店舗内観。一歩店内に入ると、まるで中国にいるかのような錯覚を覚える空間となっており、在邦の中国人コミュニティはもちろんのこと、中国料理や文化の好きな日本人のお客さまからも喜ばれている
上野に新しいタイプの“ガチ中華”が誕生した!ラム串焼きをメインとした「羊炭長(ヤンタンツァン)」だ。
同店は中国の延辺朝鮮族自治州出身の金澤企画国際㈱社長・金澤永浩氏によりプロデュースされた、故郷の味をフィーチャーした同社初のオリジナル業態だ。メインの羊に牛、豚、鶏といった肉串に加え、中国東北地方のひとびとの郷土食である蚕串などもオンメニューされており、中国ではいまや全土で店舗を見つけることができる人気の肉串料理を食べることができる。これら肉串は各テーブルに設置された専門の自動回転串焼き機に乗せて炭火で焼いて食べるのだが、ひとたび串を機械に設置すれば自動で回転し、全体を万遍なく焼いてくれる。焼きあがった串を遠火で保温しながら置いておけるスペースもあり、料理が冷めるのを気にすることなく会食を楽しめる点も嬉しい。同店で使われている羊肉は本誌既報の「味坊集団」から仕入れているといい、その点からもどれだけ“ガチな”中国の串焼きを味わえるかが伝わるだろう。
![串ものメニューは30種類以上。近年、美容効果があると女性に人気の羊肉だけでもラム肉、ラムカルビ、赤身、羊レバー、羊すじ、羊ハツなどバラエティに富んでおり、豚皮やイカ、エビ、タコといった海鮮類などもオンメニューされている](/img/upload2/53905/65c32f84-6210-4f8a-8ae8-2d1c963c2540.jpg)
![串は串焼き機の側面にある穴に串についている星型の部分をはめることで回転する。穴は串焼き機の両面についており、おのおの座っている側から穴にセットが出来るので、グループでの会食でも自分の串を間違えずに食べられるのが嬉しい](/img/upload2/53906/65c32f84-3e9c-423e-9fac-2d1c963c2540.jpg)
ちなみに同店は中国人デザイナーにより空間デザインが施されており、店に入った瞬間に中国に旅行に来ているかのような気持ちになる。どのくらい非日常感があるかといえば、筆者のみならず同店を訪れた複数のひとびとが皆同様の感想を述べるくらいに、“THE・中国感”に浸れる感じだ。さらに、要所要所にエンターテインメント性が盛り込まれている。業態として同店を参考にする場合はかなりニッチな参考店になるかもしれないが、レストランにおけるエンターテインメント性という意味では、金澤氏が取り入れた要素に触れることは店舗にその要素を取り入れようとしているすべての事業者にとって視察推奨店だといえる。
近年、上野・御徒町エリアにはさまざまな中国“地方”料理の店ができており、いずれも人気店となっている。要因として、エリア的に在邦の中国人コミュニティが定着している点もあるが、それ以上に日本人が本格的な、日本人の舌に媚びていない中華料理を欲している傾向があるといっていいだろう。既にいくつかのエリアにおいては “ガチ中華”は定番となっているが、地方においてはまだまだ商機のある市場でもある。
ぜひ「羊炭長」のエスプリに触れ、新たな魅力創生に活かしてもらいたいと思う次第だ。
羊炭長(ヤンタンツァン)
URL:https://njf-group.co.jp/works-kpiinc
![延辺の食文化を反映した韓国テイストの“酢豚”。そのまま食すのがおいしいのはもちろんだが、冷麺のスープに漬けて食べるのもおいしい](/img/upload2/53907/65c32f84-07a8-41f8-8f2b-2d1c963c2540.jpg)
![こちらも延辺の食文化を楽しめる“自家製冷麺”。素材にこだわった麺は店舗で手作りされており、柔らかな酸味と共に供される甘みのあるスープは他に類をみない個性を感じるおいしさだ](/img/upload2/53908/65c32f84-d004-4a76-bd92-2d1c963c2540.jpg)
![蚕串同様、同店では“ガチ”なメニューも随所にみられる。そのひとつである“激辛もみじ(※鶏の足)骨なし”は、日本人にはなじみのないビジュアルだがコラーゲン豊富な美容食であり、美味な逸品でもある](/img/upload2/53909/65c32f84-6bac-41e8-bb37-2d1c963c2540.jpg)
![ラムのホルモンがふんだんに使われた“羊ホルモンスープ”。つけあわせには白ネギ、香菜、自家製の辛味ダレが一緒に提供される。こちらも“ガチ”を求めるお客さまには至福の一品だ](/img/upload2/53910/65c32f84-3cec-402c-a308-2d1c963c2540.jpg)
![串肉用に提供される3種のミックススパイス。緑色のものは辛味なし、赤色のものは適度に唐辛子系の辛味があるが、日本人の舌にも優しい。黒色のものは激辛ラバーにはおススメだが、肉にも辛味が絡めてあるので、チャレンジスパイスだともいえる](/img/upload2/53911/65c33041-b4fc-4eff-80ad-33da963c2540.jpg)
![串焼きには炭火が活用される。ちなみに、この炭火が入ったボックスは、テーブルに設置されたボタンで上下する仕様になっており、肉の焼き加減を調整できるだけでなく上下する光景が食事にシズル感を与えてくれる](/img/upload2/53912/65c33042-1cfc-4557-ac9e-33da963c2540.jpg)
![各テーブルに設置されているモバイル充電用のジャック。各モバイルに対応するように用意されており、同店のホスピタリティを感じる](/img/upload2/53913/65c33042-4520-4cb8-8f08-33da963c2540.jpg)
![中国的な文化を感じる店内装飾。筆者が同店に惹かれる理由の一つに、振り切った店内装飾を施す感性がある](/img/upload2/53914/65c33042-0c50-4e39-9354-33da963c2540.jpg)
![店内に2か所設置されている大型スクリーンでは、常時、中国の音楽番組が流れている](/img/upload2/53915/65c330a7-3800-4991-a54b-37e0963c2540.jpg)
![店舗後方にはステージも用意されており、カラオケも設置されている。カジュアルな食事から、納会等の大型宴会までさまざまな用途の利用に対応している点も同店の魅力だ](/img/upload2/53916/65c330a7-c944-43b2-a72d-37e0963c2540.jpg)
担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp