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第1回 望月良雄の「F&B コントロール」 ~ホテル業の原価管理に於ける一つのビジネスモデル構築を目的として~

第1 回『FB コントロールの実務』

【月刊HOTERES 2015年08月号】
2015年08月27日(木)
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1.FBC のスタンス
 FB コントロールの業務は飲食材の原価管理と理解され、原価計算・適正原価率の維持・在庫管理などやや数字ばかりが強調され、いわゆる管理系の限られた範囲の仕事と捉えられがちです。
 しかし飲食材という材料を主体とした管理というよりも販売される料理・飲料という商品の利益管理というものが本来の求められる形です。
 
 利益を確保するためにはコストをコントロールするばかりではなく、利益の源となる売り上げが重要な意味を持ってくることを認識しなければなりません。
 
 FB コントロールは利益と適正コストの維持を目的として商品開発・メニュープランニングなども含め、料飲・調理などの現場を補佐する立場にあり、仕入れから製造・販売・商品企画までのサイクルを網羅しなければなりません。
 
 最近ではコンピュータのシステムによって飲食材の購入金額・在庫金額など原価に関わる数値はさほど問題なく把握できるようになってきましたが、売り上げも含め上記のサイクルを包括し、さらにそれを分析するシステムの活用が必要になって来ます。

2.FBC の位置付け
 図1 はFBC と関係各部の連携を表しています。ホテルのすべてのFB に関する情報を収集するため、宴会・レスランバー・デリカはもちろんのこと客室のミニバーも含まれます。またこの関連図は各営業系システム・管理系システムとのインターフェースも表しています。
 
 これら営業部門との連携と言いましたのは、販売価格の設定やメニュー改定、商品企画の補佐などを通じて売上増進と適正な原価管理をサポートしなければならないからです。むしろこれらのことが先で結果として売上情報・原価情報をデータとして取得します。
 
 ここでの売上情報とは売上金額だけでなく、販売されたメニュー一件ごとの明細情報として、また原価情報についても同様に材料一つ一つの明細で受け取ることが必要になります。
 
 その上で経理部へは月次で売上原価・棚卸資産・経費など決算に必要なデータをインターフェースします。
 
 またFB コントロールは仕事の性格上ロスの原因、取引先との関係など監査的な業務も含まれるため、組織上独立した部署であることが望ましいと考えられます。

3.FBC の実務と課題
 
 図2 は仕入から販売、売上計上に至るまでの物の流れ―原価の流れを示したものです。このフローを仕入・在庫・製造・販売・売上計上の各段階に分け、それに関わるFBC の実務と課題を表わすと表1 のようになります。
 
 ここまでが全体の流れですが、これらは全て机上で行なう業務ではなく、データのもととなる事象について現場で事実を掴む、確認するということが基本であり、同時に現場を牽制するということも含まれます。
 
 この中でシステム上 ポイントとなるのは製造部門と販売部門に分け、原価は製造部門に直課し、その上で販売部門にサプライするという考え方です。

どのようにコントロールするか
売上情報・原価情報の提供
 
「日々のコストコントロールはどのようにするのか」、「各キッチンは何を目安に発注するのか」ということです。FBコントローラーが発注金額をチェックすると言っても発注された食材一つひとつにまで踏み込んでチェックするのは不可能ですし、日々の業務の中で効率性に欠けます。
 
 まずは現場―シェフ、発注担当者が何を基準に何を目標金額にして発注するのかということが重要になります。ただし納入・払出しされた原価についてはFB コントローラーがチェックしなければなりませんが、すでにこの時点で原価は発生しています。自明の理ですが、常に売り上げよりも先に原価が発生しているということです。それだけに発注の妥当性が日々のコストコントロール引いては月次のコストに影響を与えることになります。
 それでは現場は何を基準にするのかということですが…(第2 回へ続く)。

望月良雄
EL.F&B コントロールオフィスYoshio Mochizuki
20 年以上に渡りFB コントロール業務に従事し、業界で初めての購買とFB コントロールの一体化したシステムの開発に携わる。元㈱ロイヤルパークホテル取締役総務部長。現在はFBC に関わるコンサルティング業務を中心に活動する。

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