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Special 対談  エリアに根差した絶対的な個性と、ほかにはない価値を尊重 新ブランド「HOTEL the M」始動

ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ㈱ 井上 理 代表取締役社長、㈱グリフォン代表取締役・プロジェクトデザイナー 齊藤 貴史氏

【月刊HOTERES 2016年03月号】
2016年03月25日(金)
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ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ㈱ 代表取締役社長 井上 理氏
㈱グリフォン 代表取締役 プロジェクトデザイナー 齊藤 貴史氏

2016 年2 月5 日付で、新社長が就任したソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ㈱(以下、ソラーレ)は、3 月15 日に新ブランド「HOTEL the M」の第1 号店として、東京・赤坂に「ホテル・ザ・エム インソムニア 赤坂(以下、インソムニア 赤坂)」をリブランドオープンした。そこで、代表取締役社長の井上 理氏と同ホテルのコンセプトデザインを手掛けた㈱グリフォン代表取締役・プロジェクトデザイナーの齊藤 貴史氏に、このたびの経緯および互いの今後の方向性などを交えながら聞いた。

まずは、ソラーレの井上 代表取締役社長にお伺いします。就任後の新体制について教えてください。
 
井上 発表の通り2 月5 日付で前社長が会長に、私が社長に就任し新体制が始動しております。新体制では既存のやり方に囚われることなく、ホテルの在り方を一から見直し、顧客から求められるサービスとは何か、またそれを実現するためには何をすればいいのかという課題に徹底して取り組んでいくつもりです。また、これまでソラーレが展開してきた既存ブランドだけではなく、より多様化する顧客ニーズに対応できるブランドが必要であると考えています。その一つとして、高付加価値の新しいモデルである「HOTEL the M」というブランドを作りました。
 
❍HOTEL the M はどのようなブランドでしょうか。
 
井上 そもそも宿泊業は出店場所の需要に大きく依存しています。で、あるならばいっそのこと「HOTEL the M」は“ その土地に、求められることを。” をテーマに、それぞれの土地が築いてきた歴史や文化、魅力を尊重し、エリアごとに異なるコンセプトを持つホテルにしようと考えました。HOTEL the M ブランドでは、2016 年はこのたびの「アバンシェル 赤坂」からリブランドした「インソムニア 赤坂」、17 ~ 18 年には京都や金沢など2 軒ずつ出店計画を進めています。
 
「インムニア 赤坂」のコンセプトは“24時間眠らないホテル”とのことですが。そ
こに至った経緯をそれぞれお話しください。
 
齊藤 ホテル運営側の常識や慣例をどこまで「壊す」ことをご一緒いただけるのか、というのがわれわれのお願いと挑戦でした。それは「ホテルと言えば眠る場所」という根源的なの定義からひっくり返すことでもありました。
 
 これからは、ホテルを自由な時間と空間として活用する人もいるのでは? という発想を、井上社長と初期に共鳴・共有ができたことが大きいと思います。さらに、「赤坂」という立地を、日本有数の繁華街という眠りとは真逆の活動的な特性になぞらえて、いっそのことベッドを置かずに、空いた空間をお客さまに自由に使っていただくのはどうか…と。そもそも「不眠症」という病名でもあるINSOMNIA という名称をあえて打ち出し、「睡眠が主機能ではないホテルにしよう」なんて構想も浮かびました。最終的には、寝食を忘れるほどその土地を楽しむ…、そしてホテルは寝に帰るだけの施設ではないといった考えをそのままに、「24 時間眠らないホテル」というコンセプトに至りました。不眠症という意味のINSOMNIA と小さなホテルを意味するINN を掛け合わせた「INNSOMNIA」というホテル名は、音や語感もよく、ソラーレも即決されました。
 
井上 まずは今までにないものを…という起点から、ホテル名にも由来するコンセプトを半年ほどかけて導きました。本来の宿泊特化型ホテルならば、付帯施設は必要ないかもしれませんが、齊藤さんもおっしゃっているように、ホテルはもっと楽しくなくてはならないし、社交場であって欲しい。そのために必要な施設であれば、むしろしっかり表現していこうという考えで一致しました。インソムニア 赤坂はわずか68 室ですが、1 室平均が約45㎡という広さがありますので、この特徴を生かし1 室を数名で使っていただきやすいよう客室の料金はルームチャージ制にしました。ターゲットは、昼夜も忙しく働く赤坂に集う、自身のライフスタイルを重視している 東京在住の30 ~ 50 代前半の男女を想定。24 時間利用可能な三つの個性的な施設、シアタールーム兼ミーティングルームの「ワーカホリック」、キッチンアンドダイニングの「キッチンドリンカー」、フィットネスの「マッスルペイン」は「インソムニア」を象徴するものになるでしょう。
 
インソムニアはホテルレセプションとカフェをシームレスな構造にし、個性的なオペレーションだと聞いております。
 
井上 ホテル1階のカフェは、京都のスペシャルティコーヒー「ウニール」が東京初進出し、「ウニール 赤坂店」として24 時間営業します。「ウニール 赤坂店」では、宿泊者はルームキーの提示により滞在中コーヒーメニューをフリーで提供します。パンはコーヒー同様、京都のブーランジュリ「Le Petit Mec(ル・プチメック)」を採用。質が高く、本当においしいパンと香り高いコーヒーから1 日を始めて欲しいという思いからそれぞれ採用しました。また、飲食店が密集する赤坂という場所をホテルの付加価値に変えるために、積極的に周辺の店舗もご案内し、エリアを楽しんでいただきたいと思っています。ほかにも、インソムニアでは「支配人」という名称をやめ、責任者を「M」と呼びます。「M」の胸にはコンセプトを象徴する「M」のバッチを記すのみ。白シャツ・デニム・スニーカーというユニフォームで、「M」というブランドのスタイリッシュさを演出しています。そして、現場であるホテルではお客さまの満足度を高めることに専念し、数字(売り上げ)は本部で徹底的に管理する。
 
既存のホテル運営の常識を問い、お客さまの声を信じて新たな運営の仕方を思考錯誤しながら、常にチャレンジし続けたいと思っています。
 
さまざまな業態のコンセプトデザインに携わっているグリフォンですが、「インソムニア」がどのような存在になってほしいと感じているか、今後の方向性などをお話しください。
 
齊藤 携わる中で、常に注視しているのは“ 素人であり続ける” ことです。今回、三つの付帯施設で採用したブランド(スコットランド「LINN」のオーディオ、ドイツ「bulthaup(ブルトハウプ)」のシステムキッチン、イタリアのフィットネスマシンブランド「テクノジム」)やインテリア、物販全てが本来のホテルならではの発想をゼロにして選定したものです。
 
 ある意味“ 事件性のある” 例えば、外国人タレントがこぞって泊まりに来るとか、話題と価値が合致する存在を築き上げていってほしいと願います。またホテルは街にとって信用の代名詞であってもいいと思います。少し粋な発想ですが、例えば、宿泊客はホテルのツケで一見さんお断りの料亭で食事ができる仕組みを構築するとか。地方再生を考える上でも、日本の文化を絶やさない新しい切り口を提案していきたいと思います。

ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ㈱
代表取締役社長
井上 理氏
Tadashi Inoue
1999 年 米国ローン・スター・グループ ハドソン・ジャパン㈱入社
2003 年 同グループ㈱スター・キャピタル 取締役副社長および㈱スター・プロパティーズ 取締役副社長
2007 年 1 月ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ㈱ 取締役副社長 兼 CFO
2012 年 11 月よりCMO 兼任
2015 年 2 月5 日ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ㈱
代表取締役社長就任

㈱グリフォン 代表取締役
プロジェクトデザイナー
齊藤 貴史氏
Takafumi Saito
クリエイティブ・ソリューションを提供するコンサルタントとして企業の新規事業開発、集客施設企画開発、広告戦略立案、新商品開発のコンセプトデザインから、建築・店舗設計、都市・地域活性化施策立案まで幅広く多くの実績がある。さまざまな業界の常識や垣根を越える「顧客視点に立ったインサイト」を信条としている。ロンドン大学UCL バートレット建築学校都市デザイン修士修了 MBA 経営学修士修了。フォーシーズンズホテルズ 丸の内東京メインダイニング「MOTIF」、名古屋マリオットアソシアホテルオールデイダイニング「PERGOLA」、南国酒家ブランドコンサルティングなど。

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