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第1回 2019年11月22日号 グローバル SAKE マーケットの創造者たち 連載第2幕

第1回 おいしくない日本酒など存在しない市場で差別化するために物語を伝えていく

【月刊HOTERES 2019年11月号】
2019年11月19日(火)
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日本酒のストーリーを聞いて響く人は、パリのソムリエたちという結論に達した

島田 「日本酒にテロワールはない」とおっしゃる蔵元もいます。

竹久 例えば問天を造っている大町では、水にも物語があります。大町の中央に大通りがあって東側と西側の水源が異なるため、それぞれの水の硬度は微妙に違います。柔らかい「女水」、硬い「男水」と呼ばれ、昔話によると女水を飲む村人たちからは女の子しか生まれず、男水を飲む村人からは男の子しか生まれない、さあ大変というストーリーがあります。こうした昔話が伝承されるほど、水が大切にされてきた土地だということでしょう。

 また、地元の風土に合った酒の造り方を大切にしてきた地元密着の小谷杜氏が酒造りをしていることも、人々の興味を惹く物語だと思います。こうした力のあるストーリーを持っているのであれば、わざわざ兵庫県から酒米の山田錦を買ってきて、鑑評会のためだけの酒造りをせずとも、特化されたブランドとして打ち出していけるはずです。私はそう考え、「世に問うて、天に問う」という思いを込めて「問天」「問世」という日本酒ブランドを創ったのです。

問天は 2018年5月に会社を立ち上げました。そこから第2回の「KuraMaster」で入賞して、それをきっかけにパリへの売り込みが始まったという流れです。実質的に1年半足らずでここまで来られたのは、多くの人々との良縁に恵まれたおかげだと感謝しています。

「このストーリーを聞いて、最初に響く人は誰だろう」と考えて思い至ったのがパリのソムリエたちだったのです。問天が営業をスタートさせる場所としてパリに出向いたのは、こうした理由からです。日本酒のテロワールに基づいて「日本のロマネ・コンティを生み出そう」と思ったら、今までの日本酒業界で使われてきた方程式の枠外にある世界を創っていかなければなりません。枠外の世界を理解している人とはパリのソムリエであるという結論に達したのです。

=次回も、今回に続き竹久健氏との対談をお届けします。※本連載は隔週連載です=

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