丸の内の夜を創出するというコンセプトのもと、同エリアで初となるナイトマーケット事業が始動したのは2005年。現在では華やかな‟夜の顔“も定着している丸の内だが、当時は人通りもまばらなビジネス街であった。そうした環境下において、新たなナイトカルチャーの土壌を切り拓いた先駆的存在が「P.C.M. パブ・カーディナル・マルノウチ(以下「P.C.M.」)」である。
同店を運営する㈱カーディナル代表取締役社長の三好康弘氏によると、その創生にあたっては、「1970年代に六本木の夜を彩った同社の名店、“六本
‟新たに生まれ変わった“店舗外観。LEDヴィジョンが丸の内の夜に存在感を放つ。同社の経営理念は、一つの出会いに一つの笑顔を意味する“一期一笑”だ。その思想は空間づくりやサービスの随所に息づき、お客さまとスタッフの笑顔が重なり合うことで、これからも店の歴史を紡いでいく
実際、今回のリニューアルはブランドのリブランディングの意味合いが強く、店舗空間については創業時、“神が降りてきたデザイン”とも称された小坂竜氏の意匠を踏襲。‟原点回帰“もテーマとし、20年の間に変化した部分を可能な限り創業当時の姿へと引き戻した。そのうえで、家具のリストレーションから床板の張り替えに至るまで、経年による劣化部分を、お客さまが慣れ親しんできたイメージを損なわないかたちで刷新するという、極めて贅沢なリニューアルが施されている。一方で、シャンデリアの電球をLEDへ変更し、最新の音響設備、LEDヴィジョン導入に加え、レイアウトの選択肢を広げるテーブルの導入など、お客さまの滞在満足度や多様なニーズに応えるソフト面でのアップデートも施した。さらに、ブランドミュージックセレクターが、時間帯やお客さまの空気感に応じた多彩な選曲を丁寧に行うなど、空間全体の体験価値向上に向けた取り組みをさらに高めていく。
リニューアル後の店内。同店のシグネチャーともいえる総スワロフスキーのシャンデリアの煌めきは、今も昔も丸の内の夜における大人の社交空間を象徴する存在である
これら一連の取り組みは、「P.C.M.」が20年という歳月、さらに言えば六本木時代に培われたスピリットへのリスペクトを背景に形成された‟ブランド“を継承していくという‟変えない”プライドと、その‟ブランド“を存続させるための改革の両輪が、今後もブランドを守っていく礎になるという判断から生まれたものだ。さらに、それはこれからの同店のブランドを守っていくスタッフたちへと継承していく上でも、重要な要素であると考えたそうだ。
いい音楽と美味しいお酒と料理、そして‟あそこに行けば必ず誰かがいる“という、丸の内の‟Neighborhood Bar”として軌跡を重ねてきた「P.C.M.」の新たな20年が始まった。同店は、常連客も初めてのお客さまもそれぞれに滞在を楽しめ、そこに生まれる‟大人の社交場“の一員となれる、東京においても上質なコミュニティ創生に成功している稀有な存在である。そうした人と人とのつながりが生み出す‟特別な日常“の舞台として、今後も丸の内の夜を彩る存在であり続けたいとしている。


とかく‟変化“に価値が置かれる時代だ。‟変わらない“ことで新たな時代を創っていく同店の今後に注目したい。
「P.C.M. パブ・カーディナル・マルノウチ」
https://pcm-marunouchi.com/
取材・執筆 毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp





