ログイン
検索
  • TOP  > 
  • 記事一覧  > 
  • 2020年5月22日号 トップインタビュー 星野リゾート 代表 星野 佳路 氏
2020年5月22日号 トップインタビュー 星野リゾート 代表 星野 佳路 氏

世界で通用するホテル運営会社を目指す。 星野リゾートの戦略と足下の取り組み(第二回)

【週刊ホテルレストラン2020年05月22日号】
2020年05月20日(水)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

---もう一つ、星野リゾートの強みは、「軽井沢に行くけれどもどこにしよう?」と選ばれるのではなく、「軽井沢のブレストンコートに泊まりたい」と言ってもらえるブランディング、マーケティングにあるのではないかと思います。

それは大切にしています。私たちはお客さまに星野リゾートのファンになっていただき、その方々に旅の新しいニーズを提案していきたいと思っています。そのために、「まだ星野リゾートの施設の中で提供できない体験はなにか?」といったことを考えることや、行ってみたいと思われる場所に出店をすること、これらをこの 10年くらい特に大切にしています。

 

「ポイントプログラムはコモディティ化している」星野リゾートのファン獲得戦略

---「星野リゾートのファンになっていただく」という言葉が出ましたが、多くのチェーンがファン獲得戦術としてロイヤリティープログラムを導入しています。このロイヤリティープログラムに対して、星野さんはどのようにお考えでしょうか?

私は、マイレージやポイントプログラムというものには現時点では積極的ではありません。その理由は、それが本質的な競争優位の体制構築につながらないと考えているからです。

 これには、私自身の経験によるところもあります。90年代、私が実家を引き継ぐために軽井沢に帰ってきた時、軽井沢にはいくつものガソリンスタンドがありました。そして、どのガソリンスタンドも「また来てほしいから」、と、ガソリンがリッター当たり数円安くなる会員カードというのを発行していました。その結果どうなったかと言えば、私が会員となった特定のガソリンスタンドに行くようになったのではなく、車の中に軽井沢中のガソリンスタンドの会員カードが揃いました。つまり、ポイントプログラム自体がコモディティ化しているということです。
 
  そうしたポイントを中心としたロイヤリティープログラムの導入は際限のないコモディティ化の流れに入っていくことになり、さらにそのためのシステムコストを使い続けな 
いといけません。そのシステムを持つこと自体が、本質的な競争優位の体制にはならないと私は考えています。 

---それでは、星野リゾートとしてはどのようにファンを獲得していく戦略なのでしょうか?

やはり、内容でファンになっていただきたいと考えています。滞在時の快適性、満足、そして新しい体験の提案です。 また、今後さらに力を入れたいと考えているのは、繁忙期などの部屋の確保です。星野リゾートでも、ポイントはありませんが予約時に登録していただくアカウント会員という仕組みがあります。そして、中には年間多くのご宿泊をいただいているお客さまもいらっしゃいます。ゴールデンウィークや年末年始など、本来であればリピーターのお客さまで埋まるはずです。そうしたお客さまに優先的にご利用いただくこと、さらに、泊数の多いお客さまにお部屋を提供できるようにすること、これはまだ現在システム、オペレーション双方で実現可能かという点も踏まえ、議論をしているところです。現時点では多くのスタッフから難しいという意見をもらっています 
 
---代表の考えにちゃんとスタッフの皆さんが「難しい」と意見を言える関係性は素晴らしいのではないかと思います。

私は自身が良いと思う考えをアイデアとして話をしますが、これは命令でも指示でもありません。仮に命令をしても続かないと思います。皆が納得をして、これは良いと思えるから一生懸命取り組んで続く。先ほどもお話をしましたが星野リゾートにはそういうフラットな組織文化があります。

国内が良いときこそ世界へ。未来への投資としての北米への挑戦

---冒頭にもお話いただいたように世界で通用するホテル運営会社を目指す星野リゾートであるわけですが、短期、中長期的な視点で、それぞれ力を入れていらっしゃることを教えて下さい。

短期的には、まずは北米への出店です。早く北米の拠点を作りたいという思いがあります。
 
国内の方は、ありがたいことにさまざまなところから案件のご相談をいただけるようになりました。そして、そのいただく案件を安易に考えず、一つ一つにこだわって星野リゾートらしいものをつくれるようなチームができあがりつつあり、国内に関しては心配をしていません。
 
 一方、これだけ国内で私たちが受けきれないくらいチャンスをいただいていますと、中長期的にはグローバルに展開することが大切だというのは分かるが、それはハードルも高くリスクも大きく、国内にいようという雰囲気に流れそうになってしまうこともあります。そういう中で、私が今こそグローバルなオペレーターになるんだ、ということを強く発信するようにしています。
 
 グローバルオペレーターへの足がかりは、先ほどもお話をした北米です。一度ニューヨーク北部に具体的な候補地が挙がったのですが、温泉が出ずに断念をしました。現在は、北米に約 1200カ所あるすでに温泉が出ている温泉地をメインターゲットに、専任のスタッフを置いて候補地を選定しています。 
 
---二週にわたる星野リゾートの全体的な戦略、そして足下での新ブランド開始の背景から具体的な取り組み、そして現在のお考えまで、非常に明快で分かりやすいものでした。ありがとうございました。

本インタビューはYouTubeにてより詳細なインタビュー動画をご視聴いただけます。YouYubeの検索画面で「HOTERES」「星野リゾート」と検索してください。

週刊ホテルレストラン最新号
2020年09月25日号
2020年09月25日号
本体1,650円(税込)
【特集】感染予防で広がる非接触型サービス
【トップインタビュー】
(株)東武ホテルマネジメント 代表取締役社長 小檜山 隆氏

■業界人必読ニュース

■アクセスランキング

  • 昨日
  • 1週間
  • 1ヶ月
CLOSE