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第6回 公益社団法人国際観光施設協会編  観光施設メディアラボ 

第6回 ホテルの安全・安心2. 耐震改修促進法の施行と耐震診断

【月刊HOTERES 2016年03月号】
2016年03月18日(金)
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耐震診断・補強設計・補強工事
 
 耐震診断と耐震補強設計業務の費用については、平成27 年5 月25 日に国交省告示670 号「建築士事務所の開設者が耐震診断及び耐震改修に係る業務に関して請求することのできる報酬の基準」が公示されました。告示670 号の略算式により算出した業務費用を図2 に示します。業務費用は延べ床面積にもとづく略算式から算出されます。
 
 耐震診断の業務の手順は、最初に既存図面の内容を調査する図書調査から始めます。既存図面がどの程度残っているかが、その後の業務量に大きく影響します。図書調査から現地調査工事の計画を作成し、現地調査工事を行ないます。現地調査工事では、コンクリート強度などを調べます。現地調査工事の結果から耐震診断計算を行ない、耐震診断の判定結果(Is 値)を算出します。耐震診断の業務のフロー図を図3に示します。
 
 耐震補強設計は、最初に耐震診断結果をもとに概算の補強案を作成し、建物所有者様やホテル・旅館の運営者様方と補強方針を協議します。ホテル・旅館の補強計画の作成においては特に、工事中や補強後の宿泊施設としての機能の維持のほかに、美観等に配慮する必要があります。補強方針の決定後、それに沿って詳細な設計(実施設計)を行ないます。実施設計図から工事費用の見積を行ない、工事業者を選定します。
 
 補強工事は、最初に工事計画の作成から始まります。工事中の騒音や振動、客室動線とサービス動線の確保について、ホテル・旅館の運営者様方と協議の上、工事計画を作成して、工事を実施します。
 
補助金制度
 
 国は耐震対策緊急促進事業として、耐震診断の義務付け建築物の所有者等が行なう、耐震診断・耐震改修設計、耐震改修工事の費用負担を軽減するために、緊急的・重点的な補助制度を設けています。補助金の支給期限は平成27 年度末まででしたが、平成27 年12 月25 日に平成30 年度末着手まで時限措置が延期されることが、閣議決定されました。
 
 補助金額は額対象建築物が所在する地方公共団体に補助制度が整備されている場合とされていない場合で、図2のように変わります。補助率や補助制度の有無、その要件は、地方公共団体に直接確認する必要があります。
 
税制の優遇制度
 
 法人税・所得税について、平成27年3 月31 日までに耐震診断の結果の報告を行なった者のうち、5年以内に耐震改修工事を行なう場合、耐震改修により取得し、または建築した建築物の部分について、その取得価額の25%の特別償却ができます。
 
 固定資産税について、平成27 年3月31 日までに耐震診断の結果の報告を行なった者のうち、平成29 年3月31 日までの間に、国の補助を受けて、現行の耐震基準に適合させる耐震改修工事を行なった者は、耐震改修工事が完了した年の翌年度から2年間分の固定資産税について、税額の二分の一を減額することができます。ただし耐震改修工事費の2.5%が上限です。

融資制度
 
 日本政策金融公庫による融資制度(防災・環境対策資金)等のほか、都道府県においても、利子補給による利率の引き下げや信用保証料の優遇措置が講じられる場合があります。各都道府県により異なります。
 
安全認定
 
 補強工事完了後、安全認定(耐震改修促進法第22 条第1 項の規定に基づく基準適合建築物の認定)を申請、取得することができます。耐震安全性が確保された法的な証しとなります。さらに各都道府県等が発行している「耐震安全マーク」を取得し掲示することもできます。利用者様方に建物の耐震安全性をアピールすることができます。
 

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