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インタビュー シャングリ・ラ ホテル 東京 

海外と日本の文化が融合するチームワークでラグジュアリーホテルの新たな魅力を切り開く

【月刊HOTERES 2018年09月号】
2018年09月28日(金)
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▶田村さんがシャングリ・ラ ホテル 東京に着任した経緯を教えてください。
 
田村 昨年、シンガポールにいたときにシャングリ・ラからお話をいただきました。本来であればわたしが東京に向かうところでしたが、バウダー総支配人がシンガポールまでお見えになり,とても感銘を受けました。面接の際には東京オリンピックも含めた今後のあらゆる可能性やプランをお聞きしました。シャングリ・ラはアジア太平洋におけるベンチマークとなるホテルですし、前職の上司の多くがシャングリ・ラ出身でもあったので、コンセプトにはなじみがありました。東京のホテル市場が今空前の盛り上がりを見せる中、日本人としてもう一度日本のラグジュアリーホテルに戻ってみたいと思い始めていたことも、東京に帰る決め手になりました。
 
バウダー F&B 部門を強化し、新たなコンセプトを突き詰めていくためには、創造性と革新性をともに兼ね備えた優秀な幹部の存在が欠かせません。しかし、現実にはそういった人物がそう簡単に見つかるわけではないので、シゲルとの出会いは大きいものでした。
 
 東京は素晴らしい街場のレストランやシェフがひしめく世界ナンバーワンの食の目的地です。しかし、ホテルはそこから大きなギャップがあります。ニューヨークやパリ、ロンドン、シンガポールといった世界の都市に比べ、東京のホテルは食をリードする存在となるまでには至っていないのが現状です。
 
 また、日本のサービスの質は高く一貫性があり、伝統と親近感がともに磨かれて洗練されています。けれども、創造的で心をあっととらえるものとはとらえられていません。こうした傾向を変えていけないだろうか、という発想に、われわれの目指す方向性があります。
 
 わたし自身、外国人として日本について文化的な理解のギャップがないとは言い切れません。そこで、日本と海外の両方の視点を理解し、自発的かつ広い視野で、新しいアイデアを素早く受け止めて実践へとつなげられる、シゲルのような有能な橋渡し役の存在が必要です。いい人材が集まれば集まるほど、新しい挑戦に向けた会話や提案が活気づいてホテル全体の力にもなっていくはずです。今後さらに、皆が「これをああしたい、こうしたい」というアイデアを出し合い、意外性のある新しいストーリーが展開していくことを期待しています。
 
▶今後に向けての挑戦とは。
 
田村 日本では人材不足の問題が深刻ですが、シンガポールでも同じような現象が起きていました。そこでの経験を最大限に生かせればいいと思います。シンガポールではすべてが非常に速いペースで進み、四六時中E メールや電話やミーティングなどに追われますが、日本はシンガポールほどではありません。シンガポールでは結果が大きな意味を持つのに対し、日本ではプロセスが重視されます。そういった異なる文化のいいところをうまくかみ合わせていけたらいいと思います。
 
バウダー 最大の挑戦はやはり「人」です。能力が高く安定したチームをつくっていくことが極めて重要な中、適任者を見つけるのもつなぎとめるのも容易ではありません。年々、人材獲得競争が激化して、人々は職に対していっそう選択的になっています。雇用側としても競争力を維持するために各ポジションに適した人材を確実に迎え入れ、献身的な人材にしっかりと報酬を払うと同時に質の高い福利厚生を整えていく必要があります。効率的で働きやすい職場をつくるためにも、働く環境を整えワークライフバランス重視を大前提として、何にもましてよりよい雇い主であり続けることです。「人」は財産であるからこそ、ともに働き続けてくれるよう経営をしっかりと行なわなければなりません。

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