「基本合意調印式」にて。左より、大統百貨企業股份有限公司 オーナー・代表取締役 呉冠威氏と㈱ひらまつ代表取締役社長CEO三須和泰氏
㈱ひらまつは、2025年秋、台湾を代表する老舗百貨店グループである大統百貨企業股份有限公司(本社:台湾高雄市、代表者:張銘池、以下、大統百貨企業)と、台湾・高雄市および屏東県におけるレストラン、カフェ、リゾートホテル、ウエディング事業等に関する事業提携の検討を目的とした基本合意書(以下、基本合意)を締結した。
同社は、2025 年 1 月に発表した「中期経営計画 2030」における、海外市場展開による収益拡大、および同社ブランドの国際的認知向上を目的とするもので、今後、台湾・香港・タイをはじめとする東アジアを中心に、海外への出店を計画しているという。
基本合意の内容については、双方が有する経営資源を相互に活用し、台湾南部エリアにおける新たな外食・宿泊・ウエディング事業の展開に向けた協議・検討を進めていくことを目的としているほか、豊富な不動産資産を保有する大統百貨企業と、同社のブランド力および運営ノウハウを掛け合わせ、台湾市場において新たな食とホスピタリティの価値を共創することを目指し、レストラン・カフェ、レストランウエディング、オーベルジュホテル事業の展開を検討するとしている。ゆくゆくは、合弁会社の設立を含む具体的な事業スキームについても視野に入れているという。



「日本人に支持される」本格フレンチ・イタリアンを展開する価値
掲げていた「海外市場展開の実現」に際し対象市場をリサーチしてきた、ひらまつ代表取締役社長CEO三須和泰氏は、「展開するには本格的なフランス料理やイタリア料理かつ、レストランウエディング市場の成長も見込めることを重視しています。カフェを含むレストラン・ウエディング・ホテル事業で高いポテンシャルのある国・地域として、中でも台湾は有力候補地ととらえていました。また、海外展開は、ターゲットとなる国・地域におけるパートナー企業との協業を前提としています」。事業面だけでなく、ひらまつの企業理念や価値観、運営スタイルを理解し協業できる企業を見極めることが重要であるとして、現在もリサーチと並行して提携先企業の探索・選定も進めているという。
また海外展開強化に向けて、まずは日本で、ひらまつの中核ブランドのフラッグシップ店のオープン(2028年予定)を果たし、ブランドを再構築した上での展開を検討しているという。「フラッグシップ店のブランドは、ひらまつのコアブランドとして位置づけるとともに、今後の海外展開における主要ブランドとしても想定しています」。
一方、大統百貨企業(所属:大統集團)は、台湾の百貨店業、量販店(コストコとの合弁事業)に加え、豊富な不動産を保有しており、グループ全体の2024年の売上高は60億台湾ドルとされている。同社の経営理念は、①定義:店舗のポジショニング、商品の方向性、商品特性、マーケティング戦略、②差別化:独自性、独占性、競合他社との差別化、③規律:上記のルールを厳守し、会社のポリシーと標準業務手順(SOP)を遵守、④ミッション:社会福祉、従業員のプラットフォーム、顧客の期待に応える、⑤ビジョン: すべての顧客層にとって信頼できる企業を目指す、の五つを掲げている。
大統百貨企業股份有限公司 代表取締役 張 銘池氏はこの度の締結に際し、ひらまつが築き上げてきたフードビジネス、ブランド力、なによりも確立されたウエディング事業に期待を寄せているという。「台湾料理から派生したフレンチやイタリアンはありますが、本格的な料理を提供する店はまだありません。また、台湾の人は日本の料理が好きという点を踏まえても、高雄の気候と豊富な食材を用いた本格的なフレンチやイタリアンを展開できるのは、ひらまつしかないと感じています。ウエディングは現状、中華式伝統様式で行なわれていますが、若者の味覚の変化や日本式ウエディングへの憧れも相まって、近い将来、台湾のウエディング市場は大きく変わると推測しています」。
事業予定地は、大統百貨企業が運営していたゴルフ場跡地で、高雄国際空港から車で1時間20分ほど南へ位置する、屏東県(ピントンケン)・車城(チャーチェン)エリア。2032年までに新幹線が屏東県に延伸する見込みで、今後リゾート開発が予定されているエリアでもある。三須社長は「開発予定地は、南台湾なので一番食材が豊富な土地。その食材ポテンシャルとオーベルジュでの展開も見据えて、今回の合意に至りました」と、予定地の魅力に期待を寄せる。大統百貨においても、ひらまつとの宿泊施設の展開は検討しているという。
ひらまつでは海外展開に際し、スタッフは現地で採用し、その育成にも注力していきたいというが、代表取締役 張氏は「高雄空港に近くに、台湾で唯一のホスピタリティ系の国立大学 国立高雄餐旅大学があるのですが、こちらとの連携を視野に、台湾や高雄の人材育成・活性化やフードビジネスの発展にも寄与できれば」と、一案を明かす。また並行して、大統百貨が台湾国内で展開する百貨店、量販店の中にカフェを出店していく運びで、日本の“ひらまつ”ブランドを台湾内でも浸透させていくとしている。「日本の飲食ブランドのさらなる拡大と共に、おいしいダイニングの新たな体験をお客さまに提供していきたい。まずは、ひらまつの一号店出店予定の大立百貨店のレストラン部門の売上は12%以上増加と予想しています」(代表取締役 呉氏)。
なお今回は、基本合意書の締結のみで、これから具体的な計画を図るとしている。
ひらまつ
https://www.hiramatsu.co.jp/
大統百貨企業股份有限公司
https://www.twincn.com/item.aspx?no=83396274




