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新連載 (株)インテグリティサポート 桐明 幸弘  ネクストステージ・コンサルティング 大山 美和 

新連載  「ホテル・旅館の事業承継に欠かせないファイナンス思考」

【月刊HOTERES 2019年06月号】
2019年06月07日(金)
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1. 1000 年続く老舗旅館
 
 観光産業の発展のために、多くのインバウンド客の誘致を行なってきましたが、外国のお客さまが体験したいものの第一は、日本にしかない文化の経験だと思います。その点、同じ宿泊施設であっても日本の「旅館」という施設は、世界にも例のない独自の文化だと思っています。そして、旅館は日本に1000 年続く企業8 社のうちの4社を占める長寿企業でもあるのです。観光産業のうちの、宿泊施設特に旅館というものは、その地域で長年存在し続けることが誰もが認める「価値」だということです。
 
従って、老舗を支える事業承継の仕組みをわれわれも学ぶ必要があると思います。
 
 
2. 事業承継における課題

 
 ホテル・旅館業は規模で言えば、中小企業が圧倒的に多く、なおかつ親族で家業として代々継いでいく「ファミリービジネス」です。中小企業の事業承継における課題と、ホテル・旅館に特有の課題を整理しておきます。
 

  • 親族後継者が不在である(後継者の問題)
 
 息子や娘に事業を継がせたいと思っているが、本人たちはすでに大企業に勤務しており、会社を継ぎたいとは思っていない。では誰にどのように継承されるべきか。
 

② 後継者選定に迷っている(後継者選定の問題)
 
 例えば、息子さんが3 人いて、事業(会社)を継ぐ意志はいずれもあるものの、誰が社長になるのか、どのように株式を分配したらいいのか悩んでいる。
 
  • 会社が債務超過になっている(過剰債務の問題)
 
 事業を継承したいと考えている息子がいるが、会社自体の財務状況が悪化していて、そのまま息子に借金を引き継がせることを避けたいという旅館は多いようです。債務超過であろうと、当該地域において重要な存在であれば、必ず金融機関や関係者の協力を得ることが可能ですから、事業承継ができないということはありません。
 
④ 施設が老朽化していて、リノベーションが必要(設備投資の問題)
 
 事業は順調であり、後継者のめどもたっている幸せなオーナー経営者が一番心配しているのは、現状の建物が老朽化して、施設の魅力がなくなっているため、どこかで大規模な設備投資を行なって、リノベーションを実施したいと考えています。
 

⑤ もっと事業規模を増やしたい(事業拡大の問題)
 
 単純に現在の事業を承継するだけではなく、例えば相続税対策を兼ねて事業拡大(ほかの旅館やホテルの買収あるいは増築・改築など)を図ることを考えているオーナーさんたちがいらっしゃるかもしれません。思い切ったリノベーションや新規開発を実行するチャンスかもしれません。その場合に、リノベーション計画を策定し、しかるべき資金調達を行なうためのキーとなるコーポレートファイナンスの活用方法についてご説明をしていきたいと考えております。
 
 
⑥ 自分の代で事業を終結させたい(廃業の問題)
 

 後継者もなく、事業を存続させる必要もないと考えるオーナー経営者の場合には、その出口戦略(引退・廃業の方法)について慎重に考える必要があります。なぜならば、多くの旅館が廃業し、街が廃墟になっている地域も存在しているからです。そのような問題が発生しないように、地域ぐるみで戦略的な事業の店じまいをする必要があります。このことも、前回までの連載でお伝えしていた、地域一体再生スキームによって解決可能な問題と考えています。
 
 
3. ホテル・旅館の事業承継課題の解決
 

 以上、みてきましたように、ホテル・旅館の事業承継を考えるときには、営業に不可欠な施設・設備のリノベーションを同時に考えていかなければなりませんし、それがひいては日本各地のデスティネーションとしての魅力を増し、永続的に観光客を誘致する極めてベーシックな基本要素ということだと思います。
日本政府の振興する観光立国の一丁目一番地は、観光客が宿泊する施設の充実にありますから、観光産業の育成、発展のためには、まず事業承継とリノベーションの問題を解決することが重要であり、そのためには必要な知識あるいは行動様式としてのファイナンス思考について、ホテル・旅館の経営者がしっかりと理解していただきたいと思います。
 
 次回からは、テーマを順番に記述してまいります。読者の皆様からのご意見も積極的に反映していきたいと思いますので、どうか忌憚なくご意見をたまわりますようお願い申し上げます。
 

株式会社インテグリティサポート
代表取締役社長 桐明幸弘 

〈桐明幸弘プロフィール〉
福岡県出身、「東洋信託銀行」(現三菱UFJ信託銀行)、M&A 仲介会社「レコフ」、外資系投資銀行を経て、平成13 年にデロイトトーマツ入社、平成15 年より事業再生部門及びレジャー産業向けサービスチームを立ち上げ、ホテル・旅館・ゴルフ場等を中心に事業再生支援サービス・M&A アドバイスに従事。福岡市経営補佐顧問、週刊ホテル・レストラン編集委員、太平洋クラブ株式会社社長など歴任。独立開業後は、ホテル・旅館業のファミリービジネスとしての事業承継支援、リノベーション総合コンサルティングに従事している。
 

ネクストステージ・コンサルティング
代表 大山美和 

〈大山美和プロフィール〉
ネクストステージ・コンサルティング 代表ファミリービジネス事業承継研究会 代表東京都出身、ボストン大学MBA。米系投資銀行、国際会計コンサルティングファームKPMG、Deloitteを経て現職。平成9 年に金融機関再生支援のKPMG 日本拠点を立ち上げ、ホスピタリティー業界を中心とした財務ファイナンス支援に従事。Deloitteでは事業再生・M&Aやホスピタリティー業界向けチームに参画し、ナショナルチェーンから単館にわたるホテル・旅館・レジャー会社に向けて、事業再生・承継支援に従事。モットーは、地域創生のカギは、ファミリービジネス(同族経営)の特性を活かした万全な経営資源の承継にある。現在は、経営力をアップする経営仕組み化支援と事業成長のための円滑な次世代育成をサポートする『ネクストステージ事業承継』を展開している。

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