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2023年9月8-15日号 トップインタビュー 金沢 彩の庭ホテル 代表 髙田 恒平氏 

トップインタビュー 金沢 彩の庭ホテル 代表 髙田 恒平氏 

【月刊HOTERES 2023年09月号】
2023年09月14日(木)
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「一輪挿しから紡がれる想い」をコンセプトに増改築に着手

----コロナ禍にリノベーションを複数回実施したと伺いました。具体的にはどのような改修をしてきましたか。

まず、2022年 4月に客室のリノベーションを行ないました。内容としてはコネクティングルームをなくし、ホテルのコンセプトルームとして 2ベッドルームのファミリールームを設けました。父の想いとして当ホテルには三世代のご家族に来てほしいと考えていましたが、それを形にする部屋がなかったので。部屋の造りも三世代のお客さまが一緒にいたいときは一緒に過ごせますし、プライベート空間を仕切って利用することもできます。また、6部屋あったコンパクトなダブルルームをニコイチに改装し、インバウンド客に対応したキングサイズのベッドを入れました。こうして開業当初は 64室だった客室が現在は 58室になっています。しかし、この規模感がよいと思っています。

----そして今回の改装についても教えてください。

2023年 7月、約 8000万円を投じてレストランとスタッフのバックヤードの増改築を完了しました。設計からデザイン、施工に至るまですべて髙田産業グループ内で完結しています。
従前の朝食会場は人気の時間帯に集中することでお待たせすることがあり課題となっていました。ゆっくりと朝食の時間をお楽しみいただけるよう新たに個室ブースを増築し座席数を増やしました。

また、金沢アドベンチャーズが企画するバスツアーに金沢彩の庭ホテルの朝食をセットにしたプランの造成など高付加価値化、多目的な利用が可能となりました。

さらに兼ねてから課題と考えていたESの向上を目的に、スタッフが休憩などに使うバックヤードを 1.5倍に増築し、男女別の仮眠室なども設けました。新しいバックヤードはホテルに込めた想いを身近に感じられるよう、ファミリー層向けの客室ゾーンをイメージしてデザインしています。

----スタッフエリアの増築というのはとてもインパクトがありますね。なぜそこまで投資しようと考えたのですか。

今回の改装のコンセプトは「一輪挿しから紡がれる想い」としています。これは、私が金沢に帰ってきて 2年間、このホテルの良さとは何だろうと考え続けて見出した答えでした。それはまた、祖母が大事にするよう言っていた想いで、ホテルの創業時からある裏のコンセプトでもあります。しかし、その意味をホテル全体では共有されていませんでした。この紡ぐという気持ちを継承すべく、この度の改装のコンセプトに据えたのです。

私たちのホテルには、いろいろな場所に一輪挿しの花が飾られており、今回増築したバックヤードの入り口正面にも設置しています。これはお客さまに楽しんでいただくことはもとより、「お花一輪に毎日気を配れるような、心の余裕を持ちましょう」という想いをスタッフへ語りかけているのです。わずか一輪の花をいける余裕がなければ広い視野で気配りできず、おもてなし力が下がってしまいます。すると口コミなどの評価がついてこなくなり、働くモチベーションも下がる結果になってしまいます。

だからこそ、スタッフが常に心の余裕を持って業務に当たれる環境を整えることが大切だと考えました。私は、スタッフ同士は家族のように助け合い、ときには喧嘩もしながら成長していくものだと考えていますので、仕事に対する緊張感を持ちつつもコミュニケーションが密になるよう工夫を凝らしました。

こうした「一輪挿しから紡がれる想い」は CSにもつながります。例えば客室の机の角をとっているのは小さなお子さんを配慮してのことです。こうした取り組みをブレずに大切にしていきたいと思っています。スタッフがお客さまのためを思って行なうサービスが、お客さまに伝わり、売り上げになって戻ってくると。そんなよいサイクルが生まれると信じています。

 

ホテル事業と観光事業のシナジー効果で売り上げ増を目指す

----これから観光事業全体でどのようなシナジーを生み出していこうとお考えですか。

金沢の観光でお客さまが訪れたい名所は、主に兼六園、ひがし茶屋街、21世紀美術館、近江町市場などですが、実際に巡ろうとするとタクシーは捕まりにくいし、レンタカーはどこに止めたらよいかわからないという感想をよく聞いていました。それならツアーにしてしまえばよいのではと始めたのが、当社グループの金沢アドベンチャーズによる金沢周遊ラグジュアリーバスツアーです。ホテルの客室料金を上げるのは、競合他社との兼ね合いなどから難しいところもあるのですが、バス事業や観光ツアーなど高付加価値を付ければ単価アップを叶えられます。このように観光事業全体で売り上げアップを目指す方向に舵を切ろうとしています。

また、当ホテルではランチやディナーは提供しておりませんが、その理由は金沢には美味しいものがたくさんあるのでそちらに食べに行ってほしいという思いがあるからです。外食していただくことで、地元に貢献することも当ホテルの役割の一つです。

----最後に、髙田産業グループがホテル事業を手掛ける意義、目標について伺います。

当ホテルは単なる宿泊場所ではなく、金沢や石川、北陸三県を満喫する為の拠り所になるように日々努めております。それを実現するのが私共の使命でもあると考えています。
それに対して当社はいろいろな武器を持っています。ホテルは宿泊事業だから・・・、バスは観光事業だから・・・などとこだわらずフラットに捉え、われわれの想いを実現できる事業があればどんどん挑戦していきたいと考えています。

今までたくさんの方々にご縁を結んでいただいております。だからこそ私共の今日があると考えています。そのご恩に感謝し、こらからも私共のカタチで、グループスタッフ一丸となって、お越しいただくゲストの皆さまに最良のひと時を提供していきたいと思っています。

 

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