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酒のSP

ニューワールドが醸す気品 エラスリスの2016年ヴィンテージ

【週刊ホテルレストラン2019年02月15日号】
2019年02月15日(金)
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冷涼さと引き換えに得たフィネス

 “頂点” を意味する「ラ・クンブレ」(La Cumbre)は、同社がこの20年ほど取り組んできたシラーによるワイン。チャドウィック氏が1990年代にフランス・ローヌを訪ねた折に投げかけられた「なぜチリにはシラーがないのか」という疑問に自ら解を求めた。品質的にも頂を目指すこのワインのシラーは、エルミタージュと同様に1ha当たり1万本の密度で栽培されている。サックリング氏は「フローラルでスモークしたベーコンやブラックベリーのアロマ。厳格なタンニンの骨格が濃厚さと釣り合い、生き生きとした味わいの印象的なシラー」と評した。
 
「KAI」は先住民族の言語で“ブドウの樹” を意味する。ボルドーを原産として今日ではチリのシグネチャーたる存在のカルメネールを93%使い、味わいがはっきりと明示されている。エラスリスのテクニカルディレクター、フランシスコ・ベッティング氏は「深く濃い赤紫のきらめき。深いアロマに黒コショウや黒トリュフ、黒鉛とともに杉やアジアのスパイス。紅茶や灰のニュアンスもある。鮮やかな酸はみずみずしく、ビロードのようなタンニンが余韻として続く」とコメントしている。
 
「ドン・マキシミアーノ」はエラスリスのフラッグシップワインの一つ。チャドウィック氏の父、ドン・ アルフォンソ・チャドウィック・エラスリス氏(故人)へのオマージュワインで、かつてはカベルネ・ソーヴィニヨン100%で造っていた。今日では粘土質土壌の丘陵地で栽培したカルメネールやマルベック、またプティ・ヴェルドやカベルネ・フランをブレンドしている。カシスやブラックチェリー、ローストしたコーヒー、ココアといった香りと味わい。
フレッシュで心地よい酸とバランス感。複雑みのあるシルキーなタンニンに、長い熟成のポテンシャルを感じさせるワインだ。
 
「セーニャ」は沿岸から40kmほどの内陸部で、16年はカベルネ・ソーヴィニヨン55%にマルベック、プティ・ヴェルド、カルネメール、カベルネ・フランをブレンド。長年にわたりテロワールワインとして進化を遂げてきた。「マルベックが良い役割を果たすようになってきた。収穫が早まることでフレッシュな酸を生かせる。新樽の比率は73%まで下がり、純粋なテロワールや果実味、エレガントさが高まっている。畑そのものからフィネスが表現されているワイン」とチャドウィック氏も太鼓判を押す。
 
「ヴィニェド チャドウィック」はパリ、ベルリンの両テイスティングの主催者であるスティーブン・スパリュア氏をして「カベルネ・ソーヴィニヨンの世界的な指標として完璧なワイン。ボルドーで例えるなら『セーニャ』がシュヴァルブランでヴィニエド・チャドウィックは左岸のラトゥール」と評すもの。04年のベルリンテイスティングで第1位に評価されてから、評判は高まるばかりだ。マイポ・ヴァレーはサンチアゴから100kmほど南で、畑は標高650~700m のプエンテ・アルトに位置する。16年はカベルネ・ソーヴィニヨン97%に、3%のプティヴェルドをブレンドしている。この年の気候により一層の純粋さ、バランスとフィネスを兼ね備えた。ラズベリー、イチゴ、チェリーの香り、味わいもカシスやベリーのニュアンスにやわらかなタンニンとフレッシュな酸で、チャドウィック氏も「ピノ・ノワールのようなカベルネソーヴィニヨン」と自信を表す。
 
 チリワインは今後、さらにフランスワインを凌駕するエレガントさを持つようになる。チャドウィック氏はもちろん、高品質なワインを造るチリの生産者が一様に口をそろえる言葉だ。ピノ・ノワールの生産を本格化させるワイナリーも追随している。チリワインの次なるベンチマークは、ブルゴーニュか。オールドワールドに匹敵するフィネスとエレガンスをニューワールドが備えたときに、チリワインがもたらすさまざまな影響力にも期待したい。


 

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