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  • 高桑 隆 第5回 高品質日本農産物を、豊かになったアジア富裕層が買い続けている ―国産農産物・食品輸出、過去最高を記録―
第5回 高桑 隆の「良くも、悪くも、大変化。いま日本の農業と『食』を考える」

第5回 高品質日本農産物を、豊かになったアジア富裕層が買い続けている ―国産農産物・食品輸出、過去最高を記録―

2016年01月25日(月)
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 日々の世界の動きの中で、「イスラム国」や過激派ゲリラのテロ事件など、刺激的なニュースばかりに接して、足元で起こっていることが見えないなだろうか? 今、アジアに軸足を置いている我々は、世界の中心にいるのだと言うことを忘れてはならない。
 
 その35億人が、経済成長によって豊かになり、35億人の3%の豊かな人々(1億人)が日本の良さに覚醒し、“日本買い”訪日での爆買や、農産物を自国に輸入し購入・消費しているのである。

食品スーパーやSCが増えたが、香港人の日常買物は屋台や市場が多い

  写真は、香港の露店の食品市場である。まだまだこうした、品揃えも乏しく、生産履歴もはっきりしない、売値さえも人の財布を見て変えるような、そんな昔ながらの商売が普通なのである。前近代的で衛生管理の遅れた、こうした食品流通がまかり通っているのが現状だ。だが、豊かになった富裕層の人々はこうした状況に満足してはいない。富裕層は、地元の百貨店や食品スーパーで、日本から輸入された日本産農産物や食品を買っている。日本産農産物は、米でもリンゴでも“少し高いけど、安心・安全で美味しい”である。
 
 毎日買っているのではない……、かもしれない。しかし、間違いなく日本産の米や、日本産の長いも、リンゴ、イチゴ、みかんなどを購入している。だから、農産物の輸出が過去最高となっている。恐らく日本産食品は、現地の屋台のような商店で買う値段の、5~10倍もするような高価なものに違いない。だが、日本への旅行を経験した人々=富裕層は忘れない。綺麗に形が整った“芸術品”のような食品、特に野菜や果物に、驚嘆の声を上げただろう。見た目の形だけではなく、その味の良さにも愕然としたに違いない……。

四国愛媛産「デコポン(柑橘類)」
和歌山県有田産「有田ミカン」

  季節が違うので、「桃」の写真は手元に無い。だが、中国や台湾のお祭りや屋台に飾られた、プラスチックの「桃」を目にしたことがあるだろうか?
 あれは、あくまで作り物で本物ではない。しかし、わが国の「桃」は傷1つ無いすべすべの肌、大きくきれいで、良いにおいが漂う「桃」。アジアの人々は、こんな桃を見たことがない。最初、あの桃はプラスチックだと思うらしい……。しかし、本物だと知ったときから、こんな奇跡の桃を生み出す“日本ってどういう国?”と考え込んでしまうのだと聞く。
 
 最後に強調しておきたい。“わが国の農業が駄目なのは、海外の安い農産物に対し、価格が高く、生産性も低いために太刀打ちできない!”と言われ続けてきた。しかし前述したことは本当のことだ。
今通説で言われていることと、全く真逆の真実が進行している。“国産農産物輸出、過去最高!”となって、われわれのまえに現出している。

普通の食品店の野菜売場
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