左より武井久昌 プリンスホテル東京シティエリア統括総支配人、ベラスコ氏、三浦氏、小社代表太田

太田　改めて、ベラスコさんの料理哲学といった、ご自身の料理に対するお考えをおうかがいしたいのですが。
 
ベラスコ氏　私の料理、もしくはわれわれのレストラン「サンセローニ」の料理というのは、常に素材を大切に扱っています。これまで携わってきた伝統や文化、料理人として学んできたことなどを散りばめつつも重要なのは、クリエイティビティーとモダニティーと考えて料理をしております。また、単なるエスペリア マドリードホテル内のレストランとしてではなく、素晴らしい時をお過ごしいただけるレストランでありたいと思っています。
 
太田　すごく重要ですね。ご自身がスタートした時と比べて、料理人の考えだとかマーケットの考えなども変わってきていると思いますが。
 
ベラスコ氏　約15 年前になりますが、当時マドリードの住民はほかの地域や農村部から移ってきた人が多く、マドリードの料理というものも確立しきっていませんでした。むしろそこを生かしながら、できるだけクリエイティビティーにとわれわれの料理に落とし込んでいきました。サンセローニの料理は常に変わらないものですが、このように成長し、学んできたものを料理に反映させていこうと考えています。例えばこの度の来日もまた、われわれを豊かに進化させてくれると思います。
 
太田　来日後、ザ・プリンス パークタワー東京のスタッフとお仕事をされてみていかがでしたか。
 
ベラスコ氏　日本とスペインの文化の違いや仕事の仕方などを見ることは成長につながると思い今回、当店の同僚を連れてきましたが大変満足しています。ザ・プリンス パークタワー東京の皆様が大変ご尽力いただいたおかげで、私は成功を収めることができたと思っています。会場のレストラン「ブリーズヴェール」は、キッチン含めホールも対応能力が高いと思いました。
 
三浦氏　あらかじめ英語のレシピで予習して挑みましたので、キッチンもホールもある程度の心構えはありましたが、…鍛えられましたね。築地に赴いた際に魚などの食材を変更しましたが、おおむねレシピ通りに進められました。
 
太田　世界のトップクラスのシェフと仕事ができることは、すごく励みになり、現場の士気も高まりますね。
 
ベラスコ氏　今回の来日は前回から11年かかりましたが、次回はそんなに時間を空けずにイベントに参加できましたらと思います。また「サンセローニ」にプリンスホテルの皆さんにお越しいただき、日本食を披露するのも面白いと思いますが、私が今回驚いたのは、日本の方々が非常に良くしてくれたことです。皆さんがスペインにいらした際に、同等のおもてなしができるのかが心配です（笑）。
 
　改めて、今回の来日は大変満足しています。日本の料理、日本のガストロノミーが特別な価値と感性から成り立っていることを感じさせられました。私も日本料理がとても好きで、素材を生かす調理方法など非常に日本料理に影響を受けている部分があります。帰国後、日本は何度も訪れる価値のあるところだと報告したいと思います。ご存じの通り、スペインは経済危機の最中ですが、あらゆるビジネスが外へ外へと向かっております。特に今、新興市場に行くことが増えています。われわれ料理人も、南米のメキシコとかコロンビアなどに呼ばれて料理をしています。いろいろな国に行く中で、「日本は良いよね」と皆口をそろえて言います。仮に「日本に行く」際には連れて行ってほしいとよく言われます。スペイン人にとって、日本というのは、とても魅力的なところだと理解されているかと思います。

武井久昌 プリンスホテル東京シティエリア統括総支配人
今回のような招聘イベントや料理フェアをやることによって、間違いなく当ホテルの調理のスタッフの刺激になります。もちろん、調理だけじゃなくて全体で受けるこうした刺激は重要だと思います。特に今回はベラスコ氏の本当に進んだ料理などを間近に勉強する機会を与えるということは、必ず当ホテルの成長につながると思っています。

美食の饗宴　スペイン マドリードの巨匠ミシュラン2 ツ星シェフ「オスカル・ベラスコ」の特選料理
期間＝ 2016 年5 月26 ～ 28 日／場所＝レストラン ブリーズヴェール（33F）／時間＝ディナー5:30P.M. ～ 10:00P.M.（L.O.8:00P.M.） ／ 料金＝ 1 人3 万円（消費税込み・サ10％別）／定員＝ 1 日40 名限定／協力＝ Preferred Hotels & Resorts