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レポート  『受動喫煙防止対策の強化』について考える

【週刊ホテルレストラン2016年12月23日号】
2016年12月23日(金)
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ホスピタリティーに関するジレンマ
 
2 回目のヒアリングではホスピタリティーサービスという点からの意見も多く見られた。中には過去本誌でも紹介した訪日外国人観光客を対象にとった「喫煙、分煙、禁煙環境に対するアンケート」結果(表④)を基に発言した団体もある。特にインバウンド観光客が日本における既存の喫煙環境(分煙、喫煙、禁煙含める)に対して満足度が高い点や自国のそれと比べて日本の現状が非常に高評価を得ていることについて言及された。事実、訪日外国人観光客の中でも特に喫煙率が高いといわれるアジアからの観光客からの満足度は高く、中でも中国に至っては8 割を超える満足度を得ている。またこのアンケートで外国人観光客から多く挙げられた声は禁煙環境の整備ではなく、喫煙可能エリアの明確な提示だ。
 
アンケート後も訪日外国人観光客数が増加している点、特に喫煙率が高い中国やインドからの訪日数が増えていることからこの要望が増えていることは自ずと予想され、インバウンド対応における禁煙スペースの増加が顧客満足度の上昇、ひいては観光産業のさらなる活性化につながるとは必ずしも言えないのが現状だ。
 
また、観光産業という観点で、中心的な役割を担う宿泊施設においても、大きな影響を被ることが懸念される。この度の「『受動喫煙防止対策の強化』についてのたたき台」においては、影響が大きい飲食店にかかる懸念は先に記述した通りであるが、ご存知じの通り、多くの宿泊施設において、飲食店やバー等の付帯施設を設けたサービスを提供しており、そのような付帯施設における喫煙のニーズは高く、この度の「『受動喫煙防止対策の強化』についてのたたき台」による規制が課せられた際は、サービスクオリティーの低下を招くことは必至であり、宿泊施設全体の経営にも影響が及ぶ懸念がある。現状の日本における喫煙環境について、外国人観光客の方々も満足されているのは、先に紹介した調査の通りであり、吸える場所吸えない場所をしっかり提示していくことが求められている。
 
これらの点から世界に日本のホスピタリティーとしてプレゼンテーションした「おもてなし」に象徴されるサービスクオリティーに今回の強化がどういった影響を及ぼすかという面について不安やジレンマを感じる宿泊施設も少なくない。また上記のように喫煙環境が狭まることによる経営損失への懸念が増えることも予想にやすい。
 
本誌の見解としては受動喫煙防止対策を強化する方向性については決して反対するものではない。しかし表①からも分かるように本案が適用される団体が多岐にわたることから業態やマーケットの嗜好、さらに地域差など業界ごとの実情が考慮された条項が設置されなければ、影響を被る産業の市場規模は縮小することになるであろう。また本案はインバウンドによる観光客も大きなターゲットとしているが、本年外国人観光客が2000 万人を達成(表③参照)している点を踏まえ、喫煙を要望する観光客も多いことから飲食および宿泊施設における対応についてはそれらのニーズに応えうる条項が設けられることが“ 観光立国としての日本” をより成長させる一助となり、また業界の活性化につながるものと考える。

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