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第2回 C&RM (株) 小林 武嗣  供給過多時代を生き抜くためのレベニューマネジメント 

第2回  成功していたときのブッキングカーブを追い求めて

【月刊HOTERES 2019年05月号】
2019年05月31日(金)
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これまで活況を呈していた京都のホテルマーケットが2018 年後半から激変しています。中でもその影響を大きく受けているのが宿泊特化型ホテルです。京都の宿泊特化型ホテルに起きている混乱、そしてその要因は価格の上げ下げだけでコントロールしようとするレベニューマネジメントにあると考えられます。今回はそのメカニズムを分析します。

小林 武嗣(こばやし・たけし)
C&RM ㈱ 代表取締役社長

1968 年生まれ。東海大学文学部日本史学科卒業後、NEC ソフトに入社。大型汎用機を主体としたシティホテル向けPMS に携わる。96 年、NEC ソフト退社。現株式会社サイグナスを起業し、代表取締役に就任。2 年ほど製造業を主体とした開発に従事するが、97 年NEC と共同でNEHOPS-EEの開発を請け負い、日本初のパソコンシステムによる大型シティホテルの成功事例を作る。その後、NEHOPS-EE の開発センターとして全国のシティホテルに導入。2002 年、マイクロス・フィデリオジャパンとの協業を開始し、日本初のCRM システムをリリース。04 年、NEC ソフト時代の元上司の丸山に代表取締役を譲り、副社長に就任。その後、一貫してホテル業に対するCRM の普及をめざし活動。12 年には、CRM とRM の融合の実現を念頭にC&RM 株式会社を設立。
http://c-and-rm.com/

前回のまとめ
 
京都市場は、2018 年後半から京都市場が激変しました。従来の高単価販売が影を潜め、特に宿泊特化ホテルにおいては平日に税抜きで2980 円を下回る価格もネットに出ている状況です。これは一体何が起きたのでしょうか。特に、レベニューマネジメントはどのように対応したのでしょうか。外部要因は、宿泊客数の減少、宿泊施設の増加があげられますが、特に重要なことは下記の点です。

 
■レベニューマネジメントの限界 

価格の上げ下げだけでコントロールしようとするレベニューマネジメントが市場を混乱に導いています。本来であれば、単価をそれほど下げなくて稼働を抑えても我慢すべきところを、稼働重視の運用によって単価を下げ続け、価格競争を引き起こしてしまったのです。こうしたレベニューマネージャーの多くは高需要時には突出した成績をあげていたため、専門特化したレベニューマネージャーの判断に誰も口をはさめず低価格競争が放置されてしまったのです。
 
 

■京都市場にまなぶ 

大阪市場も異変が起きています。ただ、大阪市場の方が2019 年4月時点では持ち直しているようです。
 
これは大阪市場が京都に比べるとビジネス需要を獲得しているので、安定的な層が京都よりも大きいためと思われます。東京市場はどうでしょうか。
2018 年東京市場は活況に沸きましたが、筆者の見たところ「五輪準備需要」と考えられます。ただ、2020 年の五輪までというのは共通の意見になるでしょう。また、北海道札幌は昨年の地震から海外の修学旅行客がキャンセルになるなど、一時期落ち込みしましたが、現在は復興割などの政策により活況を呈しています。しかし、こちらも復興割が終了してしまうとどうなるかは分からないというのが実情です。九州・沖縄地区に関しても活況ではありますが、特に韓国の関係悪化は気がかりになります。もし韓国との関係がさらに悪化して韓国客が来日しなくなると、博多、別府、由布院などのエリアや沖縄エリアは途端に厳しくなるでしょう。このように考えてみると、京都で起きた異変は例外ではなく、その火種はすべての地域に当てはまるのではないでしょうか。宿泊客数の減少や宿泊施設の増加は外部要因ですが、レベニューマネジメントに関しては内部要因です。高需要時の成功体験に基づくレベニューマネジメントはもはや限界に達しています。
 

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