小誌・月刊ホテレス独自調査「全国ホテル客室稼働率」の2025年11月結果がこのほどまとまった。今回、全国91ホテルの平均客室稼働率は84.4%(前年同月85.5%)、ADRは16,066円(同14,789円、8.6ポイント増)、RevPARは13,560円(同12,645円、7.2ポイント増)となった。
多数のエリアで稼働率は減少となり、中国からの渡航自粛により一部エリアで少なからず影響した。半面、東京フルサービス型と東海を除く全エリアにてADR伸長によりRevPARが増加し、北海道・東京宿泊主体型・九州のRevPARは2ケタの伸長となった。
各ホテルからは「個人客において高単価で販売ができADRを押し上げることができた」、「直前1カ月をきってからの予約動向が特に大きく変動した」、「前年を上回ったが、中旬の中国渡航制限発表により稼働が伸びず」などのコメントが寄せられた。
直近、インデックス大阪やマイドームおおさかでのDXやスタートアップ関連の展示会に赴いていたが、いずれも生成AIを活用した技術が多く紹介されていた。その中で筆者が注目をしたのは電話対応業務にAIを活用するシステムであった。
コロナ禍より、人手不足を補うために電話問い合わせの自動化がホテル業界で進んできたが、さまざまなリスクを懸念しいまだに有人対応の施設も少なくない。そして、自動化された電話問い合わせに関し、用件のある部署の内線番号の告知の前に定型的なガイダンスが流れるため、スピーディーに進まないことにやきもきを感じたことも多々あった。
展示会では数社、電話対応業務にAIを活用するシステムを手掛けていたが、いずれも実際に聞いてみると「まるで人」が対応していると感じるほどのクオリティであった。間の置き方、言葉遣い、声の抑揚など、事前にAIが応対していると聞いていなければ気づくことはできなったであろう。
電話対応業務において宿泊予約を含めて一切合切をAIに任せきることはまだまだハードルが高いが、企業の顔とも言える代表電話に関して、機械音的なガイダンスではなく、柔らかな印象を与える本システムを活用するのはいかがだろうか。
〈用語解説〉
●OCC(Occupancy Ratio):客室稼働率
●ADR(Average Daily Rate):1日1室当たりの客室平均単価
●RevPAR(Revenue Per Available Room):1日1室当たりの客室売上高
※RevPARは客室販売における最重要指標、RevPAR=OCC×ADRで算出
(例:客室稼働率50%×ADR 20,000円=RevPAR 10,000円)
〈調査区分〉
北海道、東北、北関東、東京フルサービス型、東京宿泊主体型、南関東、甲信越・北陸、東海、近畿(京都・大阪含む)、京都、大阪、中四国、九州、沖縄の全14エリア
〈算出条件〉
●今回の数値は小誌・稼働率調査において「該当月および前年同月」の「客室稼働率およびADR」の計4項目すべて回答のあるホテルのみを用いて算出。そのため、開業1年未満のホテル、前年同月に休館したホテルなどは含まれず。
〈備考〉
小誌「月刊ホテレス」2026年2月号では連載「全国都市別ホテル客室稼働率」にて、25年11月の速報値(計149ホテルの都市別平均値)を掲載。
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文・オータパブリケイションズ 臼井 usui@ohtapub.co.jp




