昨年11 月17 日、九州のビジネス拠点福岡の地で『ホテルマネジメントセミナーin 福岡』が開催された。あいにくの雨天にもかかわらず、会場のマイナビルームには約100 人のホテル経営・運営の関係者たちが集まった。これからのレベニューマネジメントをテーマに、ホテル経営に関係する最新システムの話題も交え、各分野のキーパーソンたちが活発に意見を交わした。
〈プログラム〉
第1 セミナー「激変する国内外オンラインマーケティング動向」
第2 セミナー「国内で急速に浸透するBTM とは」
第3 セミナー「かんざしクラウドEA が実現する宿泊予約の大革命」
第4 セミナー「進化するWEB サイトの役割と今後のポイント」
パネルディスカッション「これからのオンライン予約、オンラインマーケティングの未来を予測する」
〈協賛企業〉
㈱アビリティコンサルタント
㈱エボラブルアジア
㈱ケイティーエス
㈱ファーストキャメル
ホテル・リザベーション・サービス㈱
■第1 セミナー
「激変する国内外オンラインマーケティング動向」
講師：㈱HMRI デジタル・ストラテジスト
吉崎 夏来氏
「現在のオンライン宿泊予約を席巻しているのは完全にメタサーチだ」吉崎氏の断言から始まった第1 セミナー。米国の大手デジタルマーケティング会社コムスコアの統計によると、オンラインを活用して旅行計画を立てている人の数は全世界で4 億人超。その内の約13％が実際にオンライン予約をしており、そのまた半数がメタサーチ「トリップアドバイザー」を利用しているというデータを提示した。
吉崎氏は消費者が宿泊先を選ぶ際、ホテル側が発信するオフィシャルな情報よりも、一般消費者が書いた口コミや写真、動画などのソーシャル情報を重視する傾向にあるとし、レピュテーションマネジメントへの対応がすべてのホテルにおける必須業務であり、英語や中国語の口コミにも対応すべき時代となったと述べた。
また、メタサーチを使ってわずかな時間で価格比較ができる現状では、消費者は価格とサービス内容・質のバランスを吟味して商品購買する傾向がこれまで以上に高まっているとし、「プライス・ポジショニング」の考え方が今後のレベニューマネジメントでは必須となる点を強調した。
■第2 セミナー
「国内で急速に浸透するBTM とは」
講師：ホテル・リザベーション・サービス㈱
ホテル・ソリューション・ヘッド
原口 浩史氏
法人のホテル予約販売に特化し、世界190 カ国で約4 万社との直接取引を持つドイツのOTA「ホテル・リザベーション・サービス（HRS）」の原口氏は、法人の出張予約の現状と見通しを、今後重要性が高まるであろうBTM（ビジネス・トラベル・マネジメント）の意義を交えて話した。
まず、ビジネス目的のインバウンドゲストの獲得を積極的に行なおうとする場合、BTM への理解が不可欠であるという。BTM とは出張の手配に関する一連の業務を個々の社員に任せず、会社が総合的に管理をすることで、コスト削減と出張者の安全・満足度を高めるという考え方。徐々に日本企業にも浸透しつつあり、今後の出張において主流になるとの予測もあるという。
続いて、ホテルが法人顧客の間口を広げることのメリットとして①リピート率が高く安定的な利用が望めること、②長期間利用する優良顧客となる可能性の高さを挙げた。また、昨今フューチャーされている余暇目的のインバウンドゲストへの過度の依存は、政治・経済情勢の影響を受けやすいため、ビジネストラベルを含む複数のセグメントから収益を上げられる構造を構築しリスク分散することが、安定したホテル経営には欠かせないとの見解を示した。
最後に世界32 カ国語でウェブサイトを展開するHRS のサービスについて言及。海外の事業会社との取引を行なうためにWeb だけではなく、携帯からの予約や、さまざまな管理ツールとの連携の有無や、既存のGDS 経由での法人料金を含めた対応ができることの重要性を説いた。
