光商品・観光業が成り立っている。自然を大切にする取組で町の魅力に磨きがかかり、その魅力をPR して観光客を呼び込むことで、町や人々の暮らしが潤うという、好循環ができていることだと理解しました。
 
 江﨑さんは、「自然を大切にする取り組み」に対して「町に恩返しをする観光」という解釈を示されました。この二つが観光まちづくりの両輪ということだと思います。更に、観光とまちづくりが一体化して行く中で、今では観光が直接自然を守る取組みにもなってきているとのことです。観光を含めたまちづくりが鳥羽「らしさ」として輝き、観光客にとっては鳥羽「ならでは」として訴求する構図(鳥羽スタイル)が出来上がってきたとの分析を説明していただきました。
 
 自然と文化は、私たちの経営資源の根幹だと江﨑さんは言います。鳥羽にしかない観光資源から生まれる、鳥羽にしかない魅力、これが「鳥羽スタイル」の要です。そして、輝く光を観にいく“ 観光” が、そこを訪れ体験することで観光客も地域の人も幸せを感じる“ 感幸” にと、江﨑さんは先頭に立って進化させてきたのです。
 
 観光地のあるべき姿として旅館観光地分科会が発信している「滞在して楽しい観光地づくりとは 豊かなまちをつくること」を、正に鳥羽では先駆者として江﨑さんが取り組んでこられ、成功されておられる。それを強く体現したとても有意義なセミナーでした。
 

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