品川駅前に華やかに建つ品川プリンスホテル http://www.princehotels.co.jp/shinagawa
ホテル業界も
分煙環境整備に積極的に取り組む
今回はその事例の中から品川プリンスホテルの取り組みを紹介する。全国に多数の施設を保有する株式会社プリンスホテルでは、以前より喫煙環境に対する取り組みの重要性を踏まえ、分煙環境の整備に積極的に携わって来た。特に2020年を控えさらなる分煙化が望まれている現状もある。そのような中、品川プリンスホテルでは、2000 人規模の大宴会場においても分煙環境整備を検討していたが、その矢先に今回の補助金の情報を知り、社内でもすぐに着手しようということになったそうだ。これまでにも高輪・品川地域のプリンスホテルでは既に高輪エリアの3 ホテルにおいて最新の技術を導入した喫煙室を4 カ所に設置してきており、分煙環境整備の重要性が社内で既知だったことも新たな取り組みへの追い風となった。この4 カ所ではおのおの、JT 分煙コンサルタントのアドバイスにより施設特性に合わせた仕様が導入されている。例えば大規模なイベントのほか、研修や会議の利用施設であるグランドプリンスホテル新高輪の「国際館パミール」では、リラックスとリフレッシュの両方の時間を過ごせるようにベンチを置いており、利用客からも高い評判を得ている。逆に今回の品川プリンスホテルの宴会場に設置する喫煙スペースでは利用人数等の多さを踏まえ、喫煙室を広く使えるようあえてスツールなど長時間滞在の要素は作らないなど、喫煙室の面積、付属品などの選定も特性ごとの違いを見せる丁寧な取り組みが行なわれている。
2000 人来場の大宴会にもかなう喫煙室を設置
そんな品川プリンスホテルの新たな喫煙室はアネックスタワー５F の宴会場に設置される。多いときは2000 人規模の宴会が行なわれる宴会場に対し、面積が22. 6㎡、20名ほど収容可能な喫煙室だ。当宴会場では以前から専用の喫煙室設置に関する要望の声が高かった。大規模宴会が多い中、専用の喫煙室がなく、喫煙者、非喫煙者、そして直接顧客と接する現場スタッフなどからも分煙環境整備の必要性が求められていたのだ。またセールス面においても専用の喫煙スペースを保有していることは具体的な仕様、運用をもって顧客への説明ができるメリットがあるため、営業担当者からの要望の声も以前からあったという。そういったさまざまな声をベースとした喫煙スペース設置計画の中で今回の補助金制度が登場し、過去同様にJT 分煙コンサルタントによるアドバイスを最大活用することで最適な喫煙室が実現しようとしている。
宴会場「プリンスホール」のイメージに溶け込むエントランス設計
チームワークの“ プリンスホテル” だからこそ
できた取組事例
今回の喫煙室にはヒップバーなども設置し、ホテルのクオリティーとのバランスを取るデザインを採用した。場所はクローク横のスペースを利用して宴会の受付前に利用できるようにし、さらに喫煙室の開閉に伴うニオイの問題も解決できる精度の高い空調システムの設計がなされ、非喫煙者にも配慮した快適な環境が実現する。当然、既存の施設に新たな喫煙室を設置するということで設備工事なども必要となったが、JT 分煙コンサルタントとさまざまな調整を重ねた上で着工した。今回の喫煙室設置は日々宴会が稼働している“ 生きた” 施設での設置工事となったので、そのスケジュール調整に苦心した部分があるという。しかしプリンスホテル内の関係各所がこれまでJT 分煙コンサルタントと共に作り上げてきた喫煙室設置の経験と実績、またおのおののスケジュールを調整する部門間のチームワークとマネージメント力により、社内調整から都への申請まで、非常に短いスパンで効率よく、スムーズに行なわれたことにも注目だ。それには東京都側が準備した申請システムの分かりやすさといったこともあったという。本制度は行政と企業、そして利用者すべてに利のある政策であり、今回の品川プリンスホテルの取り組みは、今後の分煙環境整備におけるモデルケースとなることが予想される。今後とも多くのホテルで同様の取り組みがなされることが、大いに期待されている。
