私は以前、会計事務所で勤務をしていたことがあります。すでにバブル崩壊後の時期でしたが、私は当時、担当していた26社の各社長に、
「社長の会社は、どうしてバブル崩壊後も生き残ることができたのでしょうか?」
とおそれ多くも聞いたことがあります。
その答えは、「状態が良い時」(すなわちバブルが崩壊、破たんする前から)に次を考え、そのための準備を進めていた、というのがほとんどでした。
悪くなってから何かを始めても上手くはいかず、負のスパイラルに陥るだけだということです。このコラムを読んでいる皆さまは、今がもしかしたら一番「状態が良い時」かもしれません。ホテルを取り巻く経済環境としてはインバウンド需要の下支えにより活況であり、今後はオリンピックを控えており、コラムを読む時間がある。すなわち精神的な余裕(余剰)があるということです。
今のうちに、一歩先を歩いてみてはいかがでしょうか?
一歩先を歩いてみる
前回第5回の分散投資のコラムで、他のエリア(職種)に踏み込んでみてはどうか? と提案しましたが「だって会社がやりたい仕事をさせてくれない」、「上司が許可をくれない」などの理由でできない、諸事情で部署異動ができない、またあなたができる人ならばもしかしたら余計に上司はあなたを離さないという実情があるかもしれません。
その場合は、可能であれば自身の休憩時間や休みの日を利用してでも、すなわち無償(無給)だとしても、興味のある分野を体験してみることです。はじめてのエリアであれば、最初は戦力になりませんし、それで賃金をもらおうと考えること自体が甘いかもしれません。
また、業務を離れて経験させてもらうのだから、客観的になれますし、受け入れ側も人件費などを気にする必要がなくなります(総労働時間などの心配がある方は人事などに相談してみてください)。
失うものは何もない(厳密には時間を投資することになりますが)。本当に自身のキャリアを自身で構築したくて、今、少しでも余裕(精神的、肉体的、その他)があるのであればとにかく動いてみてください。