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【レポート】ワイン販売の可能性:渋谷ストリーム エクセルホテル東急「ブレンドワイン“ブリリアント”バレンタインプラン」

2023年01月23日(月)
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本レポートは、渋谷ストリーム エクセルホテル東急のBar & Dining「TORRENT(トレント)」(4F)にて、1月27日(金)より期間限定で販売される「ブレンドワイン“ブリリアント”バレンタインプラン」の開発秘話から試飲までを取材したものである。ソムリエはもちろんのこと、ワインを取り扱う方には長いが是非ご一読頂きたい。ワインをどのように販売するか。一つの可能性がこのプランにはある。
 
ワイン販売におけるマイオピアという視点から様子をお伝えしたい。(プラン誕生から試飲の様子への飛ばし読みはこちら。)

細分化による差別化
ワインは畑がそのボトルにあると言われるように、カクテルではなく、そのまま飲まれる(そのまま飲むことを楽しむ)傾向があるお酒である。日本では、ワインは生産者や土地(テロワール)など商品そのものに付随される情報を使ってプロモーションや販促が行われる。この手法だと、他との違いを出すのにより細分化したり、付加価値をつける為の何かしらの行いが必要になる。
 
流通業者は毎度、手を変え品を変えこうしたプロモーション手段を検討する。しかし、市場には多くのワインがあり、どの生産者もどの輸入業者も似たような言説を用いてその差を説明する。仕入れる側としては、そうした背景や味わい、価格のバランスを評価して採用を行うが、販売をする方も手を変え品を変えて、目新しさを演出しなくてはならず常に情報収集や仕入れに追われる状況に陥っている。
 
これは販売する側だけではない。生産者もブルゴーニュに倣い、畑の細分化や格付けを行うことで付加価値を付けた販売を試みている。ワインに代表されるGI産品は地域産品の価値を高める制度として注目がされているが、海外ではより進んで財とサービスのバスケットモデルやテリトーリオの視点で見られることもある。日本の流通ではこうしたことはあまり議論されない。(興味がある方は、須田(2022)をおススメしたい)
 
EVERY WINE IS A BLEND!
ワインの世界でブレンドというと、ボルドーの様な品種のブレンドを思い浮かべる方が多いのではないだろうか。昔、TONGというワイン雑誌があり、15号のタイトルが「EVERY WINE IS A BLEND!」であった。著名なMWらが寄稿するこの雑誌で、ワインにおけるブレンドが特集されたことがある。例えば、Pedro Ballesteros MWはブレンドにおける政治的な面に注目したり、Madeleine Stenwreth MWは醸造や味わいの面からブレンドを語っている。
 
85ルールやシャンパーニュも一部を除き製造過程でブレンドが行われていることは、流通販売共に暗に理解しているものの、瓶詰後ワインは作品として扱われる傾向がある。では、造り手の表現の自由はあっても、飲み手が手を加える自由はないのだろうか?アッサンブラージュが素晴らしいワインに感動するように、自分の好みに合ったブレンドは許されないのだろうか?もし変化を問題にするのであれば、保存環境やペアリングはどうだろうか。
 
マイオピアを超えて
レビットのマーケティングマイオピアを知っている方は多いと思うが、今述べたようなことは、ワイン販売・消費という点から見ても業界がマイオピアに陥っていると言えないだろうか。PIWIなど環境に対応するような取り組みが行われている一方で、消費に関しては自由度が高くない。今回のレポートは、そのマイオピアに真っ向から取り組む事例といえる。今業界に必要な取り組みだと感じる良い例なので、その誕生から味わいまでを紹介したい。

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