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「必ず成功するホテルリノベーションPART11」刊行記念シンポジウム 

日本のホテルの「進化と変化」をテーマにデザインとアートの側面から未来を語り合う

【月刊HOTERES 2019年01月号】
2019年01月25日(金)
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「ヘリテージ」「バナキュラー」を軸に
キュレーションホテルがトレンドを創出

 
 デザインにおけるキーワードは「ヘリテージ=伝統と革新」「バナキュラー=地域性」の2つで、そのホテルがその場所にある必然性が重要なポイントとなる。その考え方に基づいたデザインが、ターゲットとなる人々が、ディスティネーションとしてホテルを訪れるという行動につながっていく。
 
 このようにして獲得したコアなファン層は、ホテルの中でソサエティーを形成する。彼らはサポーターとして、ホテルが提示するサスティナブルに関する哲学に共感し、その活動のために必要とされる単価アップを受け入れ、リピートしてくれる。たとえば「ホテルが立地する地域の伝統工芸を育てるためなら、お金を支払うことを厭わない」といった行動をとってくれるのだ。
 
 こうしたバックグラウンドを経て、今最も新しいホテルの方向性として出てきたのが「キュレーションホテル」だ。キュレーションホテルの最大のキーワードは「目利き」。目利きである人物による見立てをベースにホテルの空間が創られる、つまりは目利きのフィルターを通して選りすぐられたものしか置かれることはない。さらにホテル空間に置かれたものは、その場を通じて商品として還流していく。ホテルを訪れた人々がそこに置かれたものを手に取り、感じて、自分の手元に置いておきたいと思ったとき、すべてが商品として提供できる点も重要なファクターとなる。
 
 そこには必ず風土や文化、建築のヘリテージに対する尊敬があるべきで、その場所にあるそのホテルだからこそ意味を持つものだけが置かれている。それは伝統工芸の作り手たちにとっては継承のための苗床であり、コミュニティーであり、啓蒙の場でもある。
 
 キュレーションホテルのもう一つの効果は、小型施設の新たなビジネスモデルになり得る点だ。
 
 ホテルと聞くと大型の施設で展開する必要があると考えがちだが、キュレーションホテルはほんの数室という小規模な施設を、日本全国どこでも創ることができる可能性を持ったビジネスモデルと言える。さらに1軒のキュレーションホテルが建った後、周辺地域との連携を強化することでツーリズムの核としてホテルが機能できるのである。このような施設が日本全国にできれば、日本の文化、伝統工芸品、日本のアートを多くの海外の人々に見てもらえる機会が飛躍的に増えるだろう。

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