北海道を中心に飲食店を展開する㈱イーストンが、新業態の焼手羽専門店「トリノイロ」と、鶏白湯ラーメン専門店ブランドの「白鶏舎」を組み合わせたハイブリッド型店舗を渋谷区・笹塚に出店した。「白鶏舎」はこれまで既存店舗「いただきコッコちゃん」の昼時間帯を活用した時間帯転換型の営業で展開してきたブランドであり、その人気を背景に本格出店に踏み切った。笹塚は新宿から1駅という立地にありながら、ビジネス商圏と生活圏が同居する飲食店にとってチャレンジングなエリアである。同社は、昼夜で業態を切り替える“二毛作モデル”の実験的店舗を構えることで、それぞれの時間帯におけるニーズとマーケットを検証しつつ、両ブランドの展開に向けた基盤構築を図る方針だ。
昼業態「白鶏舎」のシグネチャーメニューである、鶏を煮込んだ濃厚なコクとうま味をベースに、豚骨スープの甘みをブレンドした‟鶏白湯(画像左)に、夜業態「トリノイロ」の同メニューである‟焼手羽(画像右)“を中心としたさまざまな鶏料理が提供されている
各業態には、それぞれ異なる特長を持たせた。まず昼業態「白鶏舎」は、“見て美しく、食べて美味しい、ご褒美の一杯”をコンセプトに掲げる鶏白湯ラーメン専門店だ。鶏の旨味に豚骨のコクを重ね、カプチーノのような軽やかな口当たりに仕上げた“鶏白湯”をベースに、北海道醸造の味噌に生姜をトッピングした“味噌鶏白湯”や、コクとうま味をさらに引き立てるオリジナルの“辛玉”を添えた“辛味噌鶏白湯”の3種類を軸にシンプルに展開している。それらに残ったスープにチーズと黒胡椒を加えて楽しむ“リゾめし”のオプションや、名物の唐揚げを組み合わせたセットを用意するなど、満足度を高める工夫もした。さらに、メニュー展開に加え、店舗空間においても女性客の利用を意識した設計とし、従来のラーメン業態とは異なる客層の取り込みを図っている。
一方、夜業態「トリノイロ」は、知床・羅臼の海洋深層水に含まれるにがり成分から作られた”ラウシップ”を用いたブライン液に一晩漬け込んだ“焼手羽”を主軸とした業態である。揚げるのではなくグリル調理で仕上げる“焼手羽”に加え、串に刺して提供する従来のスタイルにとらわれない“皿焼鳥”などを展開。おひとりさまから複数人で料理をシェアするシーンまで、多様なニーズを想定したメニュー構成となっている。また、「白鶏舎」の味わいを夜のお客さまにも楽しんでいただきたいと、ミニラーメンサイズで‟〆の鶏白湯ラーメン“としてオンメニューするなど、業態間の相互補完により利用シーンの幅を広げている点も特徴だ。
2店舗のロゴが並び、両業態の融合を象徴する店舗サイン。このロゴがともに店舗を育てていくのか、あるいはどちらか一方が際立つ形で発展していくのか。ハイブリッド展開に柔軟性を持たせて始動する構造に、同社の戦略の面白さが表れている
同社取締役の畠山和人氏によると、同店では今後のお客さまの利用実態に応じて、「白鶏舎」、「トリノイロ」それぞれの単体営業への転換も視野に入れ、柔軟に展開していく方針だという。ひとつの店舗で時間帯転換型の営業を行うビジネスモデルは近年増加傾向にあるが、同社のように多業態を展開する飲食企業が、検証を前提に柔軟なオペレーションを構築する事例はまだ多くない。メニュー開発のクオリティとコストパフォーマンスの両面において各地で支持を集めてきた同社が、初の本格的なハイブリッド型店舗でどのような成果を導くのか? 今後の展開に注目したい。
「トリノイロ/白鶏舎」
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取材・執筆 毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp




