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2020年2月28日号 TOP INTERVIEW とんきゅう株式会社 代表取締役社長 矢田部 武久氏

東京進出を果たした 茨城とんかつの雄、とんQ

【月刊HOTERES 2020年02月号】
2020年02月27日(木)
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茨城県つくば市を中心に、茨城、千葉、埼玉で10店舗を展開する「とんかつ とんQ」。昨年の12月5日に東急プラザ渋 谷に11店目となる渋谷店をオープンした。1983年に本店をオープンし、北関東でとんかつ専門店として大きな支持を得 てきた基盤を武器に、念願の東京進出を実現。挑戦のまっただ中にいる社長の矢田部武久氏に話を聞いた。
 

とんきゅう株式会社
代表取締役社長
矢田部 武久 氏(やたべ たけひさ )


1948年、茨城県出身。餡 あん の製造と卸しを家業とする家で育つ。 日本大学商学部卒業。海外で登山やオートバイでの旅をする生 活を経て、1983年に「とんかつ とんQ」を開業。OGMコン サルティングに参加しつつ、事業を拡大。現在は「とんかつ と んQ」11店舗のほか、焼肉の「赤牛」3店舗、イタリアン「ア ルゾーニ・イタリア」、ダイニング「JUN BOO」を展開。

渋谷店オープンで東京進出を実現。 新たな挑戦に取り組む

――昨年の12月5日、東急プラザ渋谷に「とんかつ とんQ」の渋谷店がオープンし ました。いよいよ、東京進出です。

 前々から東京に店を出したいと思って いたのです。そんな中で今回のお話を いただき、即決しました。 とんかつとんQは、北関東で長年に わたりお客さまに愛されてきたという自負 があります。それをベースに、東京では 新しいことをやろうと決めました。東急ブ ラザ渋谷自体のターゲット層が、ハイク オリティーなものを知っている大人の男 女。そんな客層に向け、「高級感のあ るとんかつ」を意識しています。 渋谷店の開発は息子(淳氏)を責 任者に任じ、彼が中心となってコンセプ トから細部までを作り上げました。渋谷 店について一番よく知っているのは彼な ので、彼にぜひ詳しく聞いてください(本誌12 〜13ページ参照)。 渋谷店は会社にとって、私にとって、 そして息子にとっての大きな挑戦です。 私たちは挑戦が大好きで、今、とてもワクワクしています。


若き日のバイク一人旅で得た感動、 培った自信が、今に至る人生のベース

――矢田部社長の、挑戦を続けるパワーは、 どこから生まれてくるのでしょう。

 私は学生時代、コンプレックスの塊の ような人間でした。家が、和菓子店な どで使う餡の製造と卸しの会社を経営 していて、社長である父親がとても偉 大だったのです。ただし、後継ぎになる よう期待されることが重荷であり、将来 を自力で選べないような状況に「自分は何もできない人間だ」と思ってしまっ た。弱い自分をもてあましていたのです。 そんな中、大学卒業後に一念発起して 家を出て、自分の好きな山登りを突き詰 めようと決意。アルバイトでお金を貯め てはヨーロッパアルプスや中南米で登山 し、お金がなくなれば帰国してアルバイ ト……という生活を送りました。 そして決定的な体験となったのが、 25歳のときに、バイクでインドのコルカタ からドイツのフランクフルトまで走った一 人旅。学生時代から歴史や地理が好 きで、特にパキスタンとアフガニスタンの 間にあるカイバル峠に行きたかったんです。アレキサンダー大王、チンギス・ハン、 マルコポーロらも越えたカイバル峠。そこを訪れるのは私にとっての夢でした。 旅の途中には、砂漠や荒野もあります。そんな場所をバイクで通過するとな ると、何かが起きても周りに誰もいませ んから、全部自分の責任で切り抜けな ければなりません。また、訪れる各地は 食べものも言葉も文化も違う。身一つで勝負するしかない。そんな状況に身を 置いてみたかったのです。

――壮大な、そして危険を伴う計画です。

 なので、準備には2年間かけました。 今みたいにインターネットで調べることが できないので、地図に分度器をあてて 道筋を確認したり、大使館に掛け合っ て情報を集めたりしました。命綱である バイクについても詳しくならなければなり ませんので、バイク店に弟子入りしてメ ンテナンスを学びましたよ。 でも、正直に言うと、準備の途中でも 何度も「行くのをやめよう」と思ったんです。怖くなってしまって。しかし勇気 を持って踏み出したのです。 旅の途中では、自力で難局を乗り切っ たこともありますが、人に助けられたこと も多かったです。見ず知らずの私をも てなしてくれた家族、体を壊してホテル に逗留せざるを得なかった私に「宿代 はいいよ」と言ってくれた主人……。多 くのかけがえのない体験をしました。 旅を終えて帰国し、自分の部屋に戻り、壁に張ってある地図を見ながら準 備のときによくかけていた音楽を聴いた ら、思わず大泣きに泣けてしょうがなかっ たことを覚えています。目標に向けて全 身全霊で取り組み、達成したことで感 極まっていたのです。 私がこの旅を通じて得られたのは、 自信です。「自分はやればできる」「どんな状況でも切り開ける」と思える人間 に成長できました。 この自信があるから、私は今の事業 を続けていられるのです。人生におけ る挑戦の大切さも若いときに実感してい るので、今に至るまで仕事でも、また趣 味の山登りでも挑戦を続けています。 そして一緒に働くスタッフにも、こうし た達成感、充実感を味わってほしいと 思っているのです。その思いが、会社 として挑戦を続ける最大のモチベーショ ンになっています。

 

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