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トップインタビュー ホテル椿山荘東京 総支配人 本村 哲 氏

唯一無二の魅力を発信し国内資本のラグジュアリーホテルブランドを確立

【月刊HOTERES 2015年10月号】
2015年10月07日(水)
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ホテル椿山荘東京の方向性についてはどのようにお考えですか。
 
 ホテルの立地としては、交通アクセスの面で決して有利とは言えないところもあります。ですから立地以外で私どものホテルにしかない魅力を訴求していかなければ競合には勝てません。幸い庭園は高い評価をいただいているのですが、それだけでなく、競合する都心のラグジュアリーホテルではなかなか感じられないくつろぎを感じていただけるようなホテルにならなければいけないと考えています。
 
 この場所で椿山荘として60 年間、フォーシーズンホテル椿山荘 東京としても20 年間営業してまいりました。それぞれのよさを従業員が一番よく理解していると思います。伝統を誇る二つのブランドがバランス良く融合した魅力を、お客さまにどれだけうまく伝えられるかがカギとなってくると思っています。
 
 宿泊部門に関しては現在フォローの風が吹いていますが、ここは婚礼比率が大変高いホテルです。その婚礼が逆風の中にあるので、この部門に注力していく必要があると考えています。
 
外資の新ブランドをはじめ、シティホテルや宿泊特化型などこれまでカテゴリー分けでは分類できない多様な業態が登場する中、貴ホテルの位置づけをどのように想定されていますか。
 
 ホテル内では「アーバンリゾート」「唯一無二のホテル」というキーワードでイメージを共有しています。新しくオープンするホテルとハードのみでの勝負は難しいと思っています。施設のリノベーションに関しても20 年間フォーシーズンズホテル椿山荘 東京として営業してきた中で吸収したよい部分をしっかり継承し、時流に流されない形で改装計画を進めています。
 
現在進行中の具体的なリノベーションについても教えてください。
 
「第二のわが家」というコンセプトで、リノベーションを進めています。昨年、第一期としてこれまでのホテルのテイストとは少し違った「和モダン」をテーマに2 フロア63 室をプライムモダンルームに改装しました。

 そして、今年9 月には第二期改装を経て、さらに2 フロア62 室を当ホテルでこれまで培った「ヨーロピアンエレガンス」を受け継ぎつつ、機能面を充実させたプライムクラシックルームとして販売を開始しました。改装前の客室で家具調のアーモアにテレビを納めていましたが、今回あえてこの存在を残しました。これは、「古きよきものを後世に受け継ぐ思いを大切に」といった伝統を重んじる思いを反映させています。それは、庭園にある国の有形文化財に指定されている三重塔や茶室など、由緒ある史跡を通し、歴史や文化を大切にしながらもさまざまな新しい進化を設備やおもてなしで体感していただく、当ホテルならではのお客様への思いとも重なります。

ホテルの垣根をこえた
地域貢献も視野に
 
インバウンド獲得における貴ホテルの方向性と具体的な施策についてもお話しいただけますか。
 
 インバウンド比率は現在30%程度となっています。インバウンドの認知度は、フォーシーズンズホテル時代に比べるとホテル椿山荘東京はまだ低いと考えています。この部分については今後さらに力を入れていく計画です。具体的には、欧米への対策としてニューヨークのPR 会社と連携し周知していくこと。アジア方面へは藤田観光として中国、韓国、タイ、インドネシア、台湾など現地に駐在を設けていますので、これらと連携して認知の向上を図っていくつもりです。
 
 また、実際にお越しいただいたお客さまに和の文化を感じていただくことも重要だと考えています。そのために、着付け学校講師によるきものの着付け体験、炭を用いての本格的な茶道体験などのアクティビティーも充実させています。海外からのお客さまには本物の日本を感じていただける施設でありたいと思っています。
 
 そのほか、メディア懇親会などを通してホテルの情報を発信していきたいと思っています。一方、国内ではこれまでの椿山荘というブランドは婚礼のイメージが強かったのですが、これをラグジュアリーホテルブランドへと移行していかなければなりません。ブランドはすぐに定着するものではありませんから、地道に進めて行くことが重要だと考えています。
 
中長期に取り組むべき経営課題と具体的な戦略について教えてください。まずソフトについてはいかがでしょうか。
 
 ホテル運営のソフトを担う人材育成や教育は、ホテル業にとって最も重要なところですので、ここには力を入れて行きます。統合後、ホテルスタッフは藤田観光の社章をつけていたのですが、今年からホテルで働くときには「HC(Hotel Chinzanso)」ブランドの胸章をつけることにしました。これは当社フラッグシップのラグジュアリーホテルにふさわしい教育を受けた人材という意味を形に表したものです。
 
 一方、新規の人材確保は難しくなってきています。既存社員の離職率を低減するためにも、教育の充実、全社員にホテルの目指すべき方向をしっかりと明示し共有することが大切だと考えています。
 
今後取り組んでいこうとお考えのことについて教えてください。
 
 先般、東京ドームで大きなケータリングの需要がありました。その際にハイアットリージェンシー東京(様)、京王プラザホテル(様)、東京ドームホテル(様)とコラボレートして対応したということがありました。これまで一ホテルで受注することが常でしたが、複数のホテルが協力して対応することで、この地域に大きな案件を誘致することができました。今後こうしたホテルの垣根を越えて地域に貢献するケースが増えてくると思います。2020 年の東京オリンピック・パラリンピック開催や観光立国政策を受けて、国際的なMICE の開催も期待できるタイミングです。藤田観光の「ラグジュアリー&バンケット事業グループ」のフラッグシップホテルとして、宿泊のみならず、宴会部門でも強みを発揮していきたと思います。
 
 今後もさらに国内資本のラグジュアリーホテルブランドとして、認知していただけるようになりたいですし、そうなるべきだと考えています。

本村
(Tetsu Motomura)
1980 年藤田観光㈱秋葉原ワシントンホテル入社。83年新宿ワシントンホテル宿泊課、92年アジュール竹芝総務課などに勤務。96 年新宿ワシントンホテル宿泊課長、2000 年横浜伊勢佐木町ワシントンホテル宿泊課長、01 年4 月新宿ワシントンホテル総務支配人などを経て、05 年3 月藤田観光㈱執行役員、東京ベイ有明ワシントンホテル総支配人となる。その後、07 年椿山荘総支配人、11 年5 月㈱フェアトン代表取締役社長、13 年ホテル椿山荘東京販売支配人、14 年同副総支配人を歴任し、15 年1 月より現職。
 
ホテル椿山荘東京 〒112-8680 東京都文京区 関口2丁目10−8 ☎ 03-3943-1111
http://hotel-chinzanso-tokyo.jp/

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