今回は岩手県の県庁所在地である盛岡市を取り上げる。同市は岩手県のほぼ中央に位置し、岩手県の中心都市となっている。岩手県内では2011 年6 月に奥州平泉がユネスコ世界遺産に登録され、改めて国内観光ディスティネーションとして注目された経緯がある。以下に盛岡市のマーケットポテンシャルと、さらに今回は盛岡市や岩手県の観光ポテンシャルに重点を置いて見ていこう。
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マーケットポテンシャル
　盛岡市の地理を見ると、西部は奥羽山脈、東部は北上山地にはさまれた北上盆地に属しており、市街地は南北に展開している。盛岡市の都市勢圏は滝沢市、八幡平市、花巻市、矢巾町、雫石町、紫波町、岩手町といった盛岡市を含む4 市4 町から構成されており、盛岡市の東部以外の三方からの流入が見られる。東部は北上山地など山間部に阻まれているため流入が見られず勢圏が比較的限定されている。市の交通アクセスを見ると、南北軸では鉄道はJR 東北新幹線、JR 東北本線が、道路では東北自動車道、国道4 号線が延びており、西部には国道46 号線が走っている。都市勢圏の状況は2005 年の国勢調査から変化はない。
 
　盛岡市の商業求心力を見ると、商業拠点性指数は1.43 であり、周辺から消費の流入が見られる商業拠点都市を形成している。盛岡市内は郊外型商業が発達しており、「イオンモール盛岡」（店舗面積4 万6000㎡や「イオンモール盛岡南」（4 万2000㎡）などの大型SC が位置している。上記の施設は県内最大級の規模であり、盛岡市の県内商業における優位性が高い。
 
　盛岡市の人口は29 万3815 人（2015年3 月末人口）、県内人口に占める人口シェアは22.7% である。その他の県内主要都市を見ると一関市が12 万3555 人、奥州市が12 万1970人と続き、盛岡市を含めたこの3 市が10 万人以上の人口規模を有する中心都市となっている。また、花巻市の9 万9476 人や北上市の9 万3389 人も10万人にせまる規模を有している。しかし、それ以外の都市ではおおむね5 万人以下となった。県内において盛岡市への人口集中が顕著であるが、県南部にも人口が分散している状況である。
 
　過去5 年間の人口増加率（15 年／10 年）を見ると盛岡市は0.7% の微増となった。その他主要都市では滝沢市が3.0% で最も増加しており、次いで一関市の2.3%、北上市の0.5% となっている。それ以外の主要都市はすべてマイナストレンドとなった。盛岡市周辺と県南部で比較的人口増加が見られる状況だ。
 
　盛岡市の年齢構造を見ると若年人口比率は18.7%、適齢期人口比率は25.4% となり、若年人口比率、適齢期人口比率ともに全国値（若年人口比率18.0%、適齢期人口比率25.1%）を若干上回った。その他の県内主要都市を見ると若年人口比率は滝沢市が21.5% で県内で最も高く、その他北上市が19.5%、久慈市が18.9% で全国値を上回っており、県内ではこれらの都市で比較的若いマーケットが形成されていると言える。適齢期人口比率は盛岡市のベッドタウンとなっている滝沢市が26.3% で、県内で最も高く、盛岡市と滝沢市が比較的生産人口が多いといえる。
 
　将来推計人口を見ると盛岡市は今後減少フェーズに突入するとされ、2030年頃には2010 年ベースから約10% 程度減少すると見られている。その他の県内主要都市では滝沢市が2025 年頃まで2010 年の人口レベルを維持すると推計されており、県内で最も人口ポテンシャルが高いと言える。滝沢市は将来的に宮古市の人口規模を抜く可能性がある。2030 年ごろには盛岡市以外の都市は人口10 万人を割り込む可能性が高く、将来的にも盛岡市が県内最大のマーケットを有することに変わりはない。
 
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