ログイン
検索
  • TOP  > 
  • 記事一覧  > 
  • 今年も東京都が宿泊・飲食施設に分煙環境整備の補助金を交付  三井ガーデンホテル銀座プレミアが補助金活用で顧客満足・予約獲得率向上!
今年も東京都が宿泊・飲食施設に分煙環境整備の補助金を交付 

三井ガーデンホテル銀座プレミアが補助金活用で顧客満足・予約獲得率向上!

【月刊HOTERES 2016年08月号】
2016年08月26日(金)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

<ケーススタディ> 三井ガーデンホテル銀座プレミア 東京都の補助金の活用で 顧客満足と予約獲得率が向上!


総支配人の中弥生氏

昨年東京都初の試みとして施行された「東京都分煙環境整備補助金制度」を三井ガーデンホテル銀座プレミアが活用し、新たにSmoking Room を設置した。今回は補助金の活用、そしてSmokingRoom 設置後の変化などを総支配人の中弥生氏に伺った。

10 年目の決断
 
本年2 月、三井ガーデンホテル銀座プレミアのロビーにSmokingRoom が登場した。昨今のインバウンド需要の増加と共に増える喫煙への要望、朝昼晩とおのおのに顔を変えるといわれる銀座という立地から当ホテルの利用者もビジネスユースからレジャー利用までさまざまな客層を抱え、より多様性を持ったサービスの提供が求められる中、喫煙環境の整備は必要不可欠だということで着手に至った。三井ガーデンホテル銀座プレミアのロビーと言えば天井も高く、開放的なことで知られ、そのゆったりとした空間はホテルが愛される理由の一つにもなっている。それゆえ、現状のイメージを維持しつつどのように“ 喫煙スペース” を設置するのがよいのか? 幾度も検討が重ねられた。また設置スペースとして最有力候補となった現在Smoking Room のある場所はロビークロークだった場所だ。当ホテルは場所柄、海外からの旅行客の利用も多い。そのことを考えると荷物の多い彼らの受入れにおいてロビークロークの位置づけはホテル内施設の中でも優先度が高く、それをなくすことに対する懸念も決して小さくはなかった。しかし、その上でも今回の分煙環境の設置は必要だったという。Smoking Room の設置はホテル開業10 周年目の改革だった。
 
予約獲得、稼働効率
そして顧客満足の向上
 
それではなぜ分煙環境の設置に着手したのか?
当ホテルのインバウンド需要による利用が多いことは先述した通りだが、特にアジア圏からの観光客に人気の銀座では自ずと宿泊施設に対する喫煙の要望が高い。また国内需要に目を向けた場合にもカップルでの利用などの際に、一方が喫煙者、一方が非喫煙者だった場合に施設内に喫煙スペースの設置がないことで予約を失う理由になるケースがままあったそうだ。また繁忙期などは喫煙可能な客室を希望するお客さまが、喫煙ルームが取れず、禁煙ルームに宿泊した際など内緒で客室内で喫煙してしまう、またその際にペットボトルや缶を灰皿の代わりに利用するといったケースが少なからずあった。その際、清掃作業や客室の脱臭などに予定外の時間を割かれることで作業への負担が増えるなど、清掃効率にも影響を及ぼしていた。12 時チェックアウト、15時チェックインという体制で宿泊客の受入れをしている当ホテルはこの3 時間の間に全客室の清掃を行なわなければならず、思いのほか時間を取られる脱臭を必要とする禁煙ルームでの喫煙は悩みの種でもあった。さらに当ホテルのロビー階がビルの16階に位置する作りになっている点も、喫煙希望のお客さまに対するサービスの点でホテル側が申し訳なさを感じる要因となっていた。それというのもSmoking Room 設置以前、館内のパブリックスペースで喫煙可能な場所は唯一、ロビー階にある「Cocktail KARIN(BAR)」だけであった。

 宿泊客だけでなく、レストラン利用のお客さまも多い等ホテルではそのすべての喫煙希望にそこでの喫煙を案内せざるを得ず、満席の場合などは1階まで降りてビルの外で喫煙してもらう必要があった。往復32 階分の距離を行き来してもらうことは顧客満足への懸念事項でもあり、また喫煙後の吸い殻がビル前の植木に破棄されるなど、防災上の懸念もあった。今回、Smoking Roomの設置によりこれらの問題がすべて非常によい形で解決された。中でもSmoking Room の設置はゲストコメントカードなどでも要望の声が高かったこともあり、顧客満足に結びついたことはホテルとして非常によい投資になったと中総支配人は言う。

換気能力の高さと天井の高さから快適な空間となっている
井ガーデンホテル銀座プレミア外観
デザインになじみながらも分かりやすいサイン。喫煙スペースのサイン設置の要望はインバウンドによる観光客から特に多いニーズだ
デザイン性が高く、開閉式となっているのでロビーに溶けこみ、出入りの音も静かだ

分煙コンサルタントから
補助金のアドバイス
 
当初、Smoking Room 設置に当たり、現状のようなリノベーションだけでなく、さまざまなシステムの導入が検討されていた。が、規模や規格、ランニングコスト等専門的な知識や大きな投資となることからおのおの最適な選択の判断など、適切なアドバイスをもらえるコンサルタントが必要だということになった。そこで担当者が日本たばこ産業に問い合わせ、コンサルティングをしてもらうことになった。その過程で分煙コンサルタントから今回利用した「東京都分煙環境整備補助金制度」を紹介され、補助金を活用した上で分煙施設の設置を進めることになったそうだ。
 
ランニングコストの負担が
少ない形で分煙環境を実現
 
今回のリノベーションにおいて、当ホテルでは既存の換気口を活用しSmoking Room を設置した。気流風速は東京都の規定以上のスペックを導入し、収容人数は6 名で灰皿が3 台。24 時間利用可能となっている。壁材のクロスは特に消臭、脱臭効果のあるものを使用したわけではないが、ブラインドテストでこの部屋に案内された場合、多くの人が「そこをSmoking Room だと感じない」と言っても過言ではないほど喫煙の形跡を感じないスペースを実現している。中総支配人もSmoking Room近くのソファにお客さまの喫煙後に座るなどして折々残り香のチェックをしていると言うが、非喫煙者の中氏もほとんど違和感、そして不快感を感じない状態を維持できているという。もちろん喫煙直後は多少、残り香がSmoking Room 内に残る場合もあるが、設備の設置以来、臭いに関するお客さまからの意見や注意はまったくないそうだ。1時間に157 回、1 分に2 回以上の換気が行なわれていることが臭いにおける問題が解決されている大きな要因だろう。ちなみに分煙コンサルタントに相談の上、今回の形状での設置に至ったことでランニングコストは電気代程度に抑えられ、ホテルの予算にも優しいリノベーションが実現できた。補助金も交付され、喫煙者および非喫煙者、両方のお客さまへの快適なサービスが可能になったことは当ホテルにおいてさらに増加が見込まれるインバウンド需要に対してはもちろん、国内需要においても大きなセールスポイントが誕生したと言えるだろう。
 

月刊HOTERES[ホテレス]最新号
2024年05月15日号
2024年05月15日号
本体6,600円(税込)
【特集】本誌独自調査 2024年日本のホテルチェーングループ一覧 後編
【TOP RUNNER】
ジャヌ東京 総支配人 田中紀子氏

■業界人必読ニュース

■アクセスランキング

  • 昨日
  • 1週間
  • 1ヶ月
CLOSE