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2021年8月27日号 特集 SDGsから新たなホテルビジネスを生み出せ!PART3:これからのムーブメント編

特別対談 ホテルレストラン業界における食品ロスへの取り組みは意識改革の次のステップへ

【月刊HOTERES 2021年08月号】
2021年09月03日(金)
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国連の持続可能な開発目標、SDGsのターゲットの一つとなる食品ロス。日本では本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品ロスが年間約600万トンもあり、このうち外食産業からは約 120万トンが発生している。こうした状況において、ホテル、レストランなど事業者に求められる役割もますます大きくなってきている。今回は小泉進次郎環境大臣とホテル業界のトップシェフである日本ホテル統括名誉総料理長の中村勝宏氏、帝国ホテル第 14代東京料理長杉本雄氏をお招きし、(株)オータパブリケイションズ代表太田進がモデレーターを務め、食品ロスの課題や今後についてご意見を交わしていただいた。
 

環境省が進める「mottECO」

太田 世界的に SDGsが広まる中、食品ロス問題は日本のホテルレストラン業界においても早急に対応していかなければならない重要な課題の一つです。本日は小泉進次郎環境大臣と日本のホテル業界のトップシェフである中村勝宏シェフ、杉本雄シェフとの意見交換を通して、食品ロス削減推進についての忌憚(きたん)のないご意見を頂戴できればと思います。
 初めに小泉大臣から食品ロス削減という課題について日本がどのようなステージにいるのかという現状と、それに対する取り組みについてお話をお願いします。

小泉 まず、なぜ食品ロス問題に環境大臣が関わるのかということですが、私は気候変動担当大臣でもあります。気候変動と食品ロスとのつながりはいままであまり言われていなかったので、ここから話を始めたいと思います。いま世界で最も温室効果ガスを排出しているのは中国です。その次が米国、日本は第 5位となっています。

一方で、廃棄される食品の生産時の温室効果ガス排出量を一つの国に見立てると、中国、米国に次ぐ世界第 3位に相当する量になっています。日本は自国だけでは食品を賄えず、海外に依存している自給率の低い国ですが、年間約 600万トンも食品を廃棄しています。これは WFP(国連世界食糧計画)が世界全体に食糧支援している約 1.5倍の量に当たります。食品ロスは一人一人が意識をすれば減らせるものです。今日はホテルレストランの事業者の皆さんの取り組みが世の中を大きく変える力を持っているということをお話できたらうれしいです。

太田 いま急務で進められていることはありますか

小泉 外食をして食べ残した場合に、「どうぞ持ち帰りましょう」という持ち帰りを根付かせるために「mottECO(もってこ)」という活動をすすめています。
mottECOとは “持って帰ろう” “もっとエコ”という意味が込められています。最近では、デニーズやロイヤルホストで協力してもらっていて、お客さんが食べ切れなかった料理を持ち帰っていただいています。これを帝国ホテルや日本ホテルでもぜひ、検討してもらいたいですね。ホテルで実施していただけたらとてもインパクトがあると思います。

 環境省としてはこのような取り組みをしていますが、政府全体としてはやることがたくさんあります。食品業界の中には3分の1ルール(メーカーから商品物流センターへの納品期限、小売の販売期限などの商慣習)がありますが、これを食品ロスが減るよう 2分の 1ルールに変えるよう訴えています。また、賞味期限と消費期限の違いもそうです。両者を同じように見てしまいがちですが、賞味期限は美味しく食べられる目安です。うれしい取り組みの一つとしてはイオンがプライベートブランドの商品の「年月日」表示をやめて「年月」までとしました。帝国ホテルや日本ホテルもスープやカレーなどの缶詰を販売されていると思いますが、「年月日」表示をやめることを検討いただけないでしょうか。一つ一つは小さなことですが、分かりやすい、具体的なアクションが重要だと考えています。

 

小泉 進次郎 
Shinjiro Koizumi

環境大臣気候変動担当、内閣府特命担当大臣(原子力防災)、衆議院議員(神奈川 11区、当選 4回)。1981年 4月 14日、横須賀市生まれ。関東学院大学卒業後、米国コロンビア大学にて政治学修士号を取得。米国戦略国際問題研究所(CSIS)研究員を経て、2009年より衆議院議員を務める。自民党青年局長、内閣府大臣政務官 兼 復興大臣政務官、自民党農林部会長、自民党厚生労働部会長などを歴任。19年 9月、環境大臣 兼 内閣府特命担当大臣(原子力防災)に就任。20年9月、環境大臣兼内閣府特命担当大臣(原子力防災)に再任。21年 3月、気候変動担当大臣を兼務

環境省が、飲食店での食品ロス削減を推進するため、食べ残しの持ち帰りを促し世の中に普及させる目的で作成した【mottECO】のロゴ。食べ残しの持ち帰りに関する注意事項や認知の向上、食品ロス削減に向けた普及啓発に効果を発揮するよう期待が集まっている
環境省が、飲食店での食品ロス削減を推進するため、食べ残しの持ち帰りを促し世の中に普及させる目的で作成した【mottECO】のロゴ。食べ残しの持ち帰りに関する注意事項や認知の向上、食品ロス削減に向けた普及啓発に効果を発揮するよう期待が集まっている

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