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第1回 新連載 厨房哲学  ㈱八芳園 本館調理/白凰館調理セクション 統括料理長  西野 剛 氏 

ダイバーシティ化における 料理の在り方を考えるとき ~最先端の情報収集を自分の足で収集し、常に新たなる挑戦を~

【月刊HOTERES 2019年04月号】
2019年05月10日(金)
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―フランスの三ツ星レストランで学ばれたことはどのようなことですか。
 
西野
 まずはフレンチの基本的なクラシックを徹底的に習得することです。フォンドヴォーやブイヨンスープなどです。フレンチのスープやソースはさまざまな食材を組み合わせて作り上げていきます。例えば2種類のソースを融合させたときに、2 種類のソースを同じ比率で足しても満足できる味に仕上がりません。足し算をした分、どこかで引き算をしながら調和を図っていきます。またフランスで獲れた野菜と日本で獲れた野菜は味も異なります。フランスにおけるレシピ通りに作っていても味が異なります。そのためにも野菜がどのような環境育っているのか、生産者の思いも含めて実際に自分の目で確かめ、生産者と会話をしながら、どのように生かしていくべきかを考えます。また日本人の嗜好に合う味にするためには、日本人のなじみのあるミソやしょうゆをどのように配合していくべきなのかなど、温故知新を大切にさまざまな角度から考え、挑戦し続けています。
 
 
―2020 年の東京五輪や大阪万博、IRなど、食文化や食習慣の異なる外国人が日本にいらっしゃいます。もはや日本人だけを対象とした料理では通用しなくなりつつあります。
 
西野
 まさにその通りで、ダイバーシティにおける料理の在り方を考え、改革をしていかなければなりません。ビーガンやハラル、ベジタリアンなど、さまざまな需要に対応していかなければなりません。ストレスフリーな卵や鶏肉や豚肉、牛肉、そしてオーガニックな野菜なども安心、安全な食を提供することが使命である調理人にとって、その知識を高めていくこと、情報収集することは欠かせないことです。海外も視野にいれたMICE にいち早く取り組み、実績を上げている経緯から、今後もハラル食材を扱うメーカーや問屋などが八芳園に20 社ほど集まり、試食を予定しています。これまでの実績をチームで積み上げてきたからこそ、最先端の情報を得られるのだと思います。これから求められる情報をいち早く収集できることは、急速に変化する日本のダイバーシティ化に対応していくために欠かせないことだと思います。オーガニックにおいてはオーガニック料理を提供するレストラン アニバーサリーガーデンの挑戦があったからこそ、全国から情報が寄せられるようになったのです。
 
 
―新たな挑戦に挑んでいるからこそ周りが動き出す。挑戦なくして新たな料理を作り出すことはできませんね。
 
西野 
先日もビーガンの方の結婚式を行ないました。完全ベジタリアンの方ですが、180 人の結婚式を無事に終えることができました。まさに1つずつ実績を積み上げていくことにより、試行錯誤しながらも1つの形を作り出していくことができます。また現在改装中ですが、ハラル対応可能なケータリングキッチンを設置するために新たに厨房を改装中です。この夏には完成する予定です。
 
―おそらく専門のキッチンを設置するのは全国的に初の試みですね。
 
西野 
ダイバーシティにおける厨房の在り方、料理の在り方を考え、外国人の方でも安心、安全に食することができる料理を皆で作り上げていくことが必要であると思います。ベテランになるほど大いに学び、若手にはチャンスを与え、厨房の活性化を図っていくことも、厨房改革には欠かせないことだと思います。これからも新しい情報を自分の足で歩いて収集し、足し算、引き算の発想を生かした美しく、おいしい料理を追求していきます。

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