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[PR] 跡見学園女子大学

【無料講座】コロナ禍での観光の未来を考える インバウンドのセカンドステージでの課題と人材育成 ~防災、自転車、島嶼、ジェンダー、異文化理解 ハラール対応:跡見学園女子大学「観光経営人材育成講座」

2023年09月21日(木)
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跡見学園女子大学は、東京都が推進している「大学等と連携した観光経営人材育成事業」に参画し、「観光経営人材育成講座」を無料で開講している。2021年度、2022年度と回を重ね、2023年度は9月5日から10月17日に第1講座として、講演1〜4「めがねを変えると見えてくる次のステップ-マーケティングの焦点、サイクリストの視点、防災・減災マネジメントの観点-」を開講している。引き続き第2講座として講演5〜8「広がる観光-都市、地域、離島、台湾からの視点を例に-」を11月14日から12月21日に、第3講座として講演9〜12「攻める観光-インバウンド観光とムスリムのハラール文化対応を中心に-」を2024年1月16日から1月25日に開講する。
 
この事業では東京都と跡見学園女子大学が連携し、ポストコロナの新たな観光経営を見据え、インバウンド観光のセカンドステージに対応できる人材育成を目的とした教育プログラムを提供している。具体的には現在のグローバル社会に対応するため、観光と災害、自転車、ジェンダー、島嶼社会の取り組み、異文化理解や働き方改革、ムスリム文化やハラールといった多彩な重要テーマを取り上げ、理論的・体系的な理解の促進と、それらを実践的に活かせる人材を育成するための講座を開講する。
 
跡見学園女子大学の理事・副学長を務める観光コミュニティ学部教授の塩月亮子氏、観光コミュニティ学部観光デザイン学科教授の臺純子氏に、観光経営人材育成講座の目的と意義について話を聞いた。
 

左:臺純子氏 右:塩月亮子氏
左:臺純子氏 右:塩月亮子氏


インバウンドの第2ステージを見据えた
観光関連産業に関する講義を展開している


 

▶観光経営人材育成講座の概要を教えてください。

塩月 東京都は観光関連事業者の経営力向上を図り、観光産業の活性化につなげることを目的として、宿泊や旅行業、観光施設、運輸など、観光関連事業に従事する人に向けた新たな教育プログラムの開発等を支援しています。

跡見学園女子大学は3年前の2021年本事業に採択され、東京都と連携して観光経営人材育成を実施してきました。2023年度も含め、本事業が2017年度から始まって以来、観光学部や学科をもつ大学が講座を開催していますが、その中で女子大は跡見学園女子大学のみとなります。

そこで女子大ならではの強みを活かしながら、もともと関係する授業があり、専門の教員も多く在籍するジェンダーや文化の多様性に着目して、ポストコロナ時代、インバウンドのセカンドステージを見据えた観光関連産業に関する講義を展開しています。
 
コロナ禍でのスタートとなった講座であるため、無料のオンラインのスタイルで開講しています。ただし、2023年度の第3講座最終回では、対面での開講をオンラインと併用する形で実施します。オンライン講座にはプラスの面があり、19時や19時30分の開講という時間的な制約がある中でわざわざ大学まで出向かなくても会社や出張先から聴講できるというメリットを打ち出すことができました。受講者のアンケート結果を見ても、そうしたメリットを感じていただけていることがわかります。さらにリアルタイムで受講できなかった方には、期限を区切り、オンデマンドで録画を配信しています。復習したい人も含めて好評をいただいています。

▶2021年から講座を開講されていますが、どのような意図があるのでしょうか。
 
塩月 跡見学園女子大学が本講座を開始した2021年は緊急事態宣言が発出され、オミクロン株が日本にも入ってくるなど、コロナ禍の真っ只中にありました。大きな不安を覚えた観光業界の方々はとても多かったと思います。パンデミックによって仕事がなくなり、時間が空いてしまった、これから先、自分たちはどうすればいいのかという迷いが生じたと思います。
 
ウィズコロナ、ポストコロナの時代に入ったときに観光関連の事業者はどうあるべきかを考えるためにも、現状と今後の見通しをとにかく知りたいということで、100名以上の受講生がオンラインで参加してくださいました。
 
▶受講生はどのような方が多いのでしょうか。
 
塩月 昨年度の受講生の割合をみると、宿泊をメインとしたサービス業が最も多く30%以上を占めています。次いで旅行業や自治体、エアラインなどの運輸、そして飲食業となっています。2022年はコロナ禍も3年目となり、第6波に入った2月には感染者数が日本全国で10万人を超え、その後も第7波、第8波と続きました。一方でワクチン接種が進み、感染対策の緩和もあったことで、日常生活を取り戻すために大きく踏み出せた1年となりました。観光業界の方々も忙しくなってきたと思います。そうした状況の中、受講生の数は70名ほどとなり、80名を超えた回もありました。
 
2023年はコロナが感染症法上の5類に移行し、本当の意味でポストコロナ時代を迎えたことから、観光関連産業をどのように活性化していくのかを本格的に考える段階を迎えました。私たちがこの3年間行ってきた講座はそのためのもので、「価値創造モデルの創出」や「異文化理解の促進」を標榜してきました。たとえばムスリムのインバウンドもありますから、その文化を知り、ハラール対応をしていく必要がありますし、ビーガンなどへの対応も考えていかなければならないでしょう。
 
本講座ではポストコロナのツーリズム市場の再構築を図ることを目指して、基礎編から応用・実践編へとステップアップしながら、学者や実務家など多様な専門家による解説を行っています。これは臺先生もおっしゃっていることですが、コロナ禍前に戻ればいいのではなく、コロナ禍を経てもっと違う形で再構築に向かうことが必要なのだと思います。

 

コロナ禍を経たことでもっと先に進み
観光をよりよいものにする発想が大切

 

 私は2022年からこのプロジェクトに加わり、大学院時代のゼミの先輩と2人で第1講座を担当することになりました。どのような内容にするべきかについて話をする中で、「コロナ禍前と同じくらい多くのお客さまに早く戻ってきてほしい」というコメントが多く聞かれる状況に、自分自身が違和感を覚えていることに思いあたりました。

コロナ禍前の状況に戻って、お客さまがたくさん来てくれればそれでいいというだけでは、パンデミックの経験を活かしていないと言わざるを得ないでしょう。
 

そうではなく、コロナ禍を経たことでもっと先に進み、日本の観光をよりよいものにしていくという発想を持つことが重要だと考えたのです。その考え方を講座の中に盛り込んでいこうという思いを2人が共有できたことから、目指す方向性が決まりました。

私が担当したプログラムの大きなテーマは、2022年度、2023年度ともに「マーケティング」です。観光業界のマネージャークラスの方々だけでなく、現場を担う方々にも普段の仕事の中でマーケティングの視点で物事を考えることを意識していただくための内容を伝えたいと思っているからです。2022年度のオンラインによる講座を通じて、講師と受講生が双方向にやり取りできていないことがネックになっていると感じました。そこで2023年度の講座では1回目の講座で課題を出し、受講生からの回答も活用しながら2回目の講座を行うスタイルを試してみることにしました。
 
「マーケティング」をベースに置きながら、「まちづくり」「スローモビリティー」「観光地における防災対策」「サイクリングによる観光」といった内容を通じて、日本の観光を前進させるメッセージを強く発信していきたいと思っています。
 
▶跡見学園女子大学が実施する講座について、全体的な方向性を教えてください。
 
塩月 跡見学園女子大学の強みであるジェンダーやLGBTQの視点、いわゆるダイバーシティに関する内容を重視しながら講座を組み立てています。ホテルで役職に就いて活躍している女性やLGBTQの当事者で、その支援活動をしている方などをお呼びして、これからの時代に求められる顧客ニーズの把握とともに、従業員が働きやすい環境づくりについても考えてきました。
 
加えてここ数年で大きく注目されるようになった、メタバースの活用についても取り上げました。たとえば身体が不自由な方が観光に行きたいと思ったときに、メタバースを活用すればその可能性が広がっていくといった内容で講義を行いました。
 
単に女子大だから女性のことだけを取り上げるという姿勢ではなく、世界にはさまざまな性がある中で、それぞれの背景にある文化や考え方をしっかりと意識しながら、広くダイバーシティについてアカデミックに考察することを目指しているのです。ダイバーシティの観念を広げながら、観光関連産業における異文化理解の重要性を訴え、その中でムスリムのハラール文化への対応についても考え続けるといった取り組みが、跡見学園女子大学が実施している講座の特徴であると言えるでしょう。
 
その出発点は、どうすれば女性が観光関連業界でもっと能力を発揮して、生き生きと活躍できるのかを考えることにありました。そこからさらに視点を広げ、考察を深めることで、性の多様性や異文化を理解することが、世界中の人々が満足できる日本の観光のあり方を形づくるという発想に辿り着いたのです。つまりホテルを含む観光関連産業の経営者が、ダイバーシティの視点に立って経営を考えていく流れを創出することが本講座のねらいの1つとなります。


世界には日本とは異なるさまざまな
文化があることを深く再認識するべき

 

▶どのような形で講座の内容がホテルの現場に還元されると考えますか。
 
臺 何をどうすれば現場に還元されるのかについては、なかなか難しいものがあります。いずれにしても講座の内容が今すぐに役に立つという、即効性を求めることが基準にはならないと思います。本講座を受講し、これまでに考えたこともなかった情報やはじめて知った思考法などに触れることで、もしかしたら何年か先に「そういえばあのとき、こんな話を聞いた」「今ここで、この考え方を試してみたら自分たちの仕事がもっと上手くまわるのではないか」といった気づきが花開くかもしれません。そのための種蒔きも、この講座の役割ではないかと考えています。
 
蒔いた種を苗として育て、いずれ花を咲かせることになるかどうかは、受講された方次第です。受講しているときは「どうにかしたい」という問題意識を持っていたとしても、日々の業務の中でその思いを忘れてしまうことは誰にでもあることでしょう。それでもどこかのきっかけでふと思い出して、具体的な試行錯誤へとつなげていただける日がやって来るかもしれません。
 
あるいは本講座を受講したことで興味を持った先生の別の講義や講座を聴いてみる行動につながるケースもあるでしょう。そんなふうに知に対する興味が湧いてくるところにこそ、アカデミックの価値があるのだと信じています。
 

▶あらためてアカデミックで学ぶ利点はどこにあるか教えてください。

塩月 私の専門は文化人類学なので、常識を疑って多方面から見ることが大切だと思っています。アカデミシャンは起きている現象を総合的、客観的に見ることができなければなりません。
 
おそらくホテルで働く方々は、海外のお客さまをお迎えすることでさまざまな異文化体験をするとは思うのですが、どうしても断片的というか、ばらばらの事象や出来事があるだけにとどまってしまうのではないでしょうか。

たとえばタイの人に対して頭を撫でてはいけないという知識を持っていたとしても、なぜいけないのかという理由まではわからないかもしれません。それを知るためには、タイの人の世界観や宗教観、歴史や文化について勉強する必要があります。そうした深層をアカデミシャンに教えてもらうと、表層的、断片的な形ではなく、異文化を総合的に深く理解することができると思います。すぐに役立つとか、こういうことをしてはいけないといった簡単な話ではなく、もっと学問的に知っていくことの重要性がきっとあるはずです。それは研究者や学者だけでなく、たとえば観光に従事している方々にも身に付けていただきたい姿勢であると私は考えています。
 
インバウンドが再び増加してきている今、世界には日本とは異なるさまざまな文化があることを深く再認識しておくべきだと思います。日本の常識にとらわれず、よく学ぶためには「やわらか頭にする」ことが大切になるでしょう。
 

経営者は従業員のQOL向上や学びの機会を
積極的に提供するなど、人材育成に力を入れてほしい
 

▶観光における人材育成という観点で、ホテルの経営層に伝えたいことはありますか。
 
 私が雑誌の仕事をしていた頃に、海外のホテルの総支配人やレストランの責任者にインタビューする際、最後に必ず、「次のバカンスはどこに行くのですか?」と質問していました。すると経営上の話よりもずっと長い時間をかけて、相手は楽しそうに話してくださるのです。「昨年はここに行ったけど、素晴らしいところだった。そこで受けたサービスをうちのホテルでも取り入れているんだよ」といった会話も生まれたりします。
 
ところが日本のホテルや旅館で同じ質問をしても全く違った答えが返ってきてしまいます。両者の違いはあまりにも大きすぎると感じています。自分自身が遊んだり、楽しんだりする機会が少なければ、お客さまに楽しんでいただく方法がわかる機会も少なくなるのではないでしょうか。そうした危機感を抱いたことも、私が観光の勉強を始めたきっかけになっています。
 
塩月 素晴らしいと言われている海外のホテルを従業員が体験するための時間を与える度量を、ホテルの経営者の方々にはぜひ持っていただきたいと思っています。本講座の受講を積極的に推奨するなど、従業員のQOL向上や学びの機会を与える姿勢で臨むことで、 ホテルで働く人材の質は向上していくはずです。
 
経営者が従業員の教育支援を行うとともに、しっかりと休暇を取得させ、その時間を活用して見聞を広げる活動に使ってもらうことが大切なのだと思います。そうした取り組みの推進こそが、日本全体のホテルの質をさらに高める道へとつながっていくと考えています。


【跡見学園女子大学「観光経営人材育成講座」開講中!】
2023年度は、現在のグローバル社会に対応するため、観光と災害、自転車、ジェンダー、島嶼社会の取り組み、異文化理解や働き方改革、ムスリム文化やハラールといった重要かつ多彩なテーマを取り上げ、理論的・体系的な理解の促進、さらにはそれらを実践に活かせる人材育成のための講座を開講している。詳細は下記より。
https://www.atomi.ac.jp/univ/activity/detail/10443/


塩月 亮子 氏(Ryoko Shiotsuki)
跡見学園女子大学観光コミュニティ学部観光デザイン学科教授、博士(文学)。2004年日本橋学館大学人文経営学部准教授、09年日本橋学館大学リベラルアーツ学部教授を経て、10年跡見学園女子大学マネジメント学部教授、15年から同大学観光コミュニティ学部教授。文化人類学、民俗学を専門とする。著書に『沖縄シャーマニズムの近代—聖なる狂気のゆくえ—』(森話社)などがある。
 
臺 純子 (Junko Dai)
跡見学園女子大学観光コミュニティ学部観光デザイン学科教授、博士(観光学)。2006年立教大学観光学部助手、08年長野大学環境ツーリズム学部准教授、11年東京成徳大学、17年比治山大学を経て、21年より現職。観光の社会史、観光とメディア、ファンツーリズムを専門とする。共著『会いたい気持ちが動かすファンツーリズム:韓流ブームが示唆したもの、「嵐」ファンに教わったこと』(流通経済大学出版)などがある。

文:高澤豊希/撮影:林正/担当:小川大輔

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