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創刊50周年記念特集Ⅰ 巻頭特集 

ル・コルビュジエのメッセージを現代のホテルに蘇らせる GRAND COMFORT 大いなる快適の哲学とは

【月刊HOTERES 2016年06月号】
2016年06月17日(金)
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  ヨーロッパのある都市のホテルロビーに一脚の長椅子が置かれている。この存在感は他に比類なき高貴な空間を創造する。この作者の名前はル・コルビュジエ。多くのホテルのロビー、客室に、この特異な存在感を示すル・コルビュジエの世界が、現代のホテルに蘇っている。「近代建築の5 原則」という、いまや普遍とも言える建築物としての約束事をルール化したル・コルビュジエは、建築家としての仕事のほかにも、インテリアデザイン、絵画、装飾とあらゆる意匠を作品として後世に残している。
 
 ホテル建築そのものに携わったというわけではないル・コルビュジエが、現代のホテル建築に多大な影響を与えているのは何故なのか。『週刊ホテルレストラン』創刊50 周年記念企画の巻頭特集は、ル・コルビュジエの思想・哲学の象徴であるGRAND COMFORT(大いなる快適)と、現代のホテルが目指す「快適空間」のリンクを検証する作業からスタートする。

詳細は6月17日号をお買い上げいただくか、電子版にご登録いただければ幸いです。
https://www.hoteresonline.com/hoteres/application/input/78

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「居心地の良いホテル」の原型を訪ねる
ル・コルビュジエが提唱した、単純で快適性を求めた家具「GRAND COMFORT グランド・コンフォート」(大いなる快適)という考え方に通底するのは、例えば氏が構築した「近代建築の5 原則」やその後のインテリア、装飾、絵画などのディテールへの拘りからも「居心地のより建物、家」という哲学である。この延長線上に、筆者が考える「居心地の良いホテル」というゴールへ向かうために、改めてル・コルビュジエへの関心を具体化したのが今回の『週刊ホテルレストラン』創刊50 周年記念号の第一義的な定義である。
 
周知のとおり、ル・コルビュジエが直接ホテル建築に関わったという事実はない。しかし、その後の建築家に多大な影響を与え、現代の建築に至るまで実に多くの建築家はル・コルビジェの建築物に対する合理性や審美性に共感し、彼のアイディアをホテルの随所に施すという事実がある。なぜ、多くの建築家はル・コルビュジエの視線と頭脳を意識のなかに残すのかという疑問を提示してみたい。
 
例えば、現在、フランス・マルセイユに立つコルビュジエの代表作品でもある「ユニテ・ダビダシオン」(集合住宅:1952 年建築)は、一部の客室(20 室)を「ホテル ル・コルビュジエ」として営業を継続しており、コルビュジエのスタイルが細部にまで宿った機能美溢れる部屋は、さながら美術館に泊まるような錯覚を覚えさせるほどの空間を示している。
 
興味深いのは、「近代建築の三大巨匠」として位置付けられるフランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエ(後の一人は勿論ル・コルビュジエ)のうち、ライトのみが帝国ホテルなどホテル建築を手掛けているということ。この三人の巨匠のメインワークは、いずれも住宅建築にウェートを置いた仕事をしている。「住宅」という概念から「ホテル」という概念に建築的な思想や理念を昇華することが有りえるのか否か。ここは関係者の議論を傾聴すべきであろう。ただし、筆者が推測するに、たとえ「住宅」に建築の基本があり、その造形や機能を集約するということが必然であったとしても、それが即「ホテル建築」に進化するというイメージをもったとしても不思議はないだろうという考え方である。特に、コルビュジエが拘った「コンクリートによる集合住宅」には、時代的な背景も交えた解説が必要になるだろう。第一次世界大戦以後、兵士はそれぞれの国に帰還することになる。戦争がもたらす都市の荒廃は、数多くの住宅を破壊し、帰還兵が住む住宅が極端に減少するという現象が起こる。この社会的な背景から、コルビュジエは多くの住民が集合住宅という機能と便利さを支持するという確信から、「ユニテ・ダビダシオン」の構想に取り掛かったというストーリーはほぼ定着したコルビュジエの現代における一定の評価の礎になっていると思う。
 
だとすれば、その後に訪れる欧米の観光ブームに対応するためのコンクリート建築による集合型建築物の発想は当然と推測される。現実には、第一世界大戦以降、1900 年代から2000 年までの一世紀、パリやロンドンでは、16 世紀以降に建てられたオリジナルの建物にさらに棟上げする形で、部屋を増室、現在では最上階(それまではサーバントルームの扱いだったが、近年はフィリップ・スタルクなどが天井高を嵩上げしてペントハウスというコンセプトでスイートルームにも劣らない客室料金を設定しているケースも目立つ)まで違和感のない一体化した建築物、構造物としての威容を示している。
 

ここで、コルビュジエが提唱した「近代建築の五原則」について改めて検証してみたい。
 

続きはぜひ本誌をお読みください。
 
CONTENTS
総論 本誌 村上実 「GRAND COMFORT 大いなる快適の哲学とは」
インタビュー 南條 史生 氏 「ル・コルビュジエとオータパブリケイションズと私」
寄稿 大成建設ギャルリー・タイセイ 林 美佐 氏 「祖父のこと」
特別対談 アレクサンダー・ゲルマン氏 × 五島 浩 氏「ル・コルビュジェを通じて日本の伝統建築の美が見えてくる」
インタビュー 雑誌編集者『GQ JAPAN』編集長 鈴木 正文氏「純粋なモダニズム運動の時代に『建築自体のための建築』を生んだ人」
 

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