スケートボードや音楽、アパレルといったストリートカルチャーを背景に、独自の感性を磨いてきた㈱SLICK代表の岩崎 慶人氏。その岩崎氏が4軒目となる飲食店、「vivido(La Mia Cucina Piemontese)」(以下、「vivido」)を恵比寿に開業した。これまでスパニッシュやイタリアン、大衆酒場など、ジャンルにとらわれない店舗展開を行ってきた同氏が、イタリアの中でも北イタリア・ピエモンテ州の食文化にフォーカスするという、より個性の際立った店舗づくりを手掛けた。開業のきっかけとなったのは、同氏が代々木八幡で手がけるイタリアン「LUCE」のシェフ、三輪 智一氏によるピエモンテ料理との出会いだそうだ。同氏の料理に感銘を受け、その表現を最大限に引き出す場として、今回の出店を決めたという。
コース一例。コースには、ソムリエが厳選したワインのペアリングを組み合わせることもできる。また、平日限定でランチタイムにもコースメニューが提供されており、メニュー表には所要時間が約1時間である旨が記されている。こうした細やかな気遣いにも、同店の魅力が表れている
今回、料理については三輪 智一氏に一任した一方で、空間には岩崎 慶人氏の個性が色濃く反映されている。店内には同氏所有のアートが随所に配されており、いわゆる“イタリア”を想起させる装飾は見られない。一見すると、スタイリッシュなカフェやワインバーのような印象を受ける空間だ。こうした店舗づくりの背景には、“イタリアン的”な空間に寄せるのではなく、恵比寿の街が持つバイブスを踏まえ、自身のルーツであるストリートカルチャーを掛け合わせた方がより魅力的になる、という考えがあったという。また、音楽やアート、グラフィックといったポップカルチャーが息づく空間に共鳴する感性のお客さまに訴求することで、イタリアン激戦区である恵比寿において、唯一無二の店舗となるべく差別化も図った。
店内にはさまざまなアート作品や、「vivido」のロゴを模したアパレルなどのプロダクトが配されている。オープンキッチンの横にも岩崎氏所有のアート作品がディスプレイされている
ところで、三輪 智一氏が「LUCE」で既にイタリアの郷土料理を提供してきた中で、今回、ピエモンテ料理にこだわった背景には現地での経験があるという。ピエモンテ州の一つ星レストラン「La Ciau del Tornavento」で研鑽を積む中で、同地のひとびとや文化、料理への敬意と感謝を抱くようになり、いつかその魅力を日本で表現したいという思いを温めてきた。その根底には、現地への恩返しという意識もあるという。本店舗では、ピエモンテの伝統的な郷土料理を提供する一方で、三輪氏が現地で食べてきた料理に日本の旬の食材を組み合わせるなど、自身のフィルターを通したピエモンテ料理の表現も志向しており、三輪氏による日伊合作のピエモンテの味を展開していく予定だ。
いずれにしても、久々にクールなイタリアンレストランに出会えた気がする。料理の美味しさはもちろんのこと、クラシックからナチュラルまでイタリアを中心としたワインセレクトや、店内に流れるミュージックセレクトにもセンスが光る。さらに、空気感や三輪氏を筆頭に、そこで働くスタッフたちのバイブスも実にクールだ。すでにリピーターのお客さまも見られるなど、早晩、人気店として名が挙がる一店となるだろう。今後の展開が楽しみだ。
「vivido(La Mia Cucina Piemontese)」
https://www.instagram.com/vivido_ebisu/






取材・執筆 毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp





