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第42回 Wプロフェッショナルズ 第42回

学校法人日本ホテル学院 専門学校 日本ホテルスクール 校長 石塚 勉 氏 × ㈱フェイス 代表取締役 福永有利子 氏

【月刊HOTERES 2016年08月号】
2016年08月12日(金)
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福永 実際に情報を収集されてどのようなちがいを発見されたのでしょうか。
 
石塚 海外との大きな違いは、徹底したインターンシップを導入している点でした。もちろん、基本的な知識を学ぶための座学も大切ですが、それと同等に現場で実務を体験することもさまざまな状況に出会う機会が多いホテル業だからこそ欠かせないことと思われました。いろいろなケースを体験し、問題解決していくノウハウを自身で見い出し、先輩たちやお客さまから学ぶことでホテルマンとしての厚みが増してきます。まさに理論と実技を徹底的に追求することが、有能なホテルマン育成に不可欠であるという結論に達しました。加えて海外経験が絶対に必要であるということです。例えば「ボイルドエッグ」と言っても好みは異なります。それにより茹で上げる時間も異なります。海外の風習を学びお客さまが何を望んでいるのか、どのように対応するのかを知るためにも、まずは自らが海外へ行き、五感を通じて実体験で学ぶことが必要であると思いました。しかし、当時、インターンシップは現場の仕事であり、“教育活動の一環にはならない”という声が主流を占めていました。
 
福永 今でこそ、文科省からのお達しもありインターンシップを受け入れることが提唱され、ホテル業界にかぎらずさまざまな産業でインターンシップ制を導入しているようです。ようやく教育の一環になること、企業や産業を成長させるために不可欠であることが実証されてきたのですね。
 
石塚 インターンシップを推し進めた背景にはもう1 つの課題を解決するためでした。それは海外研修を学生全員が体験できるようにするためです。この業界では海外の異文化を学ぶことは必須条件、しかし多額の参加費用がかかります。年々、厳しくなっている家計の中で、子どもの将来のためとはいえ、なかなか費用を捻出することができません。そうなると同じスクールに来ているのに、家庭の事情による不公平感が生じてきます。これでは意味がありません。そこでインターンシップで得た給与を実習のために貯金をし、蓄積したお金の2 割をおこづかいとして充てていくようにしたのです。すると、家から持ち出す費用はかかりませんので、全員参加することができます。
 
福永 それは親にとっても大変ありがたい仕組みですね。
 
石塚 受け入れるホテル側にとっても社員より30% 安い賃金で雇用でき、常時150 人の学生が交代で動いておりますので、人材不足の解消にも役立つことができます。2 カ月単位で年3 回、18 の協力ホテルで実習を行ないます。2 カ月単位で入れ替わりますが、年間通じて人員配置ができるという企業側のメリットもあります。
 
福永 人材不足の問題がますます深刻化する中で、ホテルにとっても安定的な人材を確保できることはサービスの維持という点においてもプラスです。ところで海外研修は年間どのくらい実施されているのですか。
 
石塚 毎年1 回、卒業までに2 回です。1 年生は東南アジア、2 年生は欧米、卒業までに二つ以上の文化圏を体験することが基本です。44 年前に始めた当時は円が1ドル360 円の時代でしたので、とても費用がかかりました。カナダからアメリカ西海岸を縦断していましたね。宿泊所もロッジやモーテル、シティホテルなどさまざまなホテルで宿泊するようにして、体験することで五感に感じさせることで、何かを見出して欲しいという思いからです。教育理念の「理論と実技の一体化によるサービスの創造、理論と実技の一体化図ること」を実現するためにも、その仕組み作りが不可欠なのです。受け入れていただけるホテル側の理解、同意を得なければできることではありません。そこには本当に次世代を担う若者たちがグローバルに成長していくためには、そのステージであるホテルのご理解がなければ、以前同様、雑用的なアルバイトで終わってしまいます。そうではなく、ホテル側の課題や今後起こりうる事態も推測する中で、双方にとってメリットのある方法をともに考えていく姿勢がなければ実現できないことなのです。45年の歳月を経て、さまざまなことにチャレンジしながらようやく講義、学校行事、企業実習、海外研修旅行という包括的な学びができるホテル専門の学校として確立されてきたのです。またさらに意欲にある者に向けて米国や豪州への1 年間の短期留学制度の設置、海外ホテル研修制度の拡充、英語で授業を行う学科の設置などグローバル教育に繋がる機会を増加させ、広い視野で物事を考えていける人材育成に努めています。
 
福永 確かにますます外国語の習得など国際化の中、学校として取り組まなければならないことは山積みでしょうね。
 
石塚 海外留学した者は、渡航前TOEIC400 点平均が帰国後600 点平均、700 ~ 900 点に達する人達もでてきています。留学生や外国人講師との交流、ホテル実習時における外国人客の応対などを通して、語学力を高めていく意欲的な行動につながればと思います。日本におけるホテルの専門教育機関として1 万人以上の卒業生を輩出してきた実績は私たちの大きな財産であり、この財産におごることなく、日本のホスピタリティ産業の発展に向けた人材育成に向け、改革と前進で切り開いていきます。
 
福永 全員参加の海外研修や実務に基づいた人材育成、インターンシップ制導入などなど、石塚校長の今日までのお取組みをお伺いすることができました。日本そして世界を代表する「理論と実技の一体化」を目指したホテル専門学校のさらなるご発展をご期待申しあげます。本日はありがとうございました。

学校法人日本ホテル学院
専門学校日本ホテルスクール 校長
石塚 勉
70 年関西学院大学卒。71 年㈱プリンスホテル入社、プリンスホテルスクール設立に従事。76 年財団法人日本ホテル教育センター/日本ホテルスクールの設立後、社命転籍、82 年~総務、教務、広報の各部長、事務局長を歴任、06 年理事長、校長。09 年学校法人日本ホテル学院理事長、専門学校日本ホテルスクール校長。13 年一般財団法人日本ホテル教育センター代表理事。その他、日本旅館国際女将会顧問、(一社)全日本シテイホテル連盟顧問、(公社)日本ブライダル文化振興協会常任理事、(一社)日本ホテル・レストランサービス技能協会理事、中野区専門学校協会会長、全国語学ビジネス観光教育協会理事長、観光立国推進協議会委員、スコールクラブ:日本会長、アジア地区副会長等々。

㈱フェイス 代表取締役
福永有利子
レストラン・ゲストハウスのウエディングプランナーから各現場の管理職としてマネジメントを担い、確実に業績を伸ばしてきた。2003 年にウエディングプランナー養成スクール講師をはじめ、06 年より大学にて非常勤講師として教壇に立ち、現在も教鞭を執っている。06 年堂島ホテル婚礼部長に就任、その後08 年同ホテル副総支配人に昇任。09 年には㈱フェイスを設立し、代表取締役に就任。現在は、ホテル・ゲストハウスを主に成約率向上を目的としたトレーニングや集客戦略立案・実践支援などのコンサルティングに加え、ウエディング全般にわたる支援を行なっている。著書・ウエディングプランナーじゃない、アカンのは上司や! 悩める管理職のアメムチ19 の育成術

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