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インタビュー シャングリ・ラ ホテル 東京 

海外と日本の文化が融合するチームワークでラグジュアリーホテルの新たな魅力を切り開く

【月刊HOTERES 2018年09月号】
2018年09月28日(金)
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▶離職率が下がっている理由は何でしょうか。
 
バウダー 近年、「トリップアドバイザー」の東京全体のラグジュアリーホテル部門でナンバーワンの座をいただきましたが、離職率が抑えられている最大の理由はまず働く皆の柔軟性が増したからなのではないかと思っています。
 
 経営側としては人を適材適所に配置して、その仕事にしっかり取り組めるよう努めています。さらに、離職率が高い部署を把握し、そこを中心に職場環境の見直しを図るようにしています。例えば、部署によっては幹部を少しオープンマインドな人物に変えるだけで離職率が目に見えて低くなることもあります。一朝一夕で成果が出るわけではないですが、そういった見直しを地道に続けることで確実に職場環境の改善につながっていると思います。
 
 離職については良しあしがありますので気を付けなければなりません。仮にわれわれの元を離れる者がいたとしても、ここでの仕事をしっかりと理解してものにした上でのことであれば、それはいい旅立ちです。よい雇用主であり続け、従業員がよい経験と時間をここで重ねれば、シャングリ・ラ ファミリーの一員になります。それはどこに行ってもそれは変わらない。一種の帰属意識でもあり、ホテル業界におけるキャリアを考える上で理解し合えるつながりができることになります。広く経験を積んだ後、やがては電話一つで「また一緒にやらないか」という話ができるかもしれません。家族的な仲間たちを輩出することは、失うのではなくて結果的にはよりよい職場環境であることをほかに示すことでもあります。
 
田村 よい職場、よい雇用主であれば、一度離れてもいつかは戻ってくる可能性は大きいですね。
 
バウダー 日本の若い世代は昔ながらの年功序列的なヒエラルキーを好まないことをよく理解することも重要です。日本では部門によって旧態依然としたヒエラルキーがありますが、現代の若者たちはこうしたことが受け入れにくい。公平を期すために、年齢を問わず仕事への対価が与えられる職場環境を整えていくことも重要です。
 
 新卒をはじめとする若手は英語が得意な人も多く、トレーニングルームに集まれば自然にダンスや歌を楽しみ始めるような、新たな感性を持ち合わせた新世代です。そうした将来有望な若い人材を尊重して、しっかりと育成していくためにも、ホテル自身が変わり続けていくことは今後の挑戦の一つとなってくるでしょう。
 
▶開業10 周年に向けて新プロジェクトは進行していますか。
 
バウダー 日本のホテル市場は今後決定的な時期を迎えますので、われわれとしてもそれを見越して新しく意外性のある計画を練っている最中です。
 
田村 総支配人が期待されていることとして、料飲部門に磨きをかけ、さまざまな方から評価していただけるような確かなレベルへと引き上げられるよう、さらに力を入れていきます。
 
バウダー F&B は高品質が最重要なのはもちろんですが、トレンドにも敏感であり続けることもカギとなります。ラグジュアリーホテルが持つ保守的で伝統的なイメージを一新できるような若返りを図り、世の中のさまざまな変化に応じてわれわれも常に変化を続けることです。レストランも本格派ダイニングよりライフスタイル的な切り口を意識し、変化を続けることによって古式にとらわれずに洗練されたラインに立ち続けることができます。28 階の新たにオープンしたカクテルバー「ラペリティーヴォ・バー」はその先駆けです。今後、ポテンシャルをさらに引き上げるような切り口のプランを始動する予定です。
 
 来年3 月2 日に10 周年を迎えます。記念イベントもいくつか予定しています。ホテル創設からの哲学としてシャングリ・ラは常に控え目な落ち着きのあるラグジュアリーホテルブランドとしての特徴があります。派手さを好まず、慎み深く控え目な気品がシャングリ・ラの魅力であり、その点がほかのラグジュアリーブランドとは一線を画すものでもあります。10 周年記念は、何よりもお客さまへの感謝の気持ちを表す場となるはずです。

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