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第2回 「日本型IR&カジノ」の実現へ 

連載 第8回

【月刊HOTERES 2015年06月号】
2015年06月02日(火)
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 4 月28 日に自民党、維新の党、次世代の党の3 党はIR 推進法案を国会へ再上程した。国会での審議を目前に控え、大手新聞社の社説等でカジノに関するネガティブな報道が目立ち始めた。

 ネガティブ意見として、①すでに日本は、競馬、競輪、競艇、宝くじ、サッカーくじ、パチンコ、パチスロなどのギャンブルが多く存在しており、さらにカジノというギャンブルを誘致すると「ギャンブル依存症が増加」し、「青少年への悪影響」、「治安の悪化」を招くとしている。② 2020 年の東京五輪までにカジノを建設するため、とにかく今国会中に法案を成立させたいというのは安易であると指摘している。確かに、これだけを聞くとなるほどと思う人もいるかもしれない。
 
 しかし、現法案はラスベガスやマカオのような一つの町にカジノを数カ所もつくるというものではない。さらにカジノ単体ではなくホテルやショッピングモール、テーマパーク、劇場やMICE 施設を併設した統合リゾートを国内で2 ~ 3 カ所に限定してつくるものである。背景には「観光立国」として、2020 年に訪日外国人数2000 万人という目標がある。当然、IR だけで目標が達成されるわけではないが、近隣のアジア諸国(シンガポール、マカオ、フィリピン等)では、IR 誘致により外客増加、外貨獲得、失業率低下などのプラス効果が出ているのは明らかである。
 
 ネガティブ意見の①「ギャンブ依存症が増加される懸念」、「青少年への悪影響」についてはすでに世界各国で入場制限、厳格なルールに基づき秩序を持ってカジノの運営がされており、我が国でも十分運営が可能である。また「治安の悪化」についても、米国でカジノによる治安悪化の影響を1990 年代後半に調査をし、その結果カジノによる「治安悪化」は認められないと結論づけている。
 
 ②の今国会中に法案を成立させるのは安易と指摘されている件であるが、我が国でカジノに関する調査検討が始まったのは、2002 年からであり、13 年たってようやく国会での審議が始まろうとしている。この間にマカオではカジノ運営権を市場解放し世界一のカジノ売り上げを誇る都市となり、失業率を6%台から1%台に大きく改善させた。また規制国家であるシンガポールにおいては2 カ所のIR を開業し、世界一、国際会議を開催する都市となった。アジアの趨すうせい勢に取り残された我が国は2020 年の東京五輪と同時にIR を開業し、日本を訪れる多くの外国人の方に24 時間楽しめる施設を提供すべきである。そして、MICE 分野やエンターテインメント分野においても再びアジアのハブとなることを目指すべきである。
 
 IR に賛同する政治家は誰一人、日本をギャンブル大国にしようなどとは考えていない。今後の国会での議論を冷静にみつめる必要がある。
 

㈱ブライト 代表取締役
日本カジノスクール 校長
大岩根成悦
(おおいわね・まさよし)
大学生時代に豪華客船「飛鳥」の船上カジノディーラーとして勤務したことがきっかけでカジノの業界に興味を持つ。これまでに訪問したカジノは20数カ国80 カ所以上。外航客船、一流ホテルのパーティーなどで培った自らのカジノディーラー経験と、世界のカジノ視察から学んだカジノディーラーの育成システムを国内に広めるため、2004 年に日本初の本格的カジノディーラー専門養成機関「日本カジノスクール」を開校、校長に就任。巣立ったディーラーは 400 名を超え、国内外のカジノで活躍中。カジノディーラーを厳格に審査するための「カジノディーラー資格認定試験」を実施している「日本カジノディーラーズ協会」(江本孟紀会長)の専務理事のほか、NPO法人「日本ポーカー協会」の理事も務める。カジノの普及と啓蒙に尽力したことが評価され、2004 年に猪瀬直樹氏に次いで2 代目の「カジノオブザイヤー」(日本カジノ学会主催)を受賞。

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