今回は石川県の北陸新幹線開業に伴う観光ポテンシャルの変化と地域ごとの観光入込状況、さらに能登地域の観光ポテンシャルと観光資源について見ていきたい。能登地域は石川県の観光において金沢地域に次いで重要な位置づけにあり、改めてその概要を確認したい。石川県のマーケットポテンシャル、マクロな観光動向は金沢市編を参照していただきたい。
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1. 北陸新幹線開業と石川県の観光入込状況
北陸エリアは大都市圏から隔絶した立地にあったことから、独自の文化が花開いた。食や工芸、郷土芸能など豊かな文化が醸成された。しかし、かつての石川県の観光は他の大型観光地と比較すると認知度が低い感があった。それは大都市圏からの交通アクセス環境が良くなかったことに起因する。
石川県の観光入込客数(※ 1)を長期トレンドで見てみると、広域交通網の整備が集客増に貢献したことがわかる。1988 年には北陸自動車道が全線開通し、入込客が大幅に伸びている。さらに2015年に北陸新幹線長野駅~金沢駅間が開業すると、観光入込客数は年間2000万人レベルから2500 万人レベルまでに急上昇した。(図表1)
北陸新幹線は段階を追って延伸しており、1998 年の長野オリンピック開催に合わせて1997 年に高崎駅~長野駅間が開業(東京駅~大宮駅間は東北新幹線、大宮駅~高崎駅は上越新幹線と共用)し、2015 年の長野駅~金沢駅間延伸で東京駅から直接石川県内にアクセスできるようになった。東京駅からの所要時間は2時間半程度で、延伸前からは約1 時間半の短縮となり、都心からのアクセスが大幅に向上した。(図表2)
2024年3月には北陸新幹線金沢駅~敦賀駅間が延伸開業した。それに合わせて国が宿泊費を補助する「北陸応援割」も実施された。ゴールデンウイーク前には割り当て量の予約が終了する宿泊施設が相次ぎ、消費者の観光で支援したい気持ちの後押しもあったが、改めて石川県の観光ポテンシャルの高さを知らしめた。
また、現在ルート選定の段階であるが、新大阪駅までの延伸も計画されている。現在は大阪方面から金沢駅に向かう場合、新大阪駅から特急サンダーバードで敦賀駅まで出て北陸新幹線などに乗り継ぐ必要があるが、延伸された暁には乗り換えなく新大阪駅~金沢駅を結ぶことになる。
石川県の発地別観光入込客数シェアを見ると、県外の観光客の中では首都圏(※2)が最も多く、観光入込客数全体の17.0%を占め、それに次いで関西圏(※2)が10.2%、中京圏(※2)が7.3%となっている。北陸新幹線など広域交通網の整備によって、金沢地域や能登地域など石川県の観光資源が改めて評価され、本来持つ観光ポテンシャルから人口ボリュームの潤沢な首都圏からの観光流入が多くなったと言える。(図表3)
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2025年6月号 観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《能登地域編》
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【月刊HOTERES 2025年06月号】
2025年06月13日(金)